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ファイアーエムブレム聖戦の系譜 〜幾多の星達〜

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11部分:天馬と魔道師と盗賊とその二


天馬と魔道師と盗賊とその二

 ヨハン、ヨハルヴァ両王子の軍が解放軍を迎撃に出るふりをして軍を止めていた頃ソファラに四騎の天馬が舞い降りた。その中の一頭から一人の少女が飛び降りた。
「御苦労様、マーニャ。もう少しよ」
 緑のショートヘアをしたエメラルドの瞳を持つ小柄で可愛らしい少女である。膝まであるスリットの入った白い上着に白ズボン、灰色のブーツと白い胸当てを身に着け、イヤリングと白いバンダナで飾っている。
「へえ、このペガサスマーニャっていうのか」
 ペガサスの背に乗る長い銀髪に紫の瞳をした女性的な顔立ちの若者が言った。白い上着とズボンの上から青いベストを着、白マントを羽織っている。
「やっと着いたわね、アーサー」
「ああ、今まで有り難うフィー」
「いいわよ、お互い様。ところであんたこれからどこ行くの?」
「レンスター」
「レンスター!?あんな遠くまで!?」
 呆れてフィーが思わず声をあげる。
「うん。ちょっと妹を探しにね」
「妹さんがどうかしたの?」
「うん、実は妹が危ないんだ」
「どうして?」
「俺がトーベで神父をやっていたって話はしたよね」
「ええ」
「あれは父さんが病で死んで半年程経った頃かな。家にある人が尋ねて来たんだ。父さんのお墓に参りにね。その時俺の父さんが本当はヴェルトマーのアゼル公子で母さんはフリージのティルテュ公女だと話してくれた。その証がこの痣だと言ってね」
 そう言って左手の甲にある痣を見せる。青い炎の形をした痣だった。
「そしてティニーという妹がいることも教えてくれた」
「ふうん。あんたお坊ちゃんだったんだ」
「まあそういうことになるかな。今はしがない村の神父だけれど」
「ところでそのお客さんって誰?」
「解からない。紅い髪をしたすごく気品のある男の人だった。その人は俺に言った。妹は今レンスターにいるがヒルダ王妃に命を狙われている。たすけに行けってね。そして家のどこかに父さんが残した魔道書があるから探して持って行くように言った。探し出して家から出た時もうその人はいなかった」
「何か物語みたいな話ね。けどあたしも似たような境遇だしね」
「フィーも誰か探してるの?」
「一応兄さんを。けれど今は解放軍に入れてもらう方が先」
「兄さんって誰?」
「セティっていうの。知ってる?」
「十二神器の一つフォルセティを受け継ぐあの大賢者かい?」
「あれっ、やっぱり知ってたのね」
「有名だよ・・・って事は御前シレジア王と四天馬騎士の間の娘か」
「言ってなかったっけ」
「初耳だぞ」
「ちなみにフェミナはマーニャ叔母さん、カリンはパメラさん、ミーシャ姉さんはディートバさんの娘よ」
「・・・四天馬騎士二世揃い踏みかよ」
「そういう事、解放軍に入る為にシレジアからここまで来たのよ。あんたも入る?」
「うーーーん、解放軍も多分レンスターへ行くだろうしな、そうさせてもらうか。いいかな、アミッド、アスベル、スルーフ」
「俺はそれでいいよ」
 後ろのペガサスから前を長くした緑の髪と髪と同じ色の瞳をした細面の若者が降りてきた。彼がアミッドである。緑のズボンと軍服、青いマントとブーツを着ている。
「メルゲンのイシュトー王子の下にいる妹と救い出すにはその方がいい。リンダをヒルダの魔の手から救うにはな」
「イシュトーって『雷帝』?」
 アミッドの乗っていた馬に乗る少女が聞いた。フィーと同じく緑のシュートにエメラルドの瞳、背はフィーと同じ位で顔はフィーより大人びた感じがする。淡い桃の色のスリットの入った上着にズボン、白の胸当てとブーツを身に着けている。
「ああ、そうだ。すごく出来た人で人質のリンダも可愛がってくれている。しかしあの人でもヒルダから守りきれるか
どうか・・・・・・」
「それで妹さんを救う為メルゲンから出て来たのね」 
 アミッドはメルゲン伯の父とティルテュの妹とん間に生まれた。両親の死後跡を継ぎメルゲン城の城主となったが妹の話を聞き彼女を救う為すぐに城を出た。留守の間のメルゲンの事は人格者で知られるヴェルダン総督スコピオ公に頼んだ。密かに理由を聞いたスコピオはそれを快く引き受けた。
「でフィノーラで」
「私達と会ったのよね」
 緑のショートヘアに同じ色の瞳をしたフィー達と同じ位の小柄で可憐な少女が別の馬から降りながら言った。薄緑のスリット入りの上着にグレーのズボン、白い胸当てとブーツを着ている。彼女がカリンである。
「そういう事」
「まあこれも何かの縁ね。君もそう?アズベル君」
 カリンは同じ天馬に乗っていた少年に声をかけた。女の子と見間違うばかりの整った顔にきめ細かな肌、緑の髪と瞳、青い服とズボン、これまた青のマントとブーツと青一色の服装である。
「いえ、僕はシレジアのセイレーンに生まれました。けれどセティさんに憧れて魔道師になってここへ向かったんです」
「なんかアーサーもアミッドもアズベル君も偶然私達と会ったのね」
 フィーが言う。
「本当。私達なんか四人共解放軍に入る為にここまで来たのにね」
 フェミナも言った。カリンもそれに続く。
「大体途中で行き倒れたらどうするつもりだったのよ。レンスターまで遠いわよ」
「そこまでは考えてなかったな」
 アーサーはきょとんとして言った。アミッドも同じであった。
「何とかなると思ってた」
「絶対にここまで来れるって信じていました」
 アズベルも似たようなものである。
 
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