八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百話 旅行の前にその五
「普通はね」
「身体を壊すよね」
「うん、まあこの作品の主人公はこっちは確か」
「確か?」
「日本の漫画の話だったかな、何か遊び過ぎで死んだのは」
「原作は違うんだ」
「間違えて毒を飲んで死ぬんだ」
こう話してくれた。
「毒殺もしてたし」
「それ水滸伝もあったね」
「そうそう、武松のお兄さんそれで殺すんだよね」
それで巡り巡って武松に殺されるのだ。
「けれどこっちじゃそうして死ぬんだ」
「そこは確かに違うね」
「水滸伝のね、言うならば」
劉君はこうも言った。
「スピンオフ作品だから」
「あっ、そうだね」
「そう、金瓶梅はね」
まさにというのだ。
「水滸伝のそうした作品なんだ」
「そうなるんだね」
「まあこっちで読んだ漫画だと違ったけれど」
「主人公が病気になるっていう」
「そっちじゃ武松虎を退治するどころか食べられているよ」
「へえ、そうなんだ」
「退治しそこなってね」
僕も話を聞いていて意外に思った、何しろ水滸伝の豪傑というと虎を倒すことがステータスの一つであるからだ。
「そうなっていたんだ」
「あれっ、けれど」
アメリカから留学してきているアフリカ系のマックスター君が言ってきた。
「それじゃあお話が」
「スピンオフにならないけれどね」
「日本の漫画じゃそうなってたんだ」
「描いていた人は確か」
劉君が言うその漫画家さんはというと。
「山上たつひこさんだったから」
「その人有名だぞ」
「おい、がきデカの人か」
「凄い人が凄い漫画描いてたな」
「というかあの人そうした漫画も描いてたのか」
「あれっ、有名な人!?」
日本から来た皆の言葉にだ、劉君は少し驚いて問い返した。
「そうだったんだ」
「まあ古い人だけれどな」
「かなり有名なギャグ漫画の人だぞ」
「もう四十年以上描いてるか?」
「最初の頃はシリアスだったってな」
何か僕の知らない話も出て来た、山上たつひこ先生のことは知っているけれど初期はシリアス路線だったとか聞いたことがない。
「下品なギャグなんだよな」
「それでいてシュールでな」
「死刑!とかな」
「女の子には見せられない漫画だよな」
これは僕も同感だ、外国の娘達にもこの人の漫画は、だ。
「その山上先生知ってるなんて凄いな」
「劉、自分何者だよ」
「あの人の漫画なんて何処にあったんだよ」
「いや、この前古本屋で見付けたんだよ」
これが劉君の返答だった。
「たまたまね」
「ひょっとしてブックオフか?」
「ブックオフにその漫画あったのか」
「山上先生の金瓶梅」
「そんなのあったのか」
「あって面白かったよ」
実際にという返事だった。
「確かに違う部分もあったけれどね、原作と」
「武松が死んでたりとかか」
「主人公が生きていたり」
「そこは違っててもか」
「面白かったのか」
「そうだったんだ、じゃあね」
ここまで話してだ、劉君は皆にだった。
部活に行こうと言った、部室の時計を見れば丁度いい時間でだった。僕達は部活に出て爽やかな汗をかいた。
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