提督はBarにいる・外伝
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提督はBarにいる×黄瀬レイタ編・その2
さて、ミートソースは出来たからケーク・サレを仕上げていこう。ケーク・サレってのは簡単に言えばフランスの惣菜パン的な物だ。ケークはそのままケーキ、サレは塩という意味だな。本来は小麦粉やベーキングパウダーを篩にかけて使うんだが、ホットケーキミックスを使った時短レシピをご紹介。
《手軽にホットケーキミックスでケーク・サレ!》
・ホットケーキミックス:150g
・卵:1個数
・牛乳:1/3カップ
・前回作ったミートソース:130g
・ナス:小1個
・パプリカ:1/2個
・ピザ用チーズ:適量
まずは野菜。ナスはヘタを取り除いて薄く半月切りにし、パプリカは大きめの角切りに。両方ともラップをかけてレンジでチンして加熱しておく。
次に生地。ホットケーキミックスに卵、牛乳を加えてサックリ混ぜたら、ミートソースと加熱したパプリカを加えて更に混ぜる。
クッキングシートを敷いたパウンド型に生地を流し込み、何度か平らな所に落として空気抜き。その上にチンしておいたナスを敷き詰めたら、上にピザ用チーズをたっぷりと。後は180℃に余熱しておいたオーブンで40分焼けば出来上がり。ちょうどチーズケーキもどきが焼き上がったので、入れ替わりに焼いておこう。
「ハイよ、お次はチーズケーキだ」
「Oh!ワタシチーズケーキ大好きデース!」
レイタの嫁の金剛は嬉々として、切り分けてやったチーズケーキもどきがチーズ不使用だと気付かずに食べている。レイタの奴も気付いていないようだ。知らぬが仏、黙っておくべきか。……そう思いながらコーヒーを啜っていると、隣の嫁が肩を震わせている。
「プフッ、ご、ごめんネ……我慢の限界だよdarling、ちゃんとレイに教えてあげるネ~……ククク」
先程まで美味そうにケーキを食っていた二人は、なんのこっちゃと首を捻っている。
「仕方ねぇなぁ、黙っておこうと思ってたのによ」
「え、何の話ですか先輩?」
「騙して悪いが……そのケーキ、チーズ入ってねぇんだよ」
俺がそう告げると、二人は白目を剥いて驚きのリアクションを示した。ガ〇スの仮面の登場人物かお前らは。
「な、なん…だと……!?」
「お、恐ろしい子デース……すっかり騙されましタ」
台詞も漫画のパクリだし、似た者夫婦め。
騙したついでにもう1つビックリさせようか。
「なぁレイタ、シャーベット食いたくないか?」
「え、まぁ熱い物食べたんで口直しが欲しいですけど……」
「そうかそうか、ちょいと待ってな」
そう言って俺が取り出して来たのは午〇の紅茶のミルクティーのペットボトルと、ガラスの器。
「え、何してるんですか先輩」
「まぁ見てな……いくぞ!」
俺が蓋を開け、ガラスの器にミルクティーを注ぐ。すると、注いだ瞬間からミルクティーが凍り始めてみるみる内にミルクティーシャーベットの山が出来上がった。さっきのチーズケーキもどきに引き続き、唖然としている二人。
「驚いたか?まぁこれは料理ってより化学の実験に近い代物だがな」
読者の皆さんは『過冷却水』という言葉をご存知だろうか?ある一定の条件下の中、凍結する温度以下まで冷やされた液体に衝撃を与えると、瞬時に凍っていくという現象だ。俺は今、これを利用してミルクティーシャーベットを拵えた訳だな。それでは、そのカラクリをご説明しよう。
《どんなジュースもシャーベットに!?過冷却ジュースの作り方》
用意するのはお好みのジュースのみ。後は家庭用の冷凍庫があれば作れるぞ。単純に凍らせるだけなのだが、過冷却水というのは衝撃にすこぶる弱い。ちょっとした衝撃ですぐにペットボトル内で凍結が始まってしまい、ただの氷になってしまったりする。また、家庭の冷凍庫の出力によっても過冷却状態になるまでの時間は変化するため、慣れるまで何度も実験が必要だろう。今回は、過冷却ジュースの中でも一番美味いとウワサの『フローズンコーラ』の作り方も載せておく。
1.コーラの封を切らない状態で、ペットボトルが膨らんでくるまでよく振る。
2.冷凍庫に寝かせて入れ、3時間~3時間半冷やす。慣れない内は完全に凍ったりしていないか、たまにチェックしよう。凍らせ過ぎると破裂の恐れもあるので注意。
※凍らせる時間の目安は作者の家の冷凍庫の場合
3.冷凍庫から慎重に取り出し、ゆっくりと蓋を開ける。勢いよく開けるとコーラが噴火する恐れがあるので注意。
4.ここまで来たら後はグラスか器に注げばフローズンコーラの完成!
こんな風に難しそうに書いてはみたものの、実はフローズンコーラに限っては気軽に楽しむ方法がある。東北と四国のセブンイレブン限定で、フローズンコーラの専用販売機が設置されているのだ。専用のカードを買わなくてはならない手間はあるが、普段とは違う味わいのコーラ、一度試してみるのもいいかもしれない。
「いや~、美味しいお茶でした。先輩ご馳走さまっス!」
「ワタシもとても満足デース!」
レイタと金剛は腕を組みながらご満悦だ。土産に持ってきたという酒は受け取ったが、中身を見たら山崎の50年物とか貴重な奴がゴロゴロ入っていた。店に出さずに私蔵品にしようか、等と画策している。
「ホレ、土産だ。そんなに量は入ってねぇがな」
そう言って焼き上がったケーク・サレを手渡す。わざわざすいませんねぇ、なんて言ってるがその顔に悪びれた様子はない。
「んじゃ先輩、またその内来ますわ!」
「アポなしで来るんじゃねぇぞバカ!」
そんな俺の罵声を聞いたのかどうか、レイタの奴はご機嫌で去っていった。
「てか、あいつら何しに来たんだ……?」
という、俺の疑問を残して。
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