真剣で私に恋しなさい!S~それでも世界は回ってる~
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30部分:第二十六話 浴場にて
第二十七話です
ではどうぞ〜
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第二十六話 浴場にて
旅館での豪勢な夕食を堪能し、俺達は今日最後のイベント、至高の温泉タイム。
旅館といえば温泉、温泉といえば露天風呂、露天風呂といえば覗き……というわけで、今まさに覗きが決行されようとしていた。
「それでは、男湯を覗きます」
ただし、女湯で。
「やめときなさいよ。てか、悠里以外の男が見えたらどうするの、京的に」
仕切りに近付く京にワン子が指摘すると、京はハッ、とした表情を作って立ち止まった。
「その可能性をチョイスしてなかった。では聞き耳を立てるぐらいて……京イヤーは地獄耳」
京は耳の後ろに手を当てて聞くことに集中した。
一方、男湯では
「いい湯だね。温泉いいなぁ〜」
「偶にはこういうのもいいなぁ」
モロと大和はのんびりと温泉に浸かっていた。だが、静かに待てない奴らがいた。
「見ろ貴様ら!俺様のこの筋肉美!」
ガクトである。ガクトはタオルも巻かずにボディービルの選手よろしくポーズを取った。
「少しは隠してよ!グロいんだよガクトのは!」
平然と自身の肉体を見せつけるガクトにモロは突っ込みを入れる。その横で悠里はほへ〜、と顔をして沈んでいく。
「ブクブク……」
「銃でいう所のバズーカだな、俺様のジュニアは」
「まだ1度も対象に向けて発砲してないけどな」
「訓練ばっかりでよー。砲身は磨いてるけどな。……って何言わせんじゃいコラ!!!」
「ああもう。やめてよその手の話は〜」
モロはシモが苦手なので、そそくさと端に逃げた。悠里はまだ水中に顔を沈めている。
「男同士でいちいち隠す必要もないだろ」
「キャップとガクトは堂々とし過ぎた。……キャップは銃でいうと、マシンガンか」
「そういうてめぇの愚息はどーなんだ大和」
「俺のはマグナムだね。重い一撃をズドンと。兄さんは……あれ?」
さっきまでいた悠里が姿が無いことに大和は気づいて周りを探す。そして
「ぶはぁぁぁぁぁ!!!」
「わぁぁぁぁぁ!?」
モロの隣から突然、悠里が水中から現れた。どうやらあのまま水中にいて溺れかけたらしい。
「……死ぬかと思った」
「お、驚かさないでよ!悠里!」
「おーい悠里、お前の愚息はマグナムくらいか?」
「……なにアホな事言ってんだ?」
話を聞いてなかった悠里は頭を傾げていた。とりあえず大和の方に合流してみた。てか、下ネタかよ……
「やっぱり悠里のはマグナムだな」
「勘違いすんなよ?大和はコルト・パイソン、俺はS&W M500だ」
「かなりマニアックな銃だな兄さん」
「下品!げーひーん!」
何気に悠里は会話に参加してしまって、モロは遠くからそれを非難する声を上げていた。そんなモロにキャップが声を掛ける。
「モロ。お前、あだ名モロなんだから隠してないでモロに出せばいいじゃん」
「そーいう意味のモロじゃないでしょ!!」
「モロの水鉄砲は皮のホルスターに入ってるから」
「ん?つまりそれって……」
「遠まわしに言うんだよキャップ。それが優しさ」
「むけてないのか」
「うわぁぁぁぁぁ!!!!」
モロは恥ずかしくてお湯に潜った。可哀想に……
「それ遠回しどころか最短距離な表現だろ」
「頭を撫でるように優しく言ったのに」
「言葉のチョイスが殺しにいってるとしか思えねー」
「まぁ、元気だせモロ……」
「そういう慰めはいいよ!?」
「そういや、モロの見てないなー。俺に見せてみ?モロの大事な部分。俺がむいてやる。うまくいくかもしれん」
「何でそういう展開になるのかわからないよ!!!そんなイベント誰が幸せになるのさ!?」
そんな感じに、こちらはまだ下ネタトークは続くのであった。
場所は変わって女湯では
「おお〜ぅ……コレは凄い展開だった……」
「ん、なんか面白い話をしてたの男衆は?」
「ねぇモモ先輩。S&W M500ってどんな銃だっけ」
「マグナムの一種だな。バイオ4のハンドキャノンだ」
「屈強なモノを装備してるんだね悠里…どきどき…」
同時刻、男湯にて
ザワ……
「っ!?」
バチャン!!
「どうかしたの?悠里」
「いや……なんか、悪寒が……」
悠里は身の危険を本能で感じ取っていた。
そんなこんなで初日は終了。
2009年5月4日(月)
旅行二日目、外はとても爽やかな天気で、外で遊ぶにはもって来いだ。女性陣が着替えてる間、俺達男性陣はロビーで遊ぶ。
4人はパズルをやって、俺は知恵の輪をやっている。視点を変えて、引っ張る場所を変えると簡単にそれは外れた。俺はそれを元に戻して終了。時間は3分位。
「男衆ー!おまたせー!さぁ行きまっしょい!」
丁度いい所に女性陣がやってくる。今日は釣り道具一式を借りて川釣りをする予定だ。モモが釣るのは女か魚か聞いてきたがとりあえず突っ込んでおいた。自重しろ。
「よーし盛大に釣ってやろうぜ!ひゃっほう!」
キャップは竿を持つと、川へと駆け出す。近付くの石にいる虫をエサにして竿を振った。すぐに当たりがきて、釣れたのはなんとヤマメ。全力で満喫してるな、まさに野生児。
「悠里、ワン子と京の格闘修行してくる。魚は大和と頼むぞ」
「アイ(了解)。気をつけてな〜」
モモは京とワン子を連れて林の中に入っていった。
大和はまゆっちの代わりにクリスの竿にエサを付けてやっている。なんだかんだで、大和はクリスとの関係を修復したいんだろうな。それからしばらくして、モモは戻ってきた。
「お疲れさん。2人は…組み手か?」
「あぁ、あれは好きにやらせるさ。……それにしても、お前はあまり釣れてないな、悠里?」
「……俺にだって苦手はあるよ」
いまだに俺のバケツには魚が一匹しかいない。エサが悪いのか、それとも竿か、はたまた自分か……
「なんとか挽回するよ。これじゃあ黒狼の名が廃るからな」
「ふふ、素敵だぞ悠里。頑張れよ」
そう言ってモモは俺の肩へ腕を回して、顔をもう片方の肩に乗せた。顔が近くなったことで、女性特有の甘い芳香と柔らかい感触が伝わる。
俺も男なので流石にそれにドキッ、と反応するが冷静になってモモに聞いた。
「気付いたか?」
「ああ、姿は見えないが私達以外にも人がいるな」
俺が聞くと、モモは耳元でささやく。先程から別の気配を感じて、隠れてタカの眼を使って、何人いるかは調べた。数は10人、それぞれが一般人ではなく、恐らくは軍人か戦場を経験した者達だろう。
「なぜそう思うんだ?」
「並び方だ。組織化されていて、すぐに動けるようにしてある。それに、息の殺し方が前にモモに挑みにきた元軍人に似てる」
「なるほどな、流石だ悠里。それじゃあ、私はこっちをなんとかするから、お前はワン子達を頼んだぞ」
「はいよ」
モモは俺から離れると嬉々として森の中に入っていく。俺はタカの眼でワン子と京の気を辿りながら、2人の所に向かった。
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次で今日は終わりです
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