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復讐は地獄の様に

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第二章

「だからそうした考えは捨てて」
「そのうえで」
「聴きに行こうね」
「それじゃあ」
 エディタはペテロの言葉に頷いてだ、そのうえでだった。
 二人で一緒に歌劇場の中に入った、そうして。
 席に着いた、するとエディタはこう言った。
「何かね」
「何かって?」
「何か私達もこうしてこの中にいたら」
 着飾ってというのだ、レンタルの服にしても。
「上流階級っていうか」
「そうした風に見えるかもっていうんだね」
「そうかしら」
「そうかも知れないね」
 微笑んでだ、答えたペテロだった。
「静かに音楽を聴いていい歌唱だったらブラボーって言ってね」
「カーテンコールでは拍手して」
「そうして楽しむのもね」
「いいわね」
「そうだね、それじゃあ」
「これからはじまるよ」
「二人で観ましょう」
 エディタは微笑んでだ、ペテロに話してだった。 
 序曲、魔笛のモーツァルトの数多い音楽の中でもとりわけ独特なそれがはじまり。 
 第一幕が終わった、ここでペテロはエディタに言った。
「第二幕はね」
「魔笛の中でも」
「そう、一番有名な歌があるから」
「確か夜の女王の歌よね」
「復讐は地獄の様にだよ」 
 ペテロはエディタに歌のタイトルを話した。
「凄い音程でとんでもない技術で歌われるんだ」
「モーツァルトってそんな曲も作ったのね」
「何でも音楽の先生が言うにはね」
 ペテロはエディタに顔を向けつつ話した。
「こんな曲歌えるかっていうレベルで」
「凄い曲なのね」
「けれどね」
 それでもというのだ。
「不思議とどの時代も歌える人が結構いるっていう」
「そうした曲なの」
「その先生が言うには」
 さらに話した彼だった。
「モーツァルトの天才の理由の一つらしいよ」
「とんでもなく難しい曲でいて」
「人が歌える曲にしていることがね」
「そこもモーツァルトの天才の理由なの」
「そう話してたよ」
「そうなのね」
「そしてその曲がね」
 第二幕にというのだ。
「あるから」
「第一幕もよかったけれど」
「第二幕はね」
 休憩の後で上演されるそれはというのだ。
「注目だよ」
「そうなのね」
「これまでの歌も演奏もよかったけれど」
 舞台自体がだ。
「それがね」
「第二幕は」
「より凄くなるから」
「じゃあ楽しみにしてるわ」
「そうしようね」
 二人でこう話してだ、そのうえで。
 その第二幕も観た、すると。
 肝心の復讐は地獄の様にをと聴いてだ、エディタは歌の後でのブラボーの声と拍手を聴きつつだった。
 その中でだ、エディタはペテロに言った。 
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