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ドリトル先生と沖縄の蛇達

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第十一幕その十二

 そしてです、オオコウモリも頷くのでした。
「わかるわ、しかも」
「しかも?」
「私顔相もわかるけれど」
「そうなんだ」
「ええ、先生の相はかなりいいわ」
 その顔相を見ての言葉です。
「いつも皆に慕われて愛されていて」
「有り難いことにね」
「学問にも励むことが出来て」
「神様のご加護でね」
「信仰心も備えているわね、凄く徳があるわ」
 オオコウモリは先生ご自身にお話します。
「女の人にも人気があるわね」
「いや、それはないよ」 
 先生はオオコウモリの今の言葉には少し苦笑いになって返しました。
「僕は女の人からは人気がないよ」
「あら、声をかけられてるでしょ」
「君が言うのはもてるってことだよね」
「そうよ」
「お友達でいてくれてる人は多いよ」 
 女の人のです。
「けれどね」
「それでもなの」
「そう、もてるってことはね」
「ないっていうの」
「生まれてからそんなことは一度もなかったよ」
「あら、不思議ね」
 オオコウモリは逆さになっている蝙蝠の休んでいる姿勢でそのうえで首を傾げさせてそのうえでこう言ったのでした。
「こんなにもてる人滅多にいないのに」
「いやいや、そればかりはないから」
「そうなのかしら」
 オオコウモリはこのことには首を傾げさせました、そしてさらにお話をしようと思ったのですがそれでもです。
 首を戻してさらにお話をしようとしましたが。
「おい、いいか?」
「あら、あなた」
 別のオオコウモリが来てです、隣に停まったうえでオオコウモリに声をかけてきました。
「どうしたの?」
「子供達が呼んでるぞ」
「何か用なの」
「蜜のことで聞きたいことがあるらしくて」
「それでなの」
「来てくれるか」
「わかったわ、じゃあ先生」
 先生にです、オオコウモリはお顔を戻して言いました。
「また機会があったら」
「会おうね」
「先生ってこの人がドリトル先生か」
「そうよ」
 オオコウモリはご主人にもお話しました。
「この人がね」
「あの有名な、そうか」
「お会い出来てどう?」
「いやいや、思わぬ出会いだけれど」
 それでもというのです。
「嬉しい出会いだな」
「そうでしょ」
「じゃあ先生」
 ご主人も先生に笑顔で応えます。
「また縁があったら」
「うん、宜しくね」
 ご主人にも挨拶を返した先生でした、そのうえで飛び去る夫婦を動物の皆と一緒に手を振って別れの挨拶を交わしましたが。
 その後で、です。先生はこんなことを言いました。
「まあ僕がもてることはね」
「はいはい、それはね」
「全く以てね」
「僕達と先生の意見は違うから」
「これ以上は言わないわ」
 呆れて返す皆でした。
「こんな調子だと」
「皆困るわ」
「自分のそうしたことには気付かないから」
「悪いことは気付くのに」
 ご自身の短所にはです。
「やれやれよ」
「本当にどうしたものか」
「いつも春と一緒にあるのに春には気付かない」
「困った人よ」
 こうしたことも言うのですが。やっぱり気付かない先生でした。 
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