八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第九十七話 蛍の光その十四
「そうなのね」
「何度かね、あくまでツアーで入ったらいけない場所には入ってないけれど」
話を聞いていて富士の樹海みたいだと思った、アマゾンは富士なんか比べものにならない位に広くて深くて危険だけれど。
「入ったら命の保証は出来ないって言われたわ」
「シビアな言葉ね」
「本気で言われたから
「じゃあ中に入ったら」
本当に入るなと言われた場所にだ。
「終わりなのね」
「骨が見付かれば運がいいって」
「食べられること前提ってことね」
「学校の動物園にもアマゾンの動物いるけれど」
それもかなり多くだ、ジャガーにしてもオセロットにしてもいるし水族館ではアマゾンのコーナーが設けられている程だ。
「あんなものじゃないから」
「本当にいるのはジャングルだから」
「もうそれこそね」
「地獄ってことね」
「そうなのよ」
文字通りに、というのだ。
「日本でも開高健さんって作家さんが入ってたけれどね」
「アマゾンは違う」
「この国がすっぽり入る位に広いしね」
日本がというのだ。
「とんでもない場所よ」
「アマゾンにも蛍いるわよね」
ダオさんはここでニキータさんに尋ねた。
「川だし熱帯だし」
「いるわよ、ただね」
「蛍よりもなのね」
「噛む、刺す虫の方が気になるから」
「蚊とか」
「あまり蛍に注目してなかったわ」
「蚊の方が厄介なのね」
ダオさんもここまで聞いて納得した。
「それはわかるわ」
「刺されてマラリアになったりもするし」
「ええ、あるわね」
マラリアと聞いてだ、ダオさんはこうしたことを話した。
「ダオのお祖父ちゃんマラリアに罹って今でもね」
「ぶり返すでしょ」
「年に一度は高温で倒れるわ」
それで寝たままになるというのだ、マラリアの怖いところはその時助かっても後々まで高温に苛まれる時が出てしまうことにもある。
「そうなってるから」
「だから蚊の方に注意してるの、それにね」
「それに?」
「蝙蝠もいるから」
「ああ、チスイコウモリ」
「そう、その蝙蝠ね」
普通の蝙蝠と違ってだ。
「出るから」
「あれ血を吸って」
「狂犬病を持ってる場合があるから」
「怖いのよ」
「それでよね」
「警戒する相手が多いから」
蚊なり蝙蝠なりだ、噛む虫だけではなくて。
「蛍まではね」
「注意が向かないのね」
「向けられないのよ」
こちらだった。
「あそこではね」
「ベトナムのジャングル以上ね」
こう言ったダオさんだった。
「それはまた」
「もしもね」
ニキータさんも言う。
「あそこでゲリラ戦やったら」
「ゲリラも怖いけれどね」
「猛獣も怖いわよ」
魚もこの中に入るから凄い。
「ベトナムのジャングルそこまでいかないでしょ」
「まあそうよ」
ダオさんもこう答えた、そして。
アメリカ人のジューンさんを見てだ、彼女に聞いた。
「そっちもそう思ったのかしら」
「アメリカ軍もよネ」
「そう、どうだったの?」
「ジャングルは厄介だったけれド」
それでもとだ、ジューンさんも答えた。
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