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とある3人のデート・ア・ライブ

作者:火雪
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第十章 仮想世界
  第9話 新たなデート

 
前書き
あけましておめでとうございます!!ラーフィです!!

今回もあまり進みません!投稿スピードも遅いくせに!!

七罪ェ……(白目)

そんなわけで今年の目標は投稿スピードを速めること。原作10巻までの内容を今年中の終わらせることです!

前者はともかく後者は叶う気がしません。でも頑張ります。

それでは、どうぞ!

 

 
そこはまるで、この世界の終点のような場所だった。

蒼く染められた洞窟のような場所に、中を渦巻くように円を描く水色模様。加えてその奥には緑色に光るこの世界の『核』のようなものが浮いていた。

もちろんそこには出口も入り口も存在しない。無にも永遠にもなり得る蒼い洞窟に、白髪の少女は一人浮遊していた。

或守「……私は、愛を見てきました。たくさんの、愛のカタチを」

この間にも世界は変わり続けている。突然デートに誘われたり、魔法少女が現れて世界を救う旅に出たり。

或守「夜刀神十香の愛、四糸乃の愛、時崎狂三の愛、五河琴里の愛、鳶一折紙の愛、八舞耶倶矢と夕弦の愛、誘宵美九の愛、佐天涙子の愛……そして、それぞれの未来まで」

言いながら、彼女達の未来を脳内で再生する。皆色々ありながらも最後には幸せそうに笑っていた。

或守「愛とは何なのか……それを理解する材料は揃ってきました」

少女は一度目を瞑り、頭の中にある膨大な情報を整理し出した。

或守「収集したデータを解析……結果は……解析失敗……」

表情は変わらず無表情だったが、声はどこか寂しげだった。

或守「再度実行……失敗……」

それは失敗した悔しさからか。それとも……。

或守「五河士道、上条当麻、一方通行……三人のそれぞれのデートを見てきました。情報は十分集まっているはずです。なのに何故……」

その時一人の少年の顔が頭を過ぎった。それは自分が愛を知るために助けを求めた少年であり、観察対象でもある……そう、『五河士道』という少年の……。

或守「あっ」

と、少女は訳が分からないクイズを出された時に突然閃いた時のような幼い子供のような素っ頓狂な声をあげた。

或守「……!これが勘というものでしょうか。……そうです。まだこんな簡単なことを、まだしていない。"わたし自身がデートを体験していない"」

この時、自分の中で何かがこみ上げてくるのが分かった。それが何なのかは、今の少女には理解できなかった。

或守「時より『五河士道』の顔が頭の中を過ぎる現象……その正体が『愛』だとするならば……きっと、何かが分かるはずです。」

そして、少女は決意する。

或守「もう一度始めましょう。今度はわたしとのデートを。愛を、知るために……」


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三人の主人公は不思議な感覚に囚われていた。

映画や漫画で見るような上下感覚のない、電脳世界とでもいうような感覚。

士道「ここは……」

上条「どこ、だ……?」

一方「……」

と、三人とも今の自分達の現状に驚きを隠せないでいた。

それぞれが辺りを見回していた、その時だった。

上条「ッ!?何だ!?」

突然目の前が真っ白になったかと思うと、その光は徐々に和らいでいき、何とか目が開けられるまでに戻った。

そこには、"見覚えのない白髪の少女"が立っていた。

士道「君は……?」

士道が問うと、白髪の少女は変わらぬ表情のままで口を開いた。

或守「私はどうしても、知りたいことがあります」

よし、まずは会話キャッチボールから始めようか。

と、上条は思わず言いそうになったが何とかこらえた。

しかし士道は知っている。この少女に会うのが初めてではないことも、この少女が何を知りたいかさえも。

或守「五河士道。あなたと一緒なら答えを見つけられる。だからこそ、問います」

一拍おいて、士道を見据えた。

或守「あなたは……私を愛してくれますか?」

少し迷ったが、士道は強く頷いた。

或守「願わくば、これが最後になりますように……」

士道の言葉に、或守は祈るように目を閉じた。

一方「お前、やっぱり……」

ここまで一言も話さなかった一方通行が突然口を開いた。

しかしその刹那、テレビの電源を切るような勢いで三人の視界はブラックアウトした。



最後に一方通行が言いかけた言葉の先が、何となく分かった気がしたのは何故だろうか。



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外から小鳥のさえずりが聞こえる。

昨日のことは夢だったのでは?と思ってしまうほどいつも通りに起きてしまった。



そうだ、夢なんだ。



そりゃそうだ。仮想世界に入る?出られなくなる?愛を教えてほしい?

なんとも変な夢を見たもんだ。

そんなことを思いながら朝ご飯を作るために一階へと降りていった。



起きたときからする嫌な予感は、階段を降りてリビングへと続く扉を開けるまで、消えることはなかった。


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リビングへ続くドアを開けると、突然鼻をくすぐるようないい臭いが士道を覆った。

士道「……ん、誰か朝飯を作っているのか?」

最初は上条か佐天のどちらだろうと思っていた。

だが、その予想は大きく外れた。

琴里「……」

上条「……」

或守「……」

佐天「……あ、士道さん。おはようございます」

士道「……あ、あぁ……おはよう」

その嫌な予感は、的中した。

士道「えっと……なんでここに鞠亜が?」

或守「士道をなるべく近くで観察するためです」

士道「(あれ?俺のことは『五河士道』ってよんでたような……)」

琴里「士道を見張るってことね。ま、或守の目論見に付き合うって決めたわけだし、仕方ないか」

琴里の言ってることは正しい。或守も多くは語らなかったが、恐らくそのような目的だろう。

色々気になることはあったが、一番気になったのは。

士道「えっと……この朝ご飯、鞠亜が作ったのか?」

或守「はい。作り方に問題がありましたか?」

士道「いや、作り方見てないから何とも言えないけど……」

或守「そうでしたね。それでは朝食にしましょう」

なんだろう。前の文と後の文が噛み合ってない気がする。

それを指摘しようと思ったが、士道は国語が特別得意というわけではないしそれより腹が減っていたので、何も言わず席についた。

それにつられるように上条、佐天、琴里、一方通行の四人も席に着いた。

或守「どうぞ」

と、或守は慣れた手つきで自分が作った朝ご飯をテーブルの上に置いた。その手さばきはまるでテレビや映画で出てくるメイドのようだった。

食パンに卵焼きにカラフルに盛り付けられたサラダ。五河家が毎日朝に作っているものと全く同じだった。

いただきます、と口を揃えて五人は朝ご飯を口にする。

士道「……美味いな」

琴里「……確かに、美味しいわね」

上条「この卵焼きどうやって味付けしたんだ?俺の作る卵焼きより美味しいんだけど」

佐天「このドレッシングまさか手作りですか!?いつもと風味と味が違うような……」

一方「……」

一方通行は口には出していないが、顔をよく見ると少し驚いたような表情をしていた。皆それぞれ感想は違えど、全て好印象のものだった。

或守「データのものと少しアレンジを加えてみたのですが……どうでしょうか?」

少し不安げな声で士道達に問いかけた。或守は何か文句を言われると思っていたが、

士道「いや、とっても美味しいよ」

琴里「士道の料理の上位互換ってところかしら」

士道「お前なぁ……」

上条「後で上条さんにこの卵焼きの味付けの仕方を教えてください」

佐天「このドレッシングも!」

一方「……まァ、食えなくはねェな」

先ほどと同じく、感想は違えどとても好印象だった。



或守は、プログラミングされたことだけしか動けないただのデータだ。人間の真似事はできても人間になることはできない。

心をもたないはずなのに……。



或守はとっさに士道達に背を向けた。今の自分の顔を見られたくなかったからだ。

或守「どうして、私は笑っているのでしょうか……?」

脳内で制御できない何かが、或守の中を支配していた。



それが『嬉しい』という『感情』だと知るのは、まだ先のことだった。





 
 

 
後書き
或守編(今ここ)→凜緒編→七罪編→折紙編(原作10巻)

…………長くね?

いやいや、凜緒編をやらなければいいだろ、と思うでしょ?ゲームの内容なんだから一つくらいいいじゃん、と思いになるかと思いますが、ここ飛ばすと伏線が回収できなくなる上に考えている最終回ができないんですよね……。

後悔はしていませんが航海はしています。とても難航です。



関係ないけど凜祢は俺の嫁。 
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