計画的恋愛
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第三章
「こうしたことはね」
「調べてるの」
「もう徹底的に調べて」
その目を燃え上がらせてだ、伶音は語った。
「私あの人をゲットするから」
「本気なのね」
「ええ、本気よ」
それこそという言葉だった。
「やってやるから」
「まあ引いてるけれど」
それでもとだ、静香はまた答えた。
「頑張ってね」
「そうしていくから」
「ただ、実際にストーカーにはね」
「なるなっていうの」
「そこ気をつけてね」
くれぐれという口調での言葉だった。
「いいわね」
「わかってるわ」
「だといいけれど」
お茶を飲みつつ応える静香だった、そして。
伶音は建のことをさらに調べていった、そのうえで。
「あっ、前にもこの店でお会いしましたね」
「そうでしたね」
建がよく行く居酒屋に行ってだ、顔を見合わせてだ。
そのうえで彼とそこで最初は軽く会釈する位だったが何度か会っているうちに一緒の席に座って世間話をする様になった。
そしてだ、その世間話もだ。
「野球は広島ファンだから」
「カープの話題多くしてるのね」
「調べてね」
カープの話題をだ。
「昔のカープのことも含めて」
「あんた確か野球はホークスでしょ」
「それでもよ」
こう言うのだった。
「彼が広島ファンなら」
「カープの歴史を調べて」
「創設からのね」
まさにそこからだというのだ。
「募金から赤ヘル黄金時代から今に至るまでね」
「調べたの」
「カープの本、ネットで取り寄せたりして」
「そこまでしてるの」
「ええ、調べに調べて」
そしてというのだ。
「彼とお話してるの」
「徹底してるわね」
「偶然ぽろって出す感じね」
「それ計画的でしょ」
「偶然を装ってるの」
あくまでそういうことにしているのだ、建に対しては。
「そうしているの」
「全く、徹底してるわね」
「ここで逃したら」
必死な顔特に目でだ、伶音は静香に言った。
「まずいからよ」
「それだけになの」
「私も色々やってるの」
「やれやれね」
「それに彼の趣味もね」
それのこともというのだ。
「他の趣味のことも調べたから」
「そっちもなの」
「趣味はトランプよ」
「トランプなの」
「ポーカーとかブラックジャックとか、あと手品ね」
「マジックね」
「そちらも趣味なのよ」
このことも調べたというのだ。
「ちゃんとね」
「そうなのね」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「私こっちもするから、手品もね」
「何かもうそこまでって感じだけれど」
「そこまでしないと」
またこう言う伶音だった。
「後がないから」
「それだけに計画的なのね」
「些細なミスも許されないから」
少なくとも伶音はこう思っている、思い込んでいると言っていいかも知れないが。
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