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歌集「春雪花」

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 冬空の

  深き闇夜に

    幽かなる

 洩れ出づる月の

   愛しものかな



 凍える冬の空…厚い雲に覆われ、星の光も見えない…。

 彼を想い…深い溜め息をつく…。一方通行の想いは、ただ胸を突くだけで…。

 ふと…空から淡い月影が零れる…。
 漆黒を払い除けることは出来ない弱い光…。

 しかし…その光は、私を許してくれているようで…どこか優しく、愛おしく思えた…。



 硝子戸の

  映りし影に

    われ独り

 想い叶わぬ

   身の恨めしき



 外の様子を見ようかと窓を見れば…私の姿が映り込んでいた。

 後は老いて逝くだけの自分の姿に…何とも言えない惨めさと孤独感が押し寄せる…。

 いつかは…この彼への愛しさは消えるものだろうか…。

 叶わぬ夢に、ただ…自分が恨めしくなってしまった…。



 
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