八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第九十五話 学園にも戻ってその四
「一九七三年の最終戦敗北」
「しかも甲子園で巨人にな」
「一九九二年にヤクルトと競り負け」
「二〇〇五年のシリーズ」
俗に三十三対四と言われている、四戦やってロッテには四試合で三十三点取られた。阪神は僅か四点でこう言われる。
「あと二〇〇八年な」
「五十勝一番乗りだったのにな」
「後半大失速して巨人優勝」
「こんなのばっかりだな」
「それでも華があるからね」
だからだというのだ。
「僕も阪神好きなんだ」
「まあ世界探してもあんなチームないな」
「勝っても負けても華あるとかな」
「いつも信じられないネタ提供するしな」
「負けたらいけない試合に負ける」
「凄い確率でな」
「そうしたことまで絵になるなんてね」
それこそという言葉だった。
「阪神だけだから」
「それ褒めてるよな」
「けなしてないよな」
「悪い感じで言ってないし」
「阪神を」
「褒めてるよ」
実際にという返事だった。
「僕はそのつもりだよ」
「そうなんだな、負けても華あるか」
「勝ってもで」
「何があっても絵になる」
「それが阪神なんだな」
「僕はそう思うよ」
実際にというのだ。
「他にないチームだよ」
「今は連覇している」
二年連続日本一になったことをだ、先生は強く言った。
「それならだな」
「三連覇といきたいですね」
「三連覇!?小さい」
先生は口を大きく開けてこうも言った。
「やるなら十連覇だ」
「十連覇ですか」
「巨人の九連覇なんか超えてだ」
思えば日本のスポーツ界はこの時極めて暗かっただろう、あんなチームの優勝なんか見たくもない。少なくとも僕はそう思う。
「十連覇だ」
「夢がありますね」
「夢は現実にするものだろ」
「努力してですね」
「巨人に出来たんだ」
全人類共通の敵にして地球の癌であるこのチームがだ。
「なら阪神にもだ」
「僕イギリスに帰っても応援します」
彼はこうも言った。
「絶対に」
「そう言うか」
「はい、阪神の試合を毎試合ネットでもチェックしますから」
「そして勝っても負けてもだな」
「楽しませてもらいます」
「負けても華があるからか」
「あとスポーツマンシップはです」
イギリス人、僕の知っている彼等の多くはスポーツマンシップを大事にしている、このことは噂に聞いている通りだ。
「そうしたものですから」
「負けてもか」
「はい、スポーツ自体を楽しむ」
「勝ち負けも大事だが、か」
「そう言われていますから」
だからだというのだ。
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