八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第九十五話 学園にも戻ってその三
「そんなのイギリスじゃないですから」
「イギリスじゃいけると思ったんだがな」
「他の国と違ってですか」
「はい、日本はいい国ですね」
「石灰水だと仕方ないな」
「水道も石灰で結構詰まりやすくなりますし」
このことも問題らしい、どうも日本の軟水は世界的に見て相当に質がいいものらしい。日本にいては信じられないことだけれど。
「そういうのと比べたら」
「天国みたいか?」
「そう思います」
実際にという返事だった。
「じゃあ喉が渇いたら」
「水道水飲むか」
「紅茶持ってきてますけれど」
このことは流石イギリス人だと思った、やっぱりイギリス人というと紅茶というイメージがある。
「アイスティーにしています」
「アイスか」
「アイスかよ」
「うん、アイスだよ」
彼は周りの問いにあっさりと答えた。
「寮で作ってきたんだ」
「イギリス人ってアイスティー飲むか?」
「冷たい飲みものって日本人は飲むけれどな」
「外国じゃあまり飲まないんだろ?」
「イギリスでも」
「イギリスじゃ確かになかったよ」
彼もこう答える。
「僕も飲まなかったし、けれどね」
「日本に来てか」
「それで飲む様になったんだな」
「そうなんだな」
「一回飲んで美味しかったから」
それでというのだ。
「そうして飲む様になったんだ」
「夏とかにか」
「そうしてるんだな」
「ミルクティーが基本だけれど」
この辺りもイギリス人らしかった、これでレモンティーになるとアメリカ人だ。紅茶でも文化のそれぞれの違いがある。
「今日はストレートだよ」
「ストレートの紅茶か」
「それ飲んでか」
「水分補給するんだな」
「そうするよ、ただ飲むのは赤でも」
紅茶の赤だ、言うまでもなく。
「応援するのは黒と黄色だよ」
「野球はそっちか」
「阪神だっていうんだな」
「そうなんだな」
「阪神タイガースは最高だよ」
イギリス人の彼から観てもというのだ。
「イギリスにはあそこまで不思議なチームはないからね」
「アメリカにもないな」
「中国にもね」
「スペインにもないぞ」
「台湾にもだよ」
各国から声が届いた、うちのバスケ部も国際色豊かだ。
「あんなチームないな」
「強いだけじゃなくて華がある」
「勝っても負けても絵になるとか」
「そんなチーム阪神だけだな」
「歴史を調べるとね」
イギリス人の彼はさらに言った。
「凄いね」
「ああ、凄いだろ」
「凄い負け方してるだろ、阪神」
「一九六四年のシリーズとかな」
何とスタンカが二試合連続完封という離れ業をやってのけてきた、御堂筋決戦は南海ホークスに軍配が上がった。
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