聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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604部分:第八十七話 再び古都へその一
第八十七話 再び古都へその一
再び古都へ
「教皇」
「シャカか」
「はい、皆もうローマへ発ちました」
シャカがシオンの前に控えていた。そのうえで報告を述べていた。既に彼以外の黄金聖闘士達は全て聖域を発ちそのローマへと向かっていたのである。
「今しがたです」
「そうか、わかった」
それを聞いて静かに応えるシオンであった。彼はいつも通り教皇の座にいる。そこでシャカの報告を聞いているのである。広い部屋にいるのは二人だけだ。
「今聖域にいる黄金聖闘士は御前だけだ」
「はい」
「守りは頼んだぞ」
こうシャカに告げるのだった。
「是非な」
「有り難きお言葉。それでは」
「ローマでは激しい戦いが行われるだろう」
シオンはローマについても語った。
「それは一昨日話した通りだ」
「左様ですか」
「そしてだ」
シオンの言葉は続く。
「トラキアからは何か感じるか」
「八大公の小宇宙が消えました」
まずはそのことを述べるシャカだった。
「そしてです」
「そしてか」
「はい、エリスの小宇宙も感じます」
続いて感じたのは彼女のそれであった。しかしその他はである。
「ですが。それ以外は」
「これといって感じないな」
「感じているのはインプ達のものだけです」
彼等だけだというのだ。トラキアの雑兵達である。
「彼等の数は相当ですが」
「魔神達はいないな」
「誰一人として」
「そうだな」
彼の言葉をここまで聞いてあらためて言ってきたシオンだった。そうしてそのうえでさらに言うのだった。彼も感じ取っていたのである。
「確かに今トラキアで強大な小宇宙はだ」
「エリスのものだけです」
「今トラキアにいるのはあの争いの女神だけ」
シオンはこのことをあえて言ってみせた。
「ではシャカよ」
「ここは動くべきではありません」
「そう言うのだな」
「エリスは神、しかもアーレスの第一の側近であります」
シャカが言うのはこのことだった。
「まさにあのタナトスとヒュプノスに匹敵するものであります」
「それだけ強大な神が控えているならば」
「迂闊に動くべきではありません」
そうだというのである。
「何があってもです」
「その通りだ。それではだ」
「はい」
「我々は今はここから動かない」
シオンはあらためてこのことを断言した。
「決してだ。よいな」
「聖域の守りを固めてですね」
「そうだ。我々は守る」
シャカだけでなくシオンもであるというのである。
「白銀及び青銅の者達もだ」
「今は全員待機ですか」
「そうだ、待機だ」
彼等についてもである。そうするというのだ。
「全員だ。いいな」
「インプ達への為ですね」
「雑兵と言っても馬鹿にはできない」
シオンは彼等のことも決して侮ってはいなかった。彼は相手を侮る男ではない。そしてそれと共に相手を見誤る程浅い男でもないのである。
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