八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第九十四話 軍港その十一
「そうした人」
「中には異次元みたいな絵の人いるシ」
「何かのたくった奇怪な絵だったある」
二人はここで変なこと、僕から聞いてそう聞こえることを話した。
「血が吹き出してテ」
「アマゾンの怪物みたいある」
「どうしてそうなるかわからなかったヨ、私」
「私もある」
「誰のことかわかったよ」
僕も話を聞いていてだ。
「あの人演技力は神がかっていて美人さんだけれどね」
「絵は凄いネ」
「最初観てびっくりしたある」
「ご本人モデルみたいだし歌も上手だけれド」
「あの絵は壮絶ある」
「あの人の絵は昔からああでね」
それで何かと話題になっていた。
「初夢とか似顔絵とかもああだったんだ」
「不気味な生きものがのたくってるみたいナ」
「ああした絵だったあるな」
「そうなんだ、あの絵はね」
僕から見てもだ。
「普通の人には描けないよ」
「あの人が護衛艦描いたらどウ?」
「どうなるあるか?」
「どうなるかな」
「義和でもわからないノ」
「想像つかないあるか」
「ああした絵になることはわかるけれど」
妙に線が細くて波がかっていてあちこちに理解出来ない形のものが存在している白黒と赤だけの絵にだ。
「どんな絵になるのか」
「まあこうした軍艦にはネ」
「ならないあるな」
「そう思うよ」
最近売り出し中の奈良県出身のかなり可愛い声優さんの絵もかなりだと思ったけれどあの人の絵は本当に格が違うと思う。
「あんな絵は普通描けないよ」
「あれが感性ネ」
「まさにそれあるな」
「そうだね、絵っていうのは」
僕が思うにだ。
「上手下手じゃないんだろうね」
「感性であっテ」
「腕ではないあるな」
「そうなんだろうね」
こう言った、港の方を見ながら。呉の港もあの人が描くと果たしてどういったものになるのだろうかとも思った。
そうした話をしてだった、僕達は今回の修学旅行の最後の一日も終えた。そしてその一日の後でだった。
長い合宿を終えて江田島を後にした、この時一年生の子達はこんなことを言った。
「長いけれど短かったな」
「あっという間だったけれど色々あったな」
「部活の練習して飲んで風呂入って海で遊んでな」
「海自さんの学校や基地も行って」
「色々あったな」
「そうだな」
「広島に来たのに」
一人の子がこんなことを言った。
「原爆見なかったな」
「ああ、そうだったな」
「原爆資料館とか行かなかったな」
「原爆ドームもな」
「そうしたところ行かなかったな」
「広島でもだ」
顧問の先生が彼等に行った。
「それだけじゃないからな」
「だからですか」
「それでなんですか」
「この合宿ではそうしたところ行かなくて」
「江田島とか呉だったんですね」
「確かに広島は原爆で有名だ」
先生もこのことは否定しなかった。
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