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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第九十四話 軍港その十

「そうですね」
「イギリス海軍の船は武骨なんですよね」 
 プラモや写真で観てもだ、イギリス海軍の軍艦は武骨だ。特に大戦中の戦艦がそうでキングジョージ五世級は特にだ。
「それと比べますと」
「奇麗ですか」
「武骨さはあまりないですね」
 観てきた、今そうしてきた護衛艦を思い出すとだ。
「実際に」
「そうですね」
「流れるみたいな」
「優美な感じがしました」
「優美ですか」
「そう思いました」
 早百合さんがこう言うとだ、ジューンさんと水蓮さんがまた言った。
「早百合の言う通りヨ、優美ヨ」
「日本の軍艦はある」
「大和を観ても思ったけれどネ」
「そんな感じあるよ」
「優美ね、軍艦なのに」
 僕は二人の言葉も聞いて考える顔になった。
 そしてだ、あらためて言った。
「不思議な表現だね」
「実際にそう思ったかラ」
「私達も言うあるよ」
「そうなのね、まあとにかくね」
 僕はあらためて言った。
「奇麗なのは僕も思ったよ」
「そうヨ、奇麗ヨ」
「私達もそう思うあるから」
「絵でも映えそうネ」
「波間を進む軍艦としてある」
「そういえば去年美術部の皆も」
 この合宿の後でだ。
「護衛艦の絵を描いていたね、多くの人が」
「それはわかります」
 早百合さんが微笑んで答えた。
「私も」
「奇麗だから」 
「私も絵が描けたら」
 それが出来たらというのだ。
「そうしたいです」
「護衛艦の絵を描きたいですか」
「そう思います」
「早百合さん絵は」
「残念ですが」
 その残念な気持ちが絵に出ていた。
「私は絵が下手でして」
「そうなんですか」
「はい、そうなのです」
「そうですか」
「意外ですか」
「はい、繊細ですから」
 性格もピアノの演奏もだ、早百合さんは本当に繊細だ。だから僕はこのことを心から意外に思った。だがその僕に。ジューンさんと水蓮さんがこんなことを言った。
「絵はそれぞれヨ」
「その人のセンスあるよ」
「抜群の演技見せる俳優さんでも絵が独特だったりするじゃなイ」
「本当にそれぞれの人のセンスある」
「何か日本の声優さんでそうした人いたようナ」
「結構多くないあるか?」
 二人の間での話になっていた。
「絵が下手な人ネ」
「凄く独特な絵の人いるあるよ」
「演技は凄くてモ」
「絵も凄い人いるあるよ」
「そういえば」 
 僕も二人の話を聞いて言った。
「何人か凄い絵の声優さんいるね」
「そうそウ、画伯とかいうネ」
「そんな人結構いるあるな」
「私達でも描かない様な絵を描く人がいテ」
「驚くある」
「女の人で多いかな」
 独特な絵の声優さんがだ、実際にそうした人を画伯と呼ぶのが声優ファンの中での用語の一つになっているらしい。 
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