八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第九十三話 最後の一日その十三
「対応遅れたそうですから」
「わたくしもそう聞いています」
「全く、嫌な話ですよ」
僕は顔を苦くさせて言った。
「本当に」
「全くですね」
「そうした人達よりずっと」
「自衛隊の人達はですね」
「立派ですよ」
その潜水艦を観ながら言った、潜水艦は災害救助には使わない。けれど国民である僕達を守ってくれるものだ、そう思いながらその潜水艦を見て言ったのだ。そして。
その潜水艦についてだ、早百合さんもこう言った。
「小さいですね」
「早百合さんもそう思うよね」
「はい、思っていたよりもずっと」
早百合さんはラブポーンさんに丁寧な口調で答えた。
「小さいですね」
「そうよね」
「ここまで小さいとは」
とてもというのだ。
「思っていませんでした」
「隣の船はね」
そちらの空母みたいな船と見比べてだ、早百合さんは言った。
「十倍位あるわね」
「もっとあるのでは」
早百合さんもその船を見て言う。
「むしろ」
「ああ、この船はいずもですね」
僕はその船を見て二人に答えた。
「今は呉にいるんですか」
「これは空母では」
かなり真剣にだ、早百合さんは僕に聞いてきた。
「形を見ますと」
「そうよね、これ空母よね」
ラブポーンさんもこう僕に言う。
「どう見ても」
「ヘリコプター搭載型護衛艦だよ」
何でも輸送船や病院船の機能もあるという。
「これはね」
「何処が護衛艦なのよ」
ラブポーンさんは僕の言葉にはっきりとこう返した。
「そう一口に言ってもね」
「空母にしかっていうんだね」
「形といい大きさといい」
「二百五十メートル位ありますが」
早百合さんはその大きさに驚いていた、言葉にその驚きが出ている。
「物凄いですね」
「二万トンはありますからね」
何でも満載だと二万七千トンあるらしい、確かに物凄い大きさだ。
「途方もない大きさですね」
「あっちの船も大きいけれど」
ラブポーンさんは少し離れた場所に停泊している掃海母艦も指差した、掃海母艦の大きさも相当なものだ。
「これは別格でしょ」
「まあそれはね」
「よく見たら他の普通の護衛艦も大きくない?」
ラブポーンさんはその普通のミサイルや大砲を搭載している護衛艦も指差した、他の国では駆逐艦や巡洋艦と言われる種類の艦船だ。
「そっちも」
「まあそれはね」
僕は否定出来ないでこう言った。
「実際海上自衛隊の船って世界的に大型らしいね」
「それで特になのね」
「この船はね」
いずもはだ。
「また格が違うね」
「大きいなんてものじゃないわね」
「潜水艦と比べたら」
たまたま隣同士にあるので余計に目立つ。
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