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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第九十一話 戦艦大和その六

「海軍からの伝統です」
「海軍のですか」
「はい、そうなのです」
「厳しさが違いますね」
 風紀委員としての言葉だった、今のは。
「まさに」
「寮でもここまで厳しくはないですね」
「寮ですか」
「高校の寮でも」
「我が校は全国、全世界から集まりますので」
 このことからだ、井上さんは佐々木さんに話した。
「学生寮もありますが」
「奇麗ですよね」
「いえ」
 暗い顔での返事だった。
「これがです」
「違いますか」
「女子寮に住んでいる友人がいて寮に行ったこともありますが」
 八条学園高等部の女子寮にというのだ。
「汚い部屋は汚いです」
「女の子でも」
「女しかいないからです」
 身も蓋もない言葉だ、僕は聞いて思った。
「ですから」
「汚いのですか」
「匂いもきつく」
「ううん、信じられないですね」
 佐々木さんは井上さんの話を聞いて表情にも出して言った。
「女の子っていいますと」
「清潔ですか」
「それで奇麗ってイメージがありますけれど」
「それは男の子もいる場合でして」
「いないとですか」
「同性だけになりますと」
 それこそというのだ。
「酷いものになります」
「あれっ、ですが八条荘は」
 僕はここまで聞いて井上さんに言った。
「別に」
「奇麗だというのだな」
「そんなのないですよ」 
 奇麗だとだ、僕は井上さんに話した。
「本当に」
「だからそれはだ」
「男の人がいるからですか」
「君がいるし畑中さんや小野さんんもいる」
「それで、ですか」
「皆奇麗にしているのだ」
「そうだったんですか」
 僕も聞いていて納得した。
「八条荘に男の人がいるから」
「君も含めてな」
「それで奇麗なんですか」
「男の子はどうか知らないがだ」 
 それでもというのだ。
「女はだ」
「異性がいないとですか」
「徹底的にだらける者もいるのだ」
「だから女子寮もですか」
「汚い部屋は汚い、匂いもだ」
「きついんですね」
「女の匂いを甘く見ないことだ」
 知りたくない現実を強い声で告げられた。
「それをな」
「そんなにきついんですか」
「八条荘にいてはわからないか」
「はい、別に」
 それこそだ、八条荘は特にそんな変な匂いはしない。無臭だ。 
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