ドラゴンクエストⅤ 砂時計の僕
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4話 才能?
前書き
ヨシヒコ
始まりましたね
ご無沙汰です。
「んーーーーっきもちぃーーー!」
ザザァと波打つ海が昼の太陽に照らされてキラキラ輝きながら波打っている。
リュゼ「いい空気だなぁここは。せまっ苦しい船旅ともようやくバイバイか」
兄さんは隣で大きく伸びをしてあたりを見回す。
その向こうから、船乗りの様な恰好の男の人が大きく手を振りながら「パパスさーん‼」と、手を振りながら駆けてくる。
パパス「そうだな、もう少しで家に着く。お父さんは話があるからお前たちは自由にしてなさい。」
お父さんの大きな手が僕と兄さんの頭を掻きなでる。
パパス「そうだ、念のためこれを持っていきなさい。
その地図は歩けばあるくほど、地図が広がっていく。あまり遠くへは行くんじゃないぞ」
そういうと、古い地図を取り出して僕に手渡した。
随分と古く、日焼けして黄色っぽくなっていた。
ぼくは「はぁい」と返事をした。
リュゼ「ふふっ」
振り返ると、兄さんはにやにやしながら僕を見ていた。
何やら嫌な予感がする。
リュカ「な、なに兄さん…気持ち悪い……」
僕が感想を述べると「まって話しを聞いて」と否定して見せた。
リュゼ「いやぁほら、冒険は男のロマンっていうだろ?」
的中
リュカ「いや、でも父さんは遠くへ行くなって…」
リュゼ「お前のいい子ちゃんも今日で終わりだ‼」
兄さんは無理やり僕の手を掴んでアーチをくぐっていく。
リュカ「オイオイオイオイ?????!!!!!」
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in港の外
マズイ、マズイぞ。
思わず冷や汗が垂れる。口も乾いてきた。
今、絶賛兄さんに拉致されて案の定魔物に囲まれてしまっている。
リュカ「だからゆったじゃん!!!」
恐怖で喉が縮こまって上手く声が出せない、そんな悲鳴を上げる。
僕はいつも戦ってこなかった。だってまだ6歳だし腕なんてゴボウみたいに細い。
兄さんは多少戦えるが、ほとんど父さんが倒しているからあんまり戦っているのを見たことはない。
リュゼ「だぁーいじょぶだって!心配しすぎると禿げんぞ」
兄さんは鞘から銅の剣を引き抜き、嬉々とした笑顔で答える。
こんな兄さんの顔初めて見るかもしれない。
リュカ「禿げるのはお父さんだけで十分だよぉ‼」
僕も懐からヒノキの棒を取り出してぎこちなく構えてみる。
兄さんは身軽に地面を蹴って剣を大きく振りかぶり、魔物に飛びつく。
剣で真っ二つにされたスライムや魔物たちは血を噴き出しながら、小さく悲鳴のような鳴き声をあげてだんだんとけていく。
そうしてゴールドと薬草が魔物のいた所に現れる。
一体どんな仕組みになっているんだろう。
兄さんは頬に飛んだ血しぶきを指で拭き取り、鞘を納める。
拭き取った血は、だんだん溶けていった。
はっとして、僕の目の前にも親切に魔物が待っててくれてることを思い出す。
よし、ぼくもあんな風に…
リュカ「いやっ、無理っ!無理でしょ!!」
脚がガタガタ震える。
兄さんは少し遠くから
「脚に力いれて!腰を深く落として!勢いよく手を前に突き出すんだ!!お前ならできるっできるぞっ」
と、わけのわからないことを叫ぶ。
僕がつっこむ前に魔物は僕に襲い掛かってくる。
そして僕は無心に言われたまま腰を落として全神経を手に集中させて大きく前に突き出す。
リュカ「うああああああああああああどえりゃあああぁぁぁあああああああああああああああ‼‼」
もうどうとでもなれ、
そう思い、目を強くつぶったのも束の間、
僕の手から大きな火の玉が飛び出す。
僕は思わずあほな気の抜けた声で
「え」
とつぶやく。
そのころには周りの草木ともども焼け焦げて、目の前にはゴールドが落ちていた。
リュゼ「す、…っすっげぇ‼お前天才なんじゃないのか?!」
兄さんもかけつけて僕の頭をわしゃわしゃ乱暴に搔きなでる。
リュカ「や、やめ……にいさ………」
視界がなぜだかぼやけて見える
魔力切れってやつか…
リュゼ「あ…」
ばつの悪そうな兄さんの顔と声が遠のいていく
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