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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第九十話 巨大な模型その三

「実際にね」
「そうなのね」
「別の学校だったけれどね」
「そうなの」
「その学校でも嫌われてたらしいよ」
 それもかなりだったらしい、そいつの同級生に聞いても最低の奴だと言っていた。
「それもかなりね」
「そうでしょうね」
「嫌な目をしていたよ」
 そいつもだ。
「二度と会いたくないね」
「そいつ今どうしてるの?」
「通っている高校で誰にも相手にされてないらしいよ」
「そうなの」
「風紀部に入ってやりたい放題やったらしいから」
 自分が正しいと盲信してだ。
「もう人を陥れる様なことをしてね」
「そこまでして正しいって言ってたのね」
「そうよ、それでね」
 まさにそれでだ。
「もう犯罪者みたいに嫌われてるらしいよ」
「凶悪犯みたいな」
「そう、そんな感じでね」
「徹底的に嫌な奴なのね」
「そういう奴と比べたら」
 それこそだ。
「回天に乗った人達も特攻隊だった人達も」
「皆ね」
「そう、比べ様がないまでに立派だよ」
 本当に比較にならない、汲み取り場の糞尿と宝石位だ。
「もうね」
「それこそよね」
「そう、完全にね」
「何ていうか」
「そうした奴はこんなこと出来ないよ」
 回天を開発して自ら乗り込んだ人や特攻隊として戦闘機に乗って散華した人達と比べたらだ、もう何もかも違う。
「何が暴走することがあっても正しいことをしているだよ」
「本当に頭にきたのね」
「うん、こいつは駄目だって思ったよ」
 言われたその時点でだ。
「絶対にね」
「まあね、暴走した正義って」
「もう碌でもないわよね」
 詩織さんも香りさんも言う。
「革命とかテロ?」
「そんなの?」
「そう、テロリストだって正義を言ってるよ」
 彼等が信じているそれをだ。
「それであんなことするからね」
「そいつもテロリストと一緒ね」
「そうなるわね」
「暴走することがあっても正しいことをしているとかいうんだったら」
「そのままね」
「だから風紀部にいてもね」
 それでもだ。
「手段を選ばず無茶苦茶やってね」
「嫌われてるのね」
「その結果として」
「風紀部もクビになったらしいから」
 あまりにも問題を起こし過ぎたからとのことだ。
「だからね」
「もうそうした人はね」
「どうしようもないわね」
 そしてだ、二人共だった。
 回天を設計し自ら乗り込んで散華したその人が着ていた海軍士官の軍服を見てだ、そのうえで僕に言った。
「こうした人達とは全然違うわ」
「この人達は素晴らしいって思うけれど」
「そんな奴は全然思わないわ」
「私も嫌いになるわね」
「そうだよ、そうした奴が義憤って言うのも聞いて」
 本当にこんなことを言った。 
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