八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第八十九話 歴史の資料その八
「あの人達の資料も」
「はい、ここにもあります」
「そうでしたね」
「鹿屋とです」
鹿児島県の海自さんの基地だ、そこから特攻隊の人達が出撃していて今も特攻隊の資料館があるのだ。
「この江田島にもです」
「資料がありますよね」
「あの方々については」
確かな声と目でだ、佐々木さんは僕達に話した。
「どうしても忘れてはならない」
「そうしたものがありますね」
「ですから」
「だからですね」
「はい、この江田島にもあります」
「そうですか、それで今年もですね」
「案内させてもらいます」
佐々木さんは僕達に笑顔で話してくれた、そしてだった。
僕達は今度は資料館に行くことになった、それで今までいた探偵置き場を後にした。その時にラブポーンさんは。
海の方を振り向いてだ、こんなことを言った。
「もっと観ていたい気もするけれどね」
「奇麗だからだね」
「ええ、凄くね」
「そうなんだよね、江田島の海ってね」
「神戸の海と同じよね」
「瀬戸内海だよ」
僕はラブポーンさんに答えた。
「同じね」
「そうよね、けれどね」
「同じ瀬戸内海でもね」
「また違うわね」
「別の奇麗さなんだよね」
「不思議ね。同じ瀬戸内海なのにね」
ラブポーンさんは海の方を振り向いたままで僕に話していった。
「何か違うわね」
「どっちが奇麗かな」
「どっちも、ただ違うわね」
「違う奇麗さだね」
「そうね」
こう言ったのだった。
「そうした感じよ」
「同じレベルの奇麗さでもね」
「違う種類の奇麗さってあるのね」
「同じ海でもね」
「そういうことよね、何か緑の中のね」
江田島、そして向こう岸の本土の方のだ。
「青はね」
「また違うね」
「神戸も海は一色の奇麗さね」
青、コバルトブルーのだ。
「緑は後ろにあるから」
「神戸の方にね」
「交互に観るんだよね」
山の緑と海の青をだ、神戸にいたら。
「けれどここはね」
「一緒に観るのよね」
「同時にね、そこが違うね」
「だから同じ瀬戸内でもね」
「そう思えたのね、じゃあ今度はね」
「資料館に行こうね」
「そうしましょう、ただ海軍さんの資料館ね」
ラブポーンさんは向き直った、そして正面を見ながら今度はそちらのことを話した。江田島にあるその資料館のことを。
「どんなところか楽しみね」
「行って損はないから」
「そうした場所なのね」
「凄く勉強になるから」
「学校の」
「いや、学校の勉強以上にね」
僕は一緒に資料館に向かうその中でラブポーンさんに話した。
「人間のね」
「勉強になるのね」
「この学園って色々な国から人が来るじゃない」
「私達にしてもね」
「うん、留学生の子も多いけれどね」
日本全国から集まるうえにだ、留学生の子は八条荘では半分だし学園全体で三割はいる。保育園から大学院までそうした感じだ。
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