八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第八十九話 歴史の資料その四
「絶対に無理だよ」
「私もそう思ったわ」
日菜子さんがまた言った。
「それでここの大和は」
「はい、それだけ大きいです」
「どんな苦労して造ったか」
「一人じゃ無理だったでしょうね」
二十七メートルだ、そもそもよくそんなものを造ることを考えたものだとそうしたことさえも考えたことがある。
「そんなの」
「うん、何かね」
「何かっていいますと」
「日本人しか考えない様な」
「そんな話ですか」
「そんなプラモ造るなんて」
それこそだ。
「無茶よ」
「ううん、他の国にはないわね」
「アメリカにはないヨ」
「中国にもあるぞ」
ここでジューンさんや水蓮さんも言った。
「そんなプラモネ」
「とてもある」
「そうなんだね」
「というか日本人凄いヨ」
「まさに職人ある」
ジューンさんと水蓮さんはまた僕に言った。
「そこまでプラモ好キ?」
「造るあるか」
「もうそんなのはネ」
「常識外あるぞ」
「そうなんだね、けれどアメリカからプラモは入ったし」
プラモ部の人が言うにはそうらしい、この趣味もプラスチックで造るものについてはこの国からだというのだ。
「中国にもあるよね」
「あるけれど日本程にはネ」
「凄くないあるぞ」
「職人芸とまでハ」
「うちのプラモ部みたいな人は多分いないある」
「ううん、そうなんだね」
「勿論うちにもないわよ」
イタワッチさんも出て来た。
「プラモ職人は」
「趣味が高じてね」
まさにそうなってだ。
「職人になるんだね」
「その桁が違うから」
ダオさんがまた僕に言った。
「私達にしてもびっくりなのよ」
「大和の模型も」
「十分の一ね、観てみたいわ」
「うん、じゃあ案内役の人達の案内についていってね」
佐々木さん達をはじめとしただ。
「観ようね」
「そうしましょう、ただこの海を観ててもね」
短艇置き場からだ、僕達は海も観ていた。向こう側に山と民家、それに港が見えるその海は民家や港にいる人達の生活と。
海の自然があった、僕達はその青い自然を観て言っていた。
「満足するけれどね」
「ははは、奇麗ですよね」
僕達に佐々木さんが言ってきた。
「この海は」
「はい、とても」
「私もそう思います、ただ」
「ただ?」
「候補生だった時はこの海が嫌になる時があったんですよ」
「ここに学生さんとしておられた時は」
「はい、一年いましたが」
将来幹部自衛官になる為の一年間の学習期間のことだ。
「その時は本当に大変で」
「物凄く厳しいんですよね」
日菜子さんが佐々木さんに尋ねた。
「本当に」
「そうなんです、もう起きてから寝るまで」
それこそその間ずっと、というのだ。
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