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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第八十八話 幹部候補生学校その十一

「ルーも食材も御飯も違うからね、お水だってね」
「ああ、お水な」
「イギリスと日本じゃ違うか」
「それの違いもあるからか」
「同じカレーでも全然違うか」
「味が」
「そう、イギリスのお水は硬水だからね」
 このことは大きいというのだ。
「紅茶でも味違うから、ついでに言うと紅茶もね」
「日本の方が美味いっていうんだな」
「イギリスの紅茶の方よりも日本の紅茶か」
「本場そっちでも」
「日本に負けてるんだな」
「そうだよ、僕が言うから間違いないよ」
 その本場の国の人だからだというのだ。
「お水がもう全然違うから」
「じゃあ美味いものないんじゃねえのか?」
「代名詞の紅茶がアウトだとな」
「それじゃあないだろ」
「クッキーとかビスケット位か?」
「あっ、お茶菓子もね」
 そうしたものもというのだ。
「駄目だから」
「つまり本当にないのか」
「イギリスに美味いものは」
「聞けば聞くだけ辛いな」
「そうだよな」
「別に牧師さんになるつもりはないけれど」 
 ロドネイ君はその話に戻しながらまた言った。
「けれどあまり食べたいものじゃないね」
「イギリスの料理はか」
「そうしたものか」
「噂には聞いてたけれどな」
「本当なんだな」
「うん、日本にずっといようかな」
 こんな言葉まで出た。
「こっちに就職して」
「そうしないならそうしろ」
 コーチではなく顧問の先生の一人が言ってきた。
「御前がそうしたいならな」
「いいんですか」
「ああ、ここで生きていきたくてな」
 この日本でというのだ。
「生きられるならな」
「それで、ですか」
「そうするのもいいだろ」
「そうですか、それじゃあ考えさせてもらいます」
「大学もこっちだろ」
「はい、八条大学に進学するつもりです」
「そこでも考えろ」
 大学生になってからもというのだ。
「それで結論を出せ、わかったな」
「それじゃあ」
「ああ、まあとにかくコーチも言ったが」
 先生も言うことだった。
「税金からのだしそもそも食いものだからな」
「残すな、ですね」
「このカレーは」
「最後の最後まで食べろってことですね」
「そうだ、よく食えよ」 
 先生もこう言いつつ自分のお皿のカレーを食べていた、そして殆ど全員がだった。 
 カレーをおかわりした、それは僕も同じだった。実際に残さず食べた僕達にだ、佐々木さんは笑顔で言ってきた。
「では」
「はい、今からですね」
「史跡研修ですね」
「本格的に」
「はい、色々案内させてもらいます」
 笑顔のままでの返事だった。 
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