八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第八十八話 幹部候補生学校その十二
「それでは今から」
「楽しみだな」
「そうだよな」
「これからどんな場所に行くか」
「楽しみだな」
「まずはグラウンドに行きます」
食堂を出てというのだ。
「そこから見て頂きたいものがありますので」
「わかりました」
「それじゃあ」
一年の子達が応えてだ、実際にだった。
僕達はそのグラウンドに出た、グラウンドはよく整えられていて木の葉一枚落ちていない。白く奇麗な場所だった。
そして青い海が緑の松林の方に見える、その海のところにだ。
戦艦の砲台がある、その二連装の砲台を見てラブポーンさんが僕に聞いてきた、見れば他の部活も幾つかバスケ部と一緒にいる。
「戦艦の砲台?」
「うん、そうだよ」
僕はラブポーンさんの問いにすぐに答えた。
「陸奥っていう戦艦の砲台なんだ」
「やっぱりそうなのね」
「ただ原寸大だけれど」
大きさはそのままだ、形も。
「けれど本物じゃないよ」
「造りものなの」
「そうなんだ、陸奥は砲台が爆発してね」
目の前のそれのオリジナルがだ。
「それで沈んだんだ」
「そうなの」
「何か艦内で色々あったらしくて」
いじめがあったという、結局この話は何処にでもある。
「それで水兵さんが爆発させたとか」
「それが原因で沈んだのね」
「そう言われてるよ」
「そうだったの」
「そう、何でもね」
「撃沈されたんじゃないの」
「うん、日本海軍の軍艦では珍しいけれど」
二次大戦の時の軍艦だ。
「撃沈で沈んだんじゃないんだ」
「事故でなのね」
「そうなんだ」
「何か曰くつきなのね」
「あの砲台はね」
「そうなのね」
「それでね」
僕はラブポーンさんにさらに話した。
「あの砲台夜の十二時に動くって話もあるよ」
「よくある話ね」
「こうした話って多いよね」
「ええ、日本にもね」
これがラブポーンさんの返事だった。
「多いわね」
「大体そうした話は夜で」
「タイでもそうよ」
「それでその夜でもね」
「十二時とかはね」
あと二時もそうだ、草木も眠る丑三つ時と言うけれどだ。
「それと夕方から夜になる」
「その時間も」
「丁度昼の世界が終わって」
夕刻から完全にだ。
「夜になる世界だね」
「その時間にもそうした話が多いのね、日本だと」
「うん、逢魔ヶ刻って言ってね」
言ってみて如何にもという時間の名前だと思った。
「その時間にもそうしたことが起こったり出るよ」
「十二時と一緒で」
「そうだよ、それであの砲台はね」
陸奥の砲台を見つつだ、僕はラブポーンさんに話した。
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