ラブライブ! コネクション!!
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Track 3 STOMP:DASH!!
活動報告14 きらきら・せんせーしょん! 2 『ファーストライブ』
とは言え、絵里さん達もツバサさん達が来ることを知らなかったみたいで、すごく驚いた表情を浮かべていた。そんな絵里さん達に――
「穂乃果さんにメールを貰って、彼女達のライブを見に来たの」
「合同ライブでは妹さん達にも世話になったからね?」
「私達は卒業したけど、スクールアイドルを見守ることは続けていくから」
ツバサさん達は言葉を繋げて説明していた。
どうやら、お姉ちゃんが呼んでくれていたらしい。もちろん学院の許可を取っての話らしいけれど。
第3回ラブライブ! ドーム大会実現に向けて行われた、スクールアイドル達の合同ライブ。
ツバサさん達も当然参加していた合同ライブ。そのライブに、私と亜里沙も参加させてもらっていた。
まだスクールアイドル始める前なのにね?
そんな縁で、私達のファーストライブを是非見て欲しいって、お姉ちゃんが彼女達を誘ったんだって。
もちろん、現役の他校の生徒。現役のスクールアイドルならば呼べないのかも知れない。
だけど、元他校の生徒。元スクールアイドルだからと、学院側も私達の応援として容認してくれたらしい。
そう、彼女達も絵里さん達と一緒で卒業生なのだ。もう私達は彼女達と同じステージには立てないんだよね。
私は、そんな気持ちが顔に出ていたのかも知れない。
私を一瞬だけ見つめたツバサさんは――
「それでも、私達の想いは後輩へと引き継がれているわ。だからコレは……敵情視察なのかも知れないわね?」
絵里さん達に向かって、大胆不敵な笑みを浮かべて言い放つ。その言葉に同じような大胆不敵な笑みを返していた絵里さん達。
お互いに切磋琢磨して、時には競い合い、時には歩み寄る。同じスクールアイドルとして、同じ道を歩んできた彼女達。
言葉にしなくても伝わる。同じ道を見据えて頑張ってきたスクールアイドルとしての彼女達の深い絆が、私の心に一筋の光を与えていた。
そして何よりも、私達の為に集まってくれた優しい気持ち。スクールアイドルの未来の為に集まってくれた暖かい気持ち。
そんな優しくて暖かい空気が、冷たかった講堂を――冷たくなっていた私の心を包み込んでくれていた。
「――やろう!」
「えっ?」
「歌おう! 全力で!」
「雪穂?」
「だって、その為に今日まで頑張ってきたんだもん!」
「「――ッ!」」
「雪穂……涼風ちゃん?」
「えぇ」
私は絵里さん達を見据えて、隣に立つ亜里沙と涼風にライブをやろうと告げた。
私の言葉に驚きの声を投げかける亜里沙。その言葉に私は言葉を繋げる。
その言葉を受けた涼風が私に声をかける。だから私は2人に向かって言葉を言い放つのだった。
亜里沙と涼風は、私の言葉に一瞬ハッとした表情を浮かべる。
だけど亜里沙は希望に満ちた表情へ一変させて私を見つめると、涼風の方へ顔を向けて賛同を求めた。亜里沙と私が見つめると、涼風は同じように希望に満ちた表情で賛同してくれたのだった。
私達は絵里さん達、ツバサさん達、そしてミキ達に見守られながら――
ステージの中央で最初の立ち位置に立つと、イントロが流れるのを待つのだった。
♪♪♪
ステージ上の照明が落ち、ピンスポットの光が私達に降り注ぐ。
刹那、ピアノのイントロが講堂全体に響き渡る。
お姉ちゃん達のファーストライブ。お姉ちゃん達のスタートダッシュ。
今私達が身に纏う、この衣装を着て歌って踊ったアノ曲。
そして、ファーストライブの動画を見てファンになった亜里沙と涼風。そんな亜里沙と一緒に同じ場所を目指そうと誓った私。
そんな私達を引き合わせてくれた、このステージに立たせてくれた奇跡の曲。
こうして私達に、スポットライトの眩しさと暖かさと心地よさを与えてくれた奇跡の1曲。
そんなお姉ちゃん達の曲のメロディに包まれながら――
今講堂で私達を見てくれている絵里さん達、ツバサさん達、ミキ達。
この場にはいないけれど、応援してくれているクラスメート達、お姉ちゃん達。
そして、私達を応援してくれているみんなに向けて――
今の私達にできる精一杯のパフォーマンスをお返しするつもりで、笑顔を浮かべて歌いながら踊ったのだった。
♪♪♪
今日のライブに向けて、どんな明日が私達に待っているのだろう? なんてね。
私達は少しずつ手探りで歩んできた。
辛くなって励ましあった時もある。意見が食い違って、ぶつかりあった時もある。
だけど言葉にしなくてもわかっていた。同じ夢を見ていると。
目指すのはお姉ちゃん達と言う名の、あの太陽。
お姉ちゃん達のような、おおきな輝きをつかまえたい。
いつかの、あの時誓った願いへと近づいて!
今、光の中で私達は歌うんだ! 今が私達のセンセーションなんだ!
私達の奇跡。それは今さ!
私達に降り注いでいる、この場所。ココなんだ!
私達の想い。お姉ちゃん達の想い。クラスメートの想い。
みんなの想いが私達を導いてくれた場所なんだ。
だから本当に、この瞬間。今を楽しんで!
みんなで叶える物語を書き綴ろう。そう、夢の物語の1ページを。
照らされた光はまぶしいな。 とても気持ちがいいな。 だから、おいでよ?
この場所で歌えるのはうれしいな。 応援してもらえるっていいな。 だから、もっとね?
もっと想いをひとつに。目指す場所をひとつに。みんなと夢見る場所をひとつに!
これからもみんなと、ひとつになりたい。そう、こころをキラキラ輝かせたい!
ステージに照らされている光だけではない。みんなの場所も。みんなの心にも。
♪♪♪
歌い終わり、メロディが消えて3本のスポットライトに照らされた私達を、暖かな拍手が包み込んでくれていた。
ツバサさん達と絵里さん達はスクールアイドル達を何人も見てきている。そして、その中でトップを走り続けてきた。
そんな人達からすれば、私達のパフォーマンスなんて全然ダメなのかも知れない。
それでも、今の私達の精一杯の想いを伝えたつもり。これからも精一杯伝えていきたい。
私達の想いを感じ取ってくれたのだろう。全員が満面の笑みを浮かべながら惜しみない拍手を与えてくれていたのだった。
私は全員の満面の笑みを眺めてから、笑顔で亜里沙と涼風の方へと笑顔を向ける。
歌い終わったばかりだから息が上がって声にはならない。それでも亜里沙と涼風も同じ笑顔で私を見つめていた。
私達は顔を見合わせて、無意識に衣装に手を当てていた。
汗でビッショリになっているけれど、歌う前よりも何故か馴染んでいるような気がする。
あっ、別に縮んだとかじゃないよ?
きっと、同じ道を進んだ――ひとつになれたからなんだと思う。
これが、お姉ちゃん達が見てきたもの。
これが、お姉ちゃん達が感じてきた想い。
これが、お姉ちゃん達の目指しているライブなんだ。
私は未だに鳴り響く拍手に包まれながら、ライブの余韻に浸っていたのだった。
♪♪♪
そんな拍手だけが鳴り響いている講堂。余韻に浸っている私の耳に階段を下りてくる足音が聞こえる。
「――お姉ちゃん?」
足音に気づいた私が振り向くと、制服姿のお姉ちゃんが私達の方へと歩いてきたのだった。
だけど普段と雰囲気が違う。お姉ちゃんとは思えないくらいの冷ややかな表情。
ううん。今の目の前のお姉ちゃんの雰囲気を私は初めて見た。まるで――
今の講堂を包み込んでくれている『充実感に溢れている』私達のライブを全否定するかのように。
なんで、そんな表情で見ているの? 自分のライブ直前だから?
精神を集中しているのかとも思ったけれど、お姉ちゃんは『完璧よりも楽しむ』方を優先する。
そう、ライブの完璧さよりも、みんなで一緒に楽しんでいられるライブを目指しているんだ。
そんなライブに亜里沙と涼風は惹かれているんだって。
私もそうなんだけどね?
そう言う部分が『応援したくなっちゃう』んだと思うし、そんなライブが『みんなで叶える物語』なんだろうね?
それには自分がまず楽しめなくちゃ、ファンの人を楽しませることなんてできやしない!
それがお姉ちゃんの考えだ。
だから、今日のライブが再スタートだからとか、トップアイドルとしての重圧とか。
そう言うモノで違う雰囲気を醸し出すなんて考えられないのだった。
そして、お姉ちゃんは――
『決して人を見下さない』のだ。
例え、どんなに私達のライブが低レベルだったとしても。
何よりも、私が自分達だけでライブを開催するって言った時、お姉ちゃんは確かに応援をすると言ってくれた。
お姉ちゃんは自分が言ったことを『なかったこと』にして、反対の行動をするような人じゃないって思っている。
もちろん、実際に私達のライブを見た上での厳しい指摘はあるのかも知れない。
それでも、こんな表情を浮かべてまで否定をするとは思えない。
確かに私達のライブはお姉ちゃんが想像していたのよりも、見るに耐えないほどの、お粗末で見ていられないような、ガッカリしたパフォーマンスだったのかも知れないけれど?
お姉ちゃんはソコを突きつけて蹴落としたりはしない。
そもそも誰かを突き落として自分達が優位に立とうとは思っていないだろうし、スクールアイドルを侮辱しているなんて思ってもいないだろう。
お姉ちゃん達はスクールアイドルの頂点。すべてのスクールアイドル達の憧れ。
だからと言って、お姉ちゃん達はお姉ちゃん達。最初から何も変わっていないんだと思う。
だから最初から見てきた私は、お姉ちゃんの表情に違和感を覚えていたのだった。
そう、お姉ちゃんは絶対に相手に欠点を突きつけて蹴落としたりはしない。
きっと、相手を褒めて応援して――
自分自身がもっと上を目指して頑張る人なのだから。
だから私は、きっと目の前に来たら表情を一変させて――
「……うん。良かったよ? 3人ともお疲れ様!」
って、満面の笑みで声をかけてくれるのだと思っていた。なのに――
「……それで、この先どうするつもりなの?」
目の前まで来たお姉ちゃんは表情を一切変えずに、冷たい口調で、冷たい言葉を、ステージ上の私達を見上げながら突きつけるのだった。
後書き
Comments 絵里
ライブお疲れ様でした。
遅れるつもりではなかったのだけれど、先生との話が長引いてしまったの。でも、間に合って良かったわ。
ライブ……とても感動したわ。正直、あそこまで出来るとは思っていなかったから驚いてもいるのよね?
とにかく、お疲れ様でした。これからも頑張ってちょうだい。
Comments 希
まずはライブお疲れ様やね。
3人のファーストライブが見れて良かったって思っとるよ。
そうそう! 社務所使わせてもろうてたんやから、いつでも良いから神主さんにお礼言っておくんやで?
ほな、これからも頑張ってや!
Comments にこ
まったく……折角良いタイミングを見計らって、このにこ様が現れてやろうと思っていたのに希が暴露しちゃったから台無しじゃないの。
ま、まぁ? あんた達も中々やるんじゃないの?
このにこ様には負けるけれど!
この調子で、これからも頑張りなさいよね!
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