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HUNTER×HUNTER 六つの食作法

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012話

森の中を駆け抜けながら指から伸びている鎖の反応を見つつ周囲警戒をする。何処から来るのかまだ解らない、鎖の反応は著しく変化し続けている。相手も鎖の特性を良く理解している。故に警戒は常にしていなければならない。

「何処だ、何処から来る………っ!後ろか!!」
「遅い!!」

鎖に反応した先に身体を向けるがそこには既に攻撃態勢を整えている敵の姿があった、大きく振りかぶっている腕がかなりの速度で迫ってくる。

「紙絵!!はっ!」
「ぐぅ!」

パンチの拳圧に逆らわずに身を任せて攻撃を自然に、風に揺らぐ草のように回避しつつ腕へと鎖を巻きつけそのまま強く締め付ける。強い圧迫感と肉に食い込んでいく鎖の冷たさに一瞬顔を顰めるとそのまま鎖に掛ける力を強くして大きく振る回すように木へと叩きつけた。

「……嵐脚!!」
「くっ!」

木に強く叩き付けられたがダメージは少なくそのまま敵、シャネルは嵐脚での反撃に出た。鎖使い、クラピカはシャネルにいまだ巻き付けたままの鎖を一旦消してそのまま後退し回避し人差し指の、先が三日月になっている鎖を伸ばしシャネルに向けた放った。

「(鉄塊で防御、否不味い!)」

皮膚を鉄の光度にまで強化して防御する鉄塊を取ろうとするが即座に鎖の危険性を理解し横っ飛びでその場から退くが鎖は易々と木を切り裂くように貫通しそのままシャネルを追いかけるように弧を描きながら木々を切断しながら追う。

「ナイフ!!」

右手をナイフのような形に変えつつ迫り来る鎖へと振るい強く弾き返すがすぐさま鎖は自分へと迫り直して来る。迫ってくればナイフで弾き再び迫ってくるのを何度も何度も繰り返しつつシャネルは鎖の硬度と切れ味に驚きを隠せなかった。師としてクラピカに念を教えているがクラピカの能力の全ては把握していない。

「(鉄程度なら俺のナイフは切断可能、だがこの鎖は俺のナイフと同等の切れ味だ!)らぁあ!!!」
「(流石はシャネルだ。この鎖と同等の切れ味とは……!)」

鎖その物が鋭利な刃物、しかも鉄程の硬度ならば切断可能なほどの力を秘めている高い攻撃力を有している。それを強化した腕一本で凌いでいるシャネルもだがクラピカも大したもの。

「(ちっこのまま時間を掛けすぎたら俺の方がガス欠になっちまうぜ、それもクラピカの狙いだろうけどな)ナイフ、&フォークッ!!!」
「ッ!!」

強く大きく鎖を弾いた所へ左手で放つフォーク状の念弾がクラピカ目掛けて飛んで行く、その数5。攻撃の意識を防御へと割き先程シャネルを探す為に使用していた鎖でフォークの正確な弾道を把握してそれらを全て受け止める。

「ちっ、やっぱりそうなるか」
「(なんて威力の念弾……!伝わってくる衝撃で手が痺れそうだ!!)」

クラピカが具現化した鎖は全部で5本。右手の各指に装着された5本の鎖で戦うと言うスタイルを取るが特質系を発揮した時にのみ使う、幻影旅団だけに使うという制限がある為実質今の戦闘で使用出来る鎖は4本。

「クラピカ、お前の鎖は大した物だぜ。俺の能力とほぼ差し支えない」
「師匠が良いからな」
「褒めるなよ」
導く薬指の鎖(ダウジングチェーン)切断す人差指の鎖(カッターチェーン)。師匠であるシャネルのお陰で出来たのだからな」

集中力を強化しダウジング効果を発揮し防御にも応用出来る薬指の鎖、高い切れ味によって高い攻撃力を持つ人差指の鎖。旅団以外での主な戦闘で使えるのはこの二つ、特に人差指の鎖はシャネルのナイフが大いに参考になっている。

弟子であるクラピカの念能力、具現化された鎖の名称を聞くと思わず嬉しくなってくる。これが弟子の成長を実感出来た師と言うものなのだろうか、実に興奮する。あれが自分が育てた弟子だ、これからも更に昇華させて見せると思ってしまう。口角が上がってしょうがない。これだけ嬉しい思いをさせてくれたのだから新しい技を見せる他あるまい。

「ならクラピカ見せてやるよ。俺の新しい技をな」
「見せて貰うぞシャネル、私の師が偉大な所を」
「ふぅ~……いただきます、はぁぁぁぁぁ……!!!」

一度合唱をし直すとシャネルは一気にオーラを放出し始まる。先程とは比べ物にならないほどの量、森の一角を多い尽くさん程の量のオーラが迸っている。人差指の鎖を伸ばして何時でも迎撃体制を整えるクラピカ、そしてシャネルは握り拳を作りそのまま真っ直ぐ突き出した。

「行くぜ、箸ッ!ハッ!!」

強い言葉と共に射出された念、フォークと同系統の念弾攻撃だとクラピカは人差指の鎖で念弾そのものを切断しようと操作するが念弾は鎖を挟みそのまま完全に動きを封じた。

「なっに!?」
「そぉらよっ!!」

大声を上げつつ突き出した腕を真上へとあげると念弾もそれに呼応するように鎖を挟んだまま上へ向きぐるぐると鎖を絡め取るように回り始める、鎖が引っ張られ動きが封じられすぐさま鎖を消すがそこへ迫ってきた指銃。

「「剃!!」」

回避の為に一気に加速するがそれは読まれていたのか全く同時に加速し背後を取られ豪腕によって背後から抱き締められるような形で捕縛される。こうされてしまってはクラピカに脱出の手段は無い、単純な腕力で言えばシャネルに敵う道理など無い。肩に置かれた顎の感触に身体を硬直させてしまう。

「俺の、勝ちだなクラピカ☆」
「あ、ああ。わ、私の負けだ……だ、だから早く離してくれ……」

耳元で囁かれるように告げられた勝利宣言を受け入れつつも吐息交じりの言葉に顔を赤くしながらクラピカは開放された。同時にシャネルは地面に座り込みしんど~と間の抜けた声を上げた。

「あ~……疲れた、この能力結構オーラとカロリー使うんだよなぁ……」
「最後の"箸"っという奴か?」
「ああ。ナイフやフォークと違って精密な操作を要求される技でな、その分オーラを使うからカロリー消費もでかい。あんま使い勝手の良い能力じゃねぇかも」

大らかでどちらかと言えば大雑把で豪快な性格なシャネルにとって細かく繊細な操作が要求される技との相性は良いとは言えない。必要と感じで作った訳だが苦手な分類である為に制約を他の技よりも重くした分、燃費自体はかなり悪くなってしまったようだ。

「にしてもクラピカ、あの鎖は切れ味抜群だな。おかげでほれ、俺のナイフもタジタジだぜ」

右手を見せてみるとそこにあったのは刃こぼれしているという表現が相応しい右手(ナイフ)。傷も出来て血も流れている。

「す、すまない今治療する」
「おう頼めるか」
「ああ、癒す親指の鎖(ホーリーチェーン)

先端が十字架になっている鎖が右手に巻きついていくオーラを発していく。そのオーラによって自己治癒力が増強されていき右手の傷が少しずつであるが修復されていく。10分ほどすると右手は全快の状態にまで修復された。

「うっし治った、サンキュウなクラピカ」
「いや大した事はしていないさ」
「さてとクラピカ」
「ああ」

真面目な顔つきへとなったシャネルは真っ直ぐと茶化す事無くクラピカを見つめる、それに答えるように真っ直ぐと見つめなおすクラピカ。

「お前は念の基本から応用まで習得した、見事だ。半年足らずで此処まで来るとは……才能の塊って奴だな」
「何度でも言うぞ、師匠が良かった」
「へっ師が良くても努力が足りなきゃ何も出来ねえよ。そして、裏ハンター試験合格だ」
「裏、ハンター試験?」

ハンターライセンスを取っただけでプロハンターを名乗れる訳ではない。本来のプロハンターは念能力習得しそれを扱える人間の事を指す。しかし念の存在を下手に公にすれば、能力を悪用するハンター紛いの犯罪者を大量に生み出す事になってしまう為に試験に合格したものに念能力を習得している者がこっそりと教える事になっている。まあクラピカの場合は既に念を習得していたシャネルが教えていたが。

「成程、これで本質的に私もプロハンターと言う訳か」
「そう言う事。さてと、そろそろ行くかヨークシン」
「ああそうか。そろそろ約束の日が近いな」

ゴン達と再会を誓った9月1日、その日は既に近くなっている。そろそろ向おうとしないと遅れて間に合わなくなってしまう、出発する時が来たようだ。

「さてと、久しぶりの都会かぁ……」
「修行ばかりで文明的な物はあまり無かったからな」
「だな。あ~飯食いたいなぁ」
「そればかりだな、シャネルは」
「なんなら映画でも見に行くか?デートみたいに?」
「い、幾ら私が女のようだからと言っても一応男同士だからデートは可笑しいだろぅ!?」 
 

 
後書き
戦闘食事 テーブルマナー

放出系+操作系+強化系能力

・箸
:握り拳にした両腕を箸に見立てた攻撃。箸状の念弾を飛ばし攻撃する。
相手にダメージを与えるよりも箸念弾で相手の武器や身体を拘束し自由を奪うのが目的。
性格上苦手な為か、それをカバーする為に多くのオーラとカロリーを消費して発動する。
本人曰く、使い勝手が良くない能力。


切断す人差指の鎖 カッターチェーン

具現化系+変化系能力

先端が三日月状をしている鎖。
鎖に纏わせているオーラを鋭い刃物に変化させ鎖全体で切り裂く。



クラピカの人差指の能力はオリジナルで攻撃系のものとさせていただきました。
理由としては直接戦闘に有用な取り回しのいい能力が足りない気がしたので、具現化系と相性が良い変化系で、ゴンのチーのように切れ味のオーラを纏わせるというものにしました。 
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