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女提督の航海(後悔)日誌

作者:蘭丸
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元帥の警告

 
前書き
夢から覚める海斗。娘の唯を学校へ行くよう促して仕事の前に朝食を摂ろうとすると、電話が掛かってくる。掛けてきたのは海斗が本条、おっちゃんと呼ぶ、既に軍を退役した元帥だった 

 
ー伊豆・霞家ー


海斗「ぶぁっくしょいっ!」

唯「お、お父さん風邪引いた~?」

海斗「んー、ちょいと昔のコトをなー(あー、なげぇ夢だった…)」

唯「昔のこと?」

海斗「んあ?ああ。そんなコトより、そろそろ学校行く時間だろ?遅刻すっぞ?」

唯「う、うん!朝食は用意しておいたからちゃんと食べてねっ」

海斗「おう」

唯「じゃ、行ってきまーす!」

海斗「かぁ~っ何であの時のコトいまだに夢に見るんだぁ…鎮守府とはさようならしただろ……ってさっさと朝メシ食って仕事仕事っ!あ?電話?はいもしもし、霞です」

本条[よう、暇人]

海斗「その声は…元帥か!」

本条[おう、元帥じゃ]

海斗「何の用で掛けてきたんだ?オレもうあんたらと関係無いだろ?」

本条[そう言うな。それとも軍のお偉いさん達に鎮守府を捨てた役立たずの提督と言われた事、まだ根に持っておるんか?]

海斗「まぁな…って、思い出したくもねーコト言うなっ!」

本条[すまんすまん]

海斗「仕事が有るんだ、もうき…」

本条[まてまてっ切るなっ]

海斗「いい加減にしてくれ。オレは提督を退いてるんだから軍とは縁も無いし」

本条[よっ用件を言うから、切らんでくれ~]

海斗「何なんだよ」

本条[今直ぐ、いや直ぐには無理かもしれんが、唯ちゃんを連れてそこから離れるんじゃ]

海斗「元帥どういうことだよ」

本条[その元帥というのはやめんか?ワシだってもう退役してる身なんじゃから]

海斗「本条さん、いやおっちゃん、唯を連れて行けってどういうコトだ?」

本条[お前さん達が生活している地域に深海棲艦が上陸する恐れが有る]

海斗「はぁ?」

本条[小笠原諸島上空を飛行していた哨戒機から深海棲艦の集団が北上していると報告が有った。伊豆へ向かうかはまだ分からないんじゃが、そろそろお前さん達のところにも避難勧告が出るハズじゃ]

海斗「何処へ行けってんだ?」

本条[そうじゃのぉ、お前さんの奥さんの鎮守府なんてどうじゃ?]

海斗「はぁ?移動し続けてる鎮守府なんかに唯を連れていけるワケないだろ?」

本条[それは心配要らん、何処に居るかは把握しておる。鎮守府がどの海域に居るか、何処の中継地点で停泊したかは大淀に逐一報告を受けておるからの。それにどうしても唯ちゃんに学業を専念して欲しいとお前さんが言うなら、練習巡洋艦の鹿島を家庭教師として付き添わせるぞ]

海斗「くそがっ…(どの面さげてあいつに会えってんだよ)」

本条[何じゃと?]

海斗「あ、い、いや何でも無いんだ…鎮守府の居場所が分かっててもよ、海の上なんだろ?」

元帥[それも心配はいらん。近くの港にお前さんと唯ちゃんを移動要塞型鎮守府まで護衛する為の艦隊を数日前から待機させておる]

海斗「オレ達がここ離れる前提でコトが進んでるのかよ…ハァ、一応…唯には聞いてみるが、万一深海棲艦が伊豆へ上陸したとして、オレと唯以外の人達はちゃんと守ってくれるんだろうな?」

本条[それはワシからは何とも言えんし、助かるかは住民が避難勧告に従って避難するかどうかにかかっておるんじゃが。なんせ深海棲艦が初めて陸地へ上陸してから、4、5年経っておる…その間に艦娘達の活躍によって日本近海に潜伏していた深海棲艦はほぼ退けられ、一般人の危機感も薄れつつあるからのぉ]

海斗「考えてても仕方ないな…まぁ、唯が桜のトコへ行きたいって言ったら、そん時は宜しく頼むよ。家庭教師の鹿島もな」

本条[そういうトコロは現金なヤツじゃの…]

海斗「おっちゃんが寄越してくれるって言ったんだろ?」

本条[はっはっは、そうじゃったのぉ。それと、お前さんにやって欲しい事が有るから、また日を改めて連絡するわい]

海斗「おうよ。…はぁー、大淀に連絡取ってみるか…(おっちゃんは鎮守府がどこに居るか把握してると言ってたが…大淀はともかく桜はその事知ってるのか?)」 
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