HUNTER×HUNTER 六つの食作法
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010話
「………」
森の小川の近くの上で座禅を組み精神統一に励んでいる者が一人、その名はクラピカ。プロハンターの仲間入りを果たし現在はハンター試験にて知り合った仲間であるシャネルの元で念能力と六式の習得に励んでいた。念能力を開花させるためには己の体内にあるオーラに気づかなければならない、その為に禅を組みひたすらに集中していた。
「………(体内にあるオーラ、それを気づく……生命が持つエネルギー、どんなものなのか)」
禅を組みつつもクラピカはオーラと言うものについて思わず考えてしまっていた。1週間ほど前に念についての概要を知り、その力を目の当たりにしたが自分には何が起きているのか理解する事さえ出来ずにオーラと言うものがどんな物さえ理解出来ていない。そんなものに本当に気づけるのだろうか……不安に包まれているとポンっと優しく頭の上に暖かい感触が乗った。指導をしてくれているシャネルだった。
「集中が乱れてるぜクラピカ、考え事か?」
「ああ、オーラと言う物を知っていないのに呼び起こせるのか不安になってしまって」
「成程な、ある意味正しい反応かもな。ちょっと休憩するか」
一旦修行を切り上げて休憩を兼ねた食事に入る。メニューはシャネルが森で捕獲して来た猛獣、本日はグレートスタンプの近縁種の赤毛ブタである。
「オーラと言う物は具体的にどのような印象を受けるんだろうか、どうにも解らず要領を得ない」
「むぐぅ……(ゴクン)一言で言えば不思議な感覚だな。一番最初にオーラを感じたときに思うものは全身を包む感覚、そうだな……身体の中にある炎をイメージしてみたかな俺は」
炎と言われて胸に手を当てて考え込むクラピカ、余計な事を言って混乱させてしまったかもしれない。少々悪いと思ったのかシャネルはバックから適当なネックレスを取り出しそこへほんの僅かにオーラを纏わせそれをクラピカへと投げ渡す。
「そいつを首に掛けな、ほんの僅かに俺のオーラを纏わせた。そいつのオーラを感じられれば自分の中のオーラも探しやすいだろう」
「シャネル……すまない、感謝する」
「良いって事よ、さっ早く食べて続きやるぞ」
っとそうだ後ひとつ良い事を教えてやるよといって肩に手を置いて笑顔でこういった。
「大切なのは疑問を持たずに出来ると思う事だ。出来て同然と自分で思い続けるんだ」
「出来て当然……」
「そう。空気を吐くのが当たり前位に、木の枝をベキッと折るのと同じようにな」
食事を済ませると早急にクラピカは座を組んで集中し始めた、イメージするのは自分の体内にある大きなエネルギー。そして強く思う、自分は絶対にオーラを感じられる、それを感じ取り使う事が出来ると思い続ける事。その認識が自信となり力となっていくと。
「(おっオーラの流れが変わったな)」
座を組みながら集中し続けているクラピカを眺めているシャネルには変化が良く解った。普段から人間が出しているオーラの流れが変わり始めている、恐らくまだ本人はまだ感じ取れていないだろうが放出されているオーラが増えている。体中にある精孔という穴が開き始めている。
「(これは、直ぐに感じ取れそうだな)」
意識が完全に身体の中へと向かって伸びていく、それすら感じ取れる程の集中力を発揮しているクラピカは徐々に何かを気づき始めていた。何か、暖かな何かがあると解った。少しずつゆっくりとそこへ歩みを伸ばしていく。気づけばその暖かみの先へと進み理解して行く、それが自分の中に眠っているオーラである事を。
『これが、オーラ……』
そう実感出来た時シャネルから渡されていたネックレスに込めれたオーラを気づいた。そしてゆっくりと目を開けると驚いた、自分の身体から蒸気のようなものが溢れ出し身体を覆っているのだから。そしてシャネルが酷く驚いた表情でこちらを見つめていた。
「………おいおいすげえなおい、精孔開いた直後に自分で纏を行ってる?なんか悪い冗談かよ」
「これがオーラ……確かに不思議な感覚だ……だが暖かい…」
誰かに優しく抱き締められているかのような感覚を味わっているクラピカ、とても心地が良かった。そして首から掛けられているネックレスのオーラがその大元になっているのが解った。
「このネックレスが私を導いてくれた、オーラまで連れて行ってくれた」
「そりゃおまえさんの才能だよ、俺のオーラに気づけるってレベルまで既に至ってたのさ」
「それでもシャネルの助言が無ければ出来なかった、ありがとう」
笑みを浮かべて笑い掛けてくるクラピカ、明るい笑みに思わずくすぐったい思いをしつつ笑い返す。
「ぁあ~んじゃこれから厳しくやってくからな!特に普通の念を覚えるだけじゃなくて六式も覚えるんだから!」
「ああ望む所だ、シャネル。いや、師匠」
「クラピカ、お前俺からかってるだろ?」
「うん?何の話かな」
それからの修行は通常の物よりも激しさを増していく、特に六式に感じては完全な体術な為文字通り身体で覚える必要があり厳しさを増していく。
「そぉおらぁっ!!」
「紙絵ッ!」
六式を覚える為の修行は対戦形式、実際に戦って六式を体験しそこから練習し定期的に戦って応用すると言う物。これはクラピカの戦いの経験をつませると言う点においても良い影響を与える修行となっている。今現在も戦っているがシャネルのラッシュが起こす風圧に身を任せて回避し続けている。
「上手くなってきたじゃねえか!!なら、これは避けられるか!!」
ラッシュを止め一歩後ろに引くと右腕を大きく震わせ地面ごと抉るように爆風を巻き起こす、風圧に身を任せて回避を行う紙絵では意味を成さない攻撃を如何するか。
「っ!はあっ!」
「おっとぉ!!」
瞬時に加速、剃を行ったクラピカは背後を取りそのまま強烈な蹴りを首へと繰り出すがそれをあっさりとガードするシャネルだがその顔は笑っていた。今の蹴りは嵐脚にかなり近い物になっていたからだ、その証拠に僅かにガードした腕の皮膚の一部が切れて血が流れている。
「良し此処まで!やっぱり筋が良いなクラピカ、やっぱり天才ってば何にしても覚えが良いだな」
「いやシャネルの教え方が良いんだよ」
クラピカは間違いなく天才である、修行を初めて既に六式の内二つを扱えるようになり嵐脚も体得寸前。ある意味キルアより筋が良い、まあそれについてはキルアよりも素直でしつこくないからしっかりと指導しているからであるが。
「さてと……練も十二分なレベルにまで来てるし、良し決めた。明日は遂に初の修行には入るぞ」
「ほ、本当か!?そ、それではシャネルのフォークなどの技と同じ次元には入れるのだな!!」
「おう明日を楽しみにしてな」
ガッツポーズをしつつ拳を握り締めて見つめるクラピカ、漸く此処まで来たと言いたげな様子に微笑ましくも感じていた時ポツリと額に水が掛かった。気づけば空はどんよりとした雲に包まれており徐々に雨が降り始めて来た。
「雨か」
「身体冷やして風邪引くといけねぇ、確か近くに洞穴あったはずだそこ行こう」
荷物を持って大急ぎで洞穴へと向かって行くが途中本降りになった雨はザーザーと容赦なく二人へと降り注いで行く。
「こりゃ堪らん!大丈夫かクラピカ!?」
「ああ大丈夫だ!」
洞穴に到着した時に全身ずぶ濡れになっていた、服が身体に張り付きなんとも気持ち悪かった。
「ふぃ~、こりゃ簡単に止まないだろうなぁ……」
「ああ、凄い雨だ」
「兎に角っと」
「参ったな……ッ!?」
如何するかと聞こうとした時に見たのは上着を脱ぎ半裸となりながら洞穴の中にあった枝などを集めて火を熾しているシャネルの姿だった。酷く鍛えられた身体はがっちりと筋肉があり円で鎧のようだった、腹筋も当然のように六つに割れていて逞しかった。思わずそんな肉体美を見せられたクラピカはぼぅっと見惚れていた。
「うっし火が付いた。これで服乾かせるぜ、おいクラピカ服を……って如何した、こっち見て?」
「………ッな、なぁんでもない!?なんでもないんだ!!?」
「そうか?でもお前顔真っ赤だぞ?もしかしてもう風邪引いたのか!?」
「ち、違う!私は健康その物だ!そ、そのタオル無いか!?身体を拭きたいんだ!」
「ああそう言う事か。悪かったな気がつかなくて」
バックからバスタオルほどの大きさのタオルを投げ渡すとクラピカは背を向けて真っ赤になった顔を隠しながらタオルで身体を隠しつつ服を脱いでシャネルへと渡した。
「うっしこれで日に当ててればその内乾くだろ」
「そ、そうだな……」
腰掛けつつ火を弄るシャネルはなんとなくタオルを羽織って顔を背けて入るクラピカに目をやって見る。水に濡れた髪は酷く艶やかな物に見えた、元々細い身体のクラピカが雨に濡れてタオルで身体を覆っている所は官能的に思えた。
「こうして見るとやっぱクラピカって綺麗だな、マジで女みたいだ」
「や、やめてくれ私は歴とした男なんだ」
「いやだとしても妙に色っぽくてな、生まれてくる性別間違えたんじゃねえか?」
「……まあ言われた事もあるが(間違えている、か。確かかもしれないな……)」
ハッとするクラピカ、何を考えているのだと頭を振るった。自分でもどうしていきなりそんな事を思ったのか理解出来なかった、そう思ったのは間違いは無い。シャネルに対する思い、がそうなっている。
「(何を思っているんだ!?ち、違うこれは、そうだ師である彼に対する尊敬と親愛の思いだそうに決まっている!!)」
そう無理矢理結論付けるように考えと感情を押さえ込むと沈黙したまま火に当たる。だが心は騒ぎ続けていた。まるでそれは違うと叫ぶように……
後書き
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