聖闘士星矢 黄金の若き戦士達
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333部分:第四十五話 激突の果てにその五
第四十五話 激突の果てにその五
「では。行こう」
「うむ」
彼等は破壊され半壊状態となった空中庭園を降りた。その彼等を六人の聖闘士達が出迎える。イラクでの戦いもこれで終わったのであった。
イラクでの戦いは終わった。しかしであった。既に四つの地域での戦いが行われた。トラキアではそのことについてエリスと八大公達の中で話し合いの場が持たれていた。
「まずは四つだ」
「はい」
「これでもう四つです」
エリスの前に片膝をつく八大公達はそれぞれ彼女の言葉に応えた。
「残るはあと四つ」
「半数の封印が解かれました」
「まずはドーマよ」
エリスはここで既にトラキアに戻ってきているドーマに対して声をかけた。見れば彼もエリスの前にその片膝をついているのであった。
「この度の戦い御苦労であった」
「有り難き御言葉」
ドーマはエリスのその言葉に対してその重厚な声で礼を述べた。
「そなたの戦いによりまた一つ封印が解かれた」
「はい」
ドーマはエリスに対して一言で応えた。エリスはここでさらに言うのだった。
「この四つの封印が解かれたことによりあの者達が出られることになった」
「はい、遂に」
「あの方々が」
八大公達の声がここでいささか弾んだようなものになっていた。
「戻って来られるのですね」
「このトラキアに」
「左様。あの者達が戻って来る」
エリスの声も笑ったものになっていた。
「そうなればだ」
「我等の力は大きくあがります」
「聖域を圧倒できるようになります」
「だが」
しかしであった。ここでエリスの言葉は制止するようなものになるのだった。
「問題はだ。あの者達が封印されている場所がわからん」
「その場所がですか」
「わからないと」
「その魂は冥界にある」
魂はそこにあるというのだ。
「ハーデス様とは離れてな。あの場にある」
「しかし現身はこの世にあられる」
「封印されたばかりに」
「その通りだ。思い返すだけでも忌々しい」
エリスの声は今度は怒ったようなものになった。忌まわしい思い出を思い返しそのうえで怒りを感じている、まさにそうした声であった。
「あの時の教皇によってな」
「あの方々は封印されました」
「忌まわしいことに」
八大公達の声もエリスのそれと同じ色になっていた。やはり忌まわしさを深く感じその中で怒りを見せるものになっているのであった。
「ではその現身を探し出し」
「そのうえでこちらに戻って頂くことに」
「それにはだ」
エリスはまた言ってきた。
「既に探し出すべき者達を選んでいる」
「といいますと」
「どの者達でしょうか」
それはまた八大公達も知らないことであるらしい。エリスに対して今ここで怪訝な声をかけたのがそれの何よりの証拠となっていた。
「狂闘士の者と思われますが」
「それは一体」
「安心するのだ」
ここでこうも彼等に告げるエリスであった。
「そなた達の戦力を削るようなことはせぬ」
「それはですか」
「ないというのですね」
「ということは」
何人かはこれで気付いたのだった。
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