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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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着ぐるみかくれんぼ

 
前書き
足が・・・筋肉痛で動かない・・・

シリル「はっちゃけすぎたんだよ、きっと」

それは否めないな・・・

レオン「マッサージしてやろうか?」←加減ができない人
ソフィア「ソフィアがやってあげようか?」←なぜかシリルを見てる人

お前らにやらせると後々に響きそうだから遠慮しておく

レオソフィ(|| ゜Д゜) 

 
シェリアside

「ミリアーナ!!一度落ち着け!!深呼吸しろ!!」

黒くて艶やかな髪をした女性の怒声が飛び交うフィールド。ただ、その声をかけられている猫耳の女性はよほど頭が混乱しているらしく、オドオドしているだけでなかなか落ち着きを取り戻せないでいる。

『ゲーム終了!!ウェンディ選手が成功しましたので、第二戦《クォータージャンプ》!!勝者!!小さき魔術師(リトルマジシャンズ)です!!』

すると、二人の人魚の呼吸が合うよりも早く、ゲーム終了のアナウンスが鳴り響く。それを聞いた瞬間、あたしは思わず両手を上げて叫びそうになったんだけど・・・

「よっしゃあ!!」

それよりも早く、ガッツポーズしながら大声で声を張り上げた少年がいました。

「「「「・・・え?」」」」

それに思わず面を食ってしまった、その場にいる四人の女性陣。普段飄々としている少年が喜びのあまり大きな声を出したことで、勝ったことに対する喜びが完全に飛んでいったあたしとソフィアは、いまだに喜びに体を震わせている少年をポカーンと見つめています。

「・・・ハッ!!」

その視線に気付いた彼は、こっちの様子を伺うような、子犬のような目で見た後、小さく咳払いをして何事もなかったかのような表情でそっぽを向いてしまいました。

「く・・・クフフフフ・・・」

その姿にお腹を抱えて膝をついている銀髪の少女の気持ちがすごいわかる。でも、それと同時にレオンがあれだけ喜んでいた理由もすごくわかるんだよね。

ゲームが開始していくと、本物のカグラの策略であたしとソフィアが見破られてしまい、レオンとカグラの一騎討ちになっていました。ただ、レオンもかなりボロが出ていて、いつ見破られてもおかしくない状況だったんだけど、ミリアーナさんがリオンのことをあまり把握できていないことをうまく利用し、ギリギリながらもここまで粘ることができました。いつやられてもおかしくない状況で役割り果たしたことに、レオンは喜びを爆発させていたんだろうな。

(後で運営から写真焼き増ししてもらおっと)

この大会の様子は後々街の中に張り出されることになっている。そのための写真を運営が撮っているはずだから、きっとさっきのガッツポーズも撮されているはず。それを想像しただけで、あたしも嬉しくて頬を緩ませてしまう。

「何笑ってんの?二人とも」

大爆笑のソフィアと笑いを堪えているあたしのステージの下でジト目をしているのは、さっきまで目の前の離れ島にいたはずの氷の神。いつの間にそこに来ていたのかわからなかったあたしたちは、びっくりして二度見をしちゃった。

「ほら、早くシリルたちのとこに行こうぜ」

まるでさっきのことをなかったことのように振る舞うその姿に、ますます笑いが込み上げている。あたしが笑いを懸命に堪えていることに気付いたレオンは、恥ずかしさで徐々に顔を赤くしていきます。

「別にいいだろ!!喜ぶくらい!!」

そう言ってウェンディたちの方へと全速力で駆けていくレオンを見て、まだまだ子供なところもあるんだと、微笑ましく思っちゃいました。



















シリルside

ブスーッ

無事に勝利を終えた決勝戦第二試合。ウェンディと共に勝利の喜びを分かち合った後、レオンが駆けてきて褒めてくれたんだけど、その後に来たシェリアとソフィアの二人のある行動で、レオンが頬を膨らませてしまったのである。

シェリアとソフィアも俺たちに称賛の言葉をかけてくれたんだけど、その直後にソフィアがレオンの顔を見て盛大に吹き出してしまったのだ。
さっきまで別のフィールドで彼女たちは頑張っていたので、何をやっていたのかはわからない。だからソフィアがなんで吹き出したのかはわからないけど・・・レオンとしてはそれが面白くなかったようで、ヘソを曲げてしまったのだった。

「レオンごめんってば」
「こうやって謝ってるんだからゆるププッ・・・」

彼の機嫌を直そうとシェリアとソフィアが声をかけたが、大事なところでソフィアが笑ってしまったためますますレオンを怒らせてしまう。こりゃもうダメだな。

『続きまして第三戦のゲームを選出します!!』

そんなことをしている間に次のゲームを決めるためのルーレットが開始される。

「ほら、レオンも切り替えなよ」
「わかってるよ」

まだムスッとしたままだが、ゲームに臨もうとしている姿勢は感じ取れるのでひとまずよしとするか。後でシェリアから何があったのか聞くことにしよっと。

『第三戦のゲームは《着ぐるみかくれんぼ》です!!』

視線を魔水晶(ラクリマ)ビジョンに向けると、すでに確定したゲーム名が表示されていた。だけど今回のゲームは、今までよりも内容が予測しやすそうな名前でよかったぁ。

『それでは、両チームプレイヤーの選択を行ってください。最初に言いました通り、すでにプレイヤーを担当した方は出ることはできません』

こちら側で残っているのは俺、レオン、ソフィアの三人。対して向こうはカグラさん、リオンさん、ユウカさんの三人か。

「みんなわかってると思うけど、この試合はスッゴイ重要だよ」

明らかに体に力が入っているのがわかるような動作を織り交ぜながらそう言ったのは天空の神様。その言葉に、全員が賛同するようにうなずく。

「ここを取れば二勝一敗で優勝にリーチをかけられる」
「でも、負けたら逆に王手をかけられちゃうよ」

ポニーテールとツインテールの少女二人がそう言う。勝てば相手に大きなプレッシャーを与えられるけど、負けると崖っぷちに追い込まれてしまう。是が非でもここは取らなければならない試合となるわけだ。

「着ぐるみかくれんぼか・・・どんなゲームなのかな?」

顎に手を当ててゲームの想像をし始めるソフィアだが、その隣にいる少年が即座にそれに回答する。

「このゲームがどんなものかは、簡単に想像できるよ」
「「「え?」」」

レオンの言葉に女の子三人がびっくり顔を晒している。つまり気付いていたのは俺とレオンだけ・・・ウェンディたちはわかっていなかったのか、それにはちょっとだけ驚いていたりする。

「このゲームはたぶん、着ぐるみの中に隠れて、プレイヤーがそれを当てていくゲームなんだと思うよ」

俺も刈れと全く同じ考えをしていた。隠れる場所が柱の影とかから着ぐるみの中に変わっただけで、かくれんぼとは本質がほとんど変わらないはずだ。

「よってこのゲームの適任者は・・・はいシリル!!」

突然指をさして俺に回答を求めてくるレオン。残る三人の中でこのゲームでもっとも適しているのは・・・

「たぶん・・・ソフィア!!」

着ぐるみの中身が透視できるかわからないから俺は微妙、レオンは全然適していない。だけど、ソフィアは違う。聞いた話だけど、俺とレオンがドッキリを仕掛けた時に直感でおおよそ誰が連絡をしてきたのかわかっていたらしい。何か根拠があるのかはわからないけど、彼女なら着ぐるみの中に誰がいるか、おおよそ見分けられる・・・んじゃないかな?

「さすがシリル。よくできました」

その回答は正解だったらしく、レオンが頭を撫でてくる。

「えへへ/////」

レオンが褒めてくれることなんかほとんどないので、嬉しいのと気持ちいいので照れてしまい、頬を緩ませてしまう。

「何?このBLコント」
「「コントじゃねぇよ!!」」
「「そっち!?」」

その様子を見ていたソフィアからコントなんて言われたから、思わず激昂を上げる俺たち。ただ、シェリアとウェンディはそれに対して突っ込みどころがおかしいと感じたようで、驚愕の表情をしていた。

「でもソフィアなら確かにうまくできそうかも!!」
「うん!!私もそう思う!!」

ただ、俺の意見にシェリアとウェンディも同意してくれる。二人の美少女から期待の眼差しを向けられた少女はというと・・・

「オオッ!!なんかハーレムっぽい!!」

よくわからないヘブン状態になっていた。顔が緩みすぎていて、何を考えているのかわかってしまうようにまでソフィアに汚染されつつある自分が、なんだか可哀想になってきた。

「じゃあ三試合目はソフィアでいっか」
「わかった!!任せて!!」

気合いが入っているのが目に見えるほどのハイテンションで司会者の元へと駆けていく。

「なんか楽しそうだね、ソフィア」
「いつも天真爛漫だからね」

ルンルンとお花畑を走るかのように軽やかなスキップを見せる少女の姿に、残っている二人の女の子はそんなコメントをしている。

「相手からは誰が出てくるかな?」

向こうのチームで残っているのはリオンさん、カグラさん、ユウカさんの三人。この中で適任者といえば、一体誰かな?

「それなら、ユウカさんで間違いないだろ」
「??なんで?」

悩んでいた俺の脇から即答してくるレオンに、首を傾げながら体を向ける。彼は相手チームの方を見ながら、その理由を語り始めた。

「リオンくんとカグラさんじゃ、着ぐるみの中身が誰なのか、疑いながら見分けていくだろうからね」

二人は頭がいいけど、いかんせんお堅い考えの持ち主でもある。カグラさんは古風な感じの人だし、リオンさんは真面目すぎて冗談が通じなさそう。もし俺たちの考えている通りの競技だと、二人のこの堅さはいいようには作用しない。
対してユウカさんは、すぐキレるトビーさんの突っ込みもこなす冷静さがあるし、何より寛容的なところもあり、柔軟な発想ができそうである。

「あ!!相手はユウカさんみたいだよ」

指をさして味方の和から離れていく人物を見つめているシェリア。その先にはかなり濃い眉をした背の低い男性がおり、彼は銀髪の少女とマイクを持つ男性の元へと向かって歩いていた。

『両チームプレイヤーが決定しました!!それでは着ぐるみかくれんぼの準備に入らせていただきます』

司会者がそう言うと、地面が激しく振動し始める。あまりの揺れに耐えきれなくなったウェンディとシェリアはその場で低い姿勢を取り、俺とレオンは足に力を入れて耐えている。

「な・・・」
「ナニコレ!?」

徐々に揺れが激しくなっていくと、地面から白い何かが姿を現し始める。それが何なのかわからずしばし見つめていると、それはやがて背の高さを越えていき、巨大な壁のようになっていた。

『フィールドの準備が整いましたので、選手の皆さんを所定の位置に転送いたします』

三度目ともなると、突然景色が変わっても面白味がなくなってくるかな?なんて思っていた時期が俺にもありました。

「あれ?変わってない・・・?」

どこかに転送されたように体は感じていたのに、景色がほとんど変わっていない。しかし、すぐ近くにいたウェンディたちがいなくなっており、間違ってはいないのだと認識することができた。

『ゲームの準備が整いましたので、これよりゲームのルールを説明します!!
今、選手の皆さんの隣にあるボタンがあると思います。そちらを押すと、魔法で全身を覆うような着ぐるみに変身するようになっています』

司会者の言う通り、立っていた場所のすぐ隣の壁にボタンが埋め込まれていた。なので、試しにそれを押してみるが、全然体に変化が起きない。

『変身するのはゲームが始まってからになりますので、今は押しても何も起きませんよ』

それを聞いて思わず恥ずかしくて顔が熱くなるのを感じた。今の絶対俺のこと言ってたよな?観客たちに笑われているのが容易に想像できてなお恥ずかしい・・・

『着ぐるみが確定しますと、同時に一人一人にランダムで二桁の数字が与えられます。その数字は着ぐるみの一部に刺繍されてますので、他人からも目視できます』

それを聞いておおよそのルールの想像ができた。そしてそれを肯定するように、司会者が話を続ける。

『プレイヤーの二人には、この迷路の中で「見つけた」とコールしてもらうと、10秒間の回答権が与えられます。その間に、どの数字に誰が入っているのか回答していただきます。回答は早い者勝ちです。なお、着ぐるみは正体をわからなくするためのものですので、気にしないでもらって結構です』

おおよそ予想通りのルールだった。着ぐるみが一体どんなものなのかはわからないけど、よくわからない不思議な生物の着ぐるみだったら、プレイヤーが回答できない可能性もある。でも数字ならみんなわかるだろうし、やりやすいのだろう。

『プレイヤー二人は回答を行うために声を出すことができますが、サブの八人は声を出すことはできません。どれだけ発声しても相手には伝わらないので、気を付けてください』

声が出せないってことはどうやって中身を見分けるんだ?まさか身振り手振りで伝えろってことなのかな?それとも騙すことが前提のルール?

『正解すると一ポイント。不正解だと五分間、または敵プレイヤーが次回答するまで回答不能になります。先に自分以外の選手から5ポイント上げたチームの勝利です。正解を当てられたサブは退場となり、こちらの待ち合い室へと飛ばされます。プレイヤーの二人は回答されてもそのままフィールド内に残る仕組みです』

過半数の5ポイントを取れば勝利。だけど、味方は四人しかいないわけだから、必ず敵からもポイントを上げなければならない。そう考えると、必ず敵プレイヤーを騙さなければならない行程が出てくる。俺やレオンはいけそうだけど、シェリアとウェンディは素直な子だから、大丈夫かな?

『何か質問はありますか?』

しばしの沈黙。簡単にルールを頭の中で復習してみるか。

ゲームがスタートしたらこのボタンを押して着ぐるみを決める。同時に数字も確定する。それからはこの迷路を歩いていきプレイヤーに遭遇したら、味方だったら自分だと伝えて敵だったら逃げるなり騙すなりする。
そして5ポイントを先に取ったプレイヤーのチームが勝利といったところ・・・かな?

『質問はないようなので、さっそくゲームに入ります!!第三戦《着ぐるみかくれんぼ》!!開始!!』

誰からも質問が出てこなかったため、さっそく開始されていく競技。俺は早速壁につけられているボタンを押し、着ぐるみへと変身したのだった。

















第三者side

ポチッ

ゲーム開始と同時にすべてのプレイヤーがすぐそばにあるボタンを押す。すると、そのボタンの真上にビジョンが現れ、二桁の数字が表示されていた。

「29か・・・」

金色の髪をボサボサにした少年が映された数字を見てそう呟く。その数字が出てきたのと同時に、彼の足元に魔法陣が現れ、真っ白な煙が少年を包み込んだ。

(うわっ、すごい煙いな。まるでソフィアのあの魔法みたいだ)

頭の中に出てきた銀髪の少女の得意とする魔法。おそらくそれと同じなんだろうと思っていた少年だったが、煙から解放された自分の姿を見て、着ぐるみの中の目を大きく見開いていた。

(なんだこれ!?)

茶色の腕に出っ張った白いお腹とおへそ。それによって遮られ足元が見えないが、明らかに通常の姿よりも短くなっている足を感覚で感じ取ったレオンは、思わず怒りの感情を爆発させそうになっていた。

(まさかこれタヌキか!?これじゃあうまく動けないじゃんか!!ふざけるなよ・・・)

短くて動かしにくい腕と足。さらには異様に出ているお腹に刺繍されている29という数字。あまりの動きにくさに、普段飄々としている少年は、それを忘れさせるほどに沸々と沸き上がるものを抑えるのに必死になっていた。






 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
第三戦は安定の着ぐるみかくれんぼです。
最後の描写を見てわかるように、レオンの仕打ちがすごいことになります。彼の着ぐるみのイメージはポンタです。あの着ぐるみ俺好きなんですよね、モフモフしてて。まぁ彼はここまで大活躍だから、少しぐらい彼で遊んでも罰は当たらないよね? 
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