| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第八十六話 自分も歌ってみてその十一

「一度もね」
「そうなんですね」
「ええ、一時期いないんじゃとも言われてたらしいのよ」
「UMA扱いだったんですね」
「そうなの、イリオモテヤマネコと一緒で」
 このかなり稀少な野生のネコ科の生きものみたいにというのだ。
「ツシマヤマネコとかね」
「それだけ珍しいんですね」
「どっちの蛇もね、あと西表島は」
 日菜子さんはこの島のことをだ、僕達にさらに話してくれた。
「イリオモテヤマネコ以外にもいるって噂があるのよ」
「他の山猫がですか」
「そうした話もあるのよ」
 そうだというのだ。
「噂だけれどね」
「けれどその噂が」
「若しかしたら」
 それこそというのだ。
「昔から言われてるし」
「じゃあいますか」
「本当かもね」
 そのもう一種類山猫がいるという話がだ、西表島において。
「このお話も」
「だとしたら面白いですね」
「そうよね、まあとにかく蛇はね」
「毒を持ったのも結構ですね」
「日本にいるのよ」
 蝮やハブだけでないというのだ。
「ヤマカガシにしてもね」
「そうなんですね」
「もっと言えばです」
 ここでまた小夜子さんが話してくれた。
「日本は昔はより多くの種類と数の毒蛇がいました」
「あれっ、そうなんだ」
「第二次世界大戦まで日本は台湾を領有していたので」
 何故日本がかつて今以上に多くの数と種類の毒蛇をその領土に持っていたかというのだ。それがいいか悪いかは別にして。
「それでなのです」
「ああ、台湾は」
「あの島は毒蛇が多くいます」
「そんなに多いの?」
「毒蛇の島と言っていい位に」
 何か聞いていて怖くなることだった、正直言って僕は毒蛇が好きじゃない。毒がある生きもの全般に強い警戒心を持っている。ただ河豚とか食べる場合は構わない。
「多いのです」
「そうだったんだ」
「暑い場所ですので」
 確か亜熱帯だ、だから台湾の人達は半袖でいることが多い。
「ですから」
「それに山が多いから?」
「そうです、草木も生い茂っていますので」
「何か蛇が多い条件が揃ってるね」
「雨も多いです」 
 余計に悪かった、蛇のことを考えると。
「ですから」
「ううん、怖いね」
「ヒャッポダという蛇もいます」
「あの噛まれたら百歩のうちに死ぬっていう」
「はい、その蛇もいますし」
 蝮なんか比べものにならない猛毒を持っているという、台湾から来た留学生の子がちらりとそんな話をしていたのを覚えている。その子は台湾にそんなに毒蛇が多いとまでは言っていないけれど。
「他にも沢山いますし」
「アマゾンみたいに」
「いえ、あそこまでは」
「流石にいかないんだ」
「アマゾンはまた別です」
 この人類最大の秘境はというのだ、ニキータさんのお国の。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧