八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第八十六話 自分も歌ってみてその八
「そこは」
「はい、あとツチノコの話もありますね」
「バチヘビね」
「あの蛇ね」
詩織さんと香織さんはツチノコと聞いてバチヘビと言いだした。
「ツチノコっていうと」
「そうよね」
「ああ、東北ではツチノコをそう呼ぶんだ」
僕も話を聞いてわかった、バチヘビとはどういう意味かを。このことは話を聞いていてすぐにぴんときたことだ。
「そうなんだね」
「ええ、そうなの」
「最近はツチノコって呼ぶ時も多いけれど」
「東北ではこう呼ぶの」
「バチヘビって」
「面白いね、けれどどうしてそう呼ぶのかな」
僕はこのことがわからなくて首を傾げさせた。
「バチ、罰?」
「ツチノコってああした形じゃない」
詩織さんはツチノコの形から言って来た。
「やけに太くて短い」
「変わった形だよね」
「そうした変な形の蛇で」
「罰を受けた」
「それでバチヘビなのよ」
「そうなんだね」
「そう言われているの」
こう僕に話してくれた。
「他にも色々言われてるけれど」
「そういえばノヅチとも言わない?」
友奈さんはこの呼び名も出した。
「ツチノコって」
「そう呼ぶ地方もあったかな」
「そうでしょ、ツチノコも地域によって呼び名が違うのよ」
「そうみたいだね」
「これがね」
「妖怪ですね、野槌となりますと」
小夜子さんはノヅチと聞いてこう言った。
「ツチノコも昔は」
「妖怪とも考えられていたのかな」
「そうかも知れないですね」
「じゃあ昔から目撃例あったのかな」
「そうかも知れないですね」
「本当にいるのかな、ツチノコって」
「いたら面白いと思いますが」
ここでだ、小夜子さんは結構真剣に僕達にこう言った。
「ですがいびきを出して寝る蛇は」
「いないよね」
「爬虫類でいびきは」
それはというのだ。
「ないかと」
「ううん、じゃあ何なのかな」
「目撃例は蛇としか思えないですね」
「皆蛇っていうね」
「ですが蛇でも」
それでもというのだ。
「爬虫類ですから」
「爬虫類でいびきはね」
「考えられないです」
「じゃあ何なのかな」
「蝮の見間違い説が有力ですね」
それこそ日本だと北海道や沖縄以外なら何処にでもいる蛇だ、民家の近くにもいたりする毒のある蛇だ。
「毒があるとも言われていますし」
「噛まれた犬が死んだとか」
「そんな話もありますね」
「毒があるとなると」
「やはり蛇ですね」
「爬虫類だとね」
哺乳類で毒を持った生きものがいるという話は僕は殆ど聞いたことがない。何でもカモノハシの爪にはあるらしいけれど。
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