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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第八十五話 浴衣その十五

「カラオケも行くけれど」
「一人?」
「よくね、あとね」
 ここで僕は詩織さんにこうしたことも話した。
「自分は人前で出しものとかしないのに後輩の子とかにやれっていう人いるね」
「体育会系でね」
「そうした人はね」
 どうもとだ、僕も言う。
「好きじゃないよ」
「自分はしないでっていう人はね」
「どうもね」
「そうね、そうした人はね」
「やっぱりよくないよね」
「まずはね」
「自分がしないとね」
 こう思うからだ。
「というかそういうこと言う人に限ってね」
「自分は何もしないのよね」
「そうなんだよね」
「私の知り合いにもそうした人いるけれど」
「どんな感じ?」
「いや、怪我をしても誰も振り向いてくれなかったわ」
「凄いね」
 それだけ聞いてだ、僕はすぐにわかった。
「人望が」
「ある意味でね」
「そうだね、そんな人いるね」
「怪我をしたのがソフトボールの試合で」
「その時に走ってとか」
「いや、打とうとしてヒッティングをするふりをして」
 そしてというのだ。
「バントをして走って」
「こけたとか」
「足がつったの」
「それで誰からもなんだ」
「振り向いてもらえなかったの」
「何かね」
 僕はここまで聞いてだ、詩織さんに言った。
「そうした人っているけれど」
「見ていてよね」
「何かね」
 どうにもとだ、また言った僕だった。
「痛いものがあるね」
「人としてね」
「あまりそうした人にはなりたくないね」
「そうでしょ」
「うん、どうにもね」
「私もこうした人にはなりたくないわ」
 心からだ、詩織さんは言った。
「だからこうはなるまいって思ったわ」
「そういうことだね」
「ええ、それとね」
「それと?」
「義和もそうした人を知ってたのね」
「何か色々な人がいるから」
 僕の周りにだ。
「その中にそうした人がいるんだ」
「義和って人生経験豊富?」
「そうかな」
「うん、そう思ったわ」
「そうなんだね」
「うん、それとね」
「それと?」
「義和歌自信ないのね」
 詩織さんは話を戻してきた、そこに。
 そしてだ、僕にこうしたことも言った。
「歌は自分が楽しむものだから」
「歌ってね」
「人前で歌いたくないのならね」
「それでもいいね」
「そう思うわ、ただ聴いていて驚く歌手もいるわね」
「ああ、凄い上手だったりね」
「惹かれる人がね」
 まさにとだ、僕に話してくれた。
「いるでしょ」
「裕子さんが言うには」
 前に話してくれた、裕子さんが聴いていて心を奪われた歌手の人のことを。 
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