八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第八十五話 浴衣その一
第八十五話 浴衣
僕達はホテルに帰るとまずはお風呂に入った、けれど。
中にはだ、湯舟やシャワーを浴びてかなり痛がっていた。
「日焼け痛いな」
「ああ、やられたよ」
「クリーム塗っておけばよかったな」
「全くだよ」
「これは」
北欧、フィンランドから来た子が特に痛がって言っていた。
「きついね」
「ああ、君フィンランドからだからな」
「あそここんなに日差し強くないだろ」
「白夜の後ずっと夜とかだよな」
「冬ばかりで」
「こんな夏ないから」
とてもという返事だった。
「海でも泳がないよ、いや本当に」
「日差しが強くて」
「それでやられたんだな」
「日焼けっていうか軽い火傷?」
「そんな感じか」
「うん、何かね」
見ればだ、その彼の白い雪みたいな肌がだ。
真っ赤になっていた、それで言うのだ。
「こんなになるなんて思わなかったよ」
「まあこれが日本だからな」
「日本の夏だからな」
「注意してくれよ、今度からは」
「かなり強いからな」
「そうだね、いい教訓になったよ」
その彼は真っ赤になった身体に何とか冷たいお水を浴びせてそろそろと身体を洗いながらそのうえで皆に答えた。
「日本の夏の日差しには要注意だね」
「うん、それとね」
今度はポリネシアから来ている彼が言って来た。
「日本よりもね」
「君の出身地だとだね」
「もっと日差しが強いし」
「暑いんだね」
「赤道線にあるから」
その直下かすぐ近くにだ。
「ここよりもっと暑いよ」
「相当なものなんだね」
「周りは海でね」
「この江田島と一緒で」
「いつも夏でね」
それでというのだ。
「来た時は注意してね」
「クリーム塗るよ」
フィンランドから来た彼は自分自身に約束して言った。
「そうするよ」
「絶対にね」
「いや、海が気持ちよくて楽しんでいたら」
それがというのだ。
「日差しにやられたよ」
「俺達も油断してたら焼けたしな」
「痛いな、おい」
「けれど肌が白いとな」
「余計に辛いな」
僕はクリームを塗っていたので大丈夫だった、それで湯舟の中でやり取りを見ていた。フィンランドからの彼はサウナに入った。
そしてだ、僕は。
その湯舟の中でだ、バスケ部の皆にこうしたことを言った。
「どうも肌の色でね」
「ああ、日差しに強いか弱いか」
「それあるよな」
皆僕にこう応えてくれた。
「黒人の人は別にな」
「日差しにも苦労しないよな」
「特にさっき話したポリネシアとかな」
「南洋から来た人達ってな」
「それがいつもだからな」
「日差しが強いのが」
「そうだよね、南洋の人達はね」
ポリネシアの人達にしても他のあの辺りの人達にしてもだ。
「日差しが強い中が普通でね」
「日焼けもしないな」
「っていうか元々日焼けしてるしな」
「最初からな」
「そうだよな」
「けれどね」
僕はさらに話した。
ページ上へ戻る