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とある科学の捻くれ者

作者:おにゅー
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11話

ある暗い夜道の中、二人の男女がいた。一人は、ツンツン頭の学生、もう一人は170cmに届こうとする背丈を持つ女性。
その二人は決して友達だというわけではない。なぜなら、二人の周りには激しい戦闘のあとがあるからだ。
いや、訂正しよう。戦闘ではない、蹂躙だ。

「づぐぅっ!!!」

ツンツン頭の少年、上条当麻は地に倒れ伏す。直後、自分の手のすぐ真横が神裂の攻撃によって裂けた。

「クソッ!!」

上条当麻は立ち上がる。が、それを見計らったかのように、無慈悲にそれは放たれる。

「七閃」

それは神裂が唯閃という技を使わないために、自分を封印するかのように、作った技。
ワイヤーを操るごくごく単純な技だが、それも聖人という名の兵器が操れば威力は桁違いに跳ね上がる。







ーーつまり速すぎて見ることさえできないのだ。








「ガッ!!!」

圧倒的なまでの力の差。誰がどう見ても上条当麻に勝つ見込みはない。
当然だ、ほんの少しばかり異能に強いだけの学生が常に闇に身を置いてきた神裂に勝てる道理などない。

「もう十分でしょう。」

「あなたが禁書目録にそこまでする理由はないはずです。」

ここが彼女、神裂火織に理解できない部分であった。
上条当麻はまだ禁書目録にであって数日だ。
それも上条当麻がたまたま助けてその後数分で別れた、本当にそれだけの関係だ。
何をそんなに命をかける必要があるのか?だからこそこの神裂の言葉は必然だった。

「な...んだよ。ロボットみてーな野郎かと思ってたのに...」

だが、上条当麻は安心したように笑う。










「あんた、すごくつまらなそうだ。」










神裂の禁書目録に対する思いが友達に対するそれとなんら変わりがなかったからだ。

「その気になれば俺のことなんでぶっ殺していつでもインデックスを連れて行けたのにあんたはそうしなかった。」

やめろ.....と神裂の心が悲鳴をあげる。それ以上をいうな、それ以上は.....と。

「本当はわかってるんだろ?そんなスゲェ力があるのに記憶のねぇたった一人の女の子切り刻んで...どうしてそんな事しか出来ねぇんだ!!!」

確かに上条当麻の手は届かないかもしれないけれど

「私だって!!!」

「本当は傷つけるつもりなんてなかった。歩く協会の結界が生きていると思ったから。他に手立てがなかったのです。こうでもしないと...彼女は生きる事が出来ないから...」

「何言ってーーーー」

「私の所属する組織名は必要悪の協会。禁書目録と同じ組織に所属しています。彼女は...親友でした。」

その想いは確かに届いた。


***

天に昇る摩天楼の上からその光景を見下ろす人影があった。

「ーーーあぁよく知ってるさ。」

目を閉じる。真っ黒で何も見えない。見えるのは自身のまぶたの裏側だけだ。

目を開く。


「よく、知っていた」


その男のつぶやきは誰にも聞かれる事はなかった。

***


神裂の機械のような態度はそこにはもうなかった。彼女は人間だ。ちゃんと感情がある。機械のように冷徹にはなれても機械にはなれない。故に、神裂の心は溶けた。

「うるっせぇんだよド素人が!!!」

刀が触れた先から爆発する。それを上条は死に物狂いで回避する。

「私がどんな気持ちであの子の記憶を奪ってきたかっ!!!ステイルがどんな気持ちであなたたちを見ていたか!!!わかりますか!!」

「インデックスは返してもらいます。」

そこには感情とは裏腹の冷徹な顔があった。譲れない意思があった。

(やっぱり強ぇ!!全然歯がたたねぇ!!!だけど)

だが、上条当麻にも譲れない意地がある。ここでは絶対に折れるわけにはいかない。その感情はひどく独善的だ。だけど、それでもーーーー

「テメェは!!!力があるから仕方なく人を守ってんのか!!!そうじゃねぇだろ!!」

上条当麻は想いをぶつけるのだ。この拳に乗せて。

「守りたいものがあるから力を手に入れたんだろうが!!!!!」

だけど、もうそんな力は残っていない。残ってる力も、せいぜい神崎の脚をつかむ程度だ。

「あんたは俺と違って力があるじゃねぇか!!!そんな力があればっっ誰だって!!!何だって守れるのに!!!」

上条当麻の悲痛な叫びが、想いが、神裂の心につきささる。

「あんたはなんのために力をつけた?その手で誰を守りたかったんだ?」

そして、その痛みをごまかすかのように、上条当麻に刀を振るうーーーーー

「おい。ストップだ止まれ」

その前に、目の腐った男が現れた。



 
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