英雄伝説~光と闇の軌跡~番外編 アリサのお見合い篇
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第6話
1週間後、休暇でクロスベルのミシュラムまで来た私服姿のリィンはテーマパークの入口で誰かを待っていた。
~ミシュラム・ワンダーランド~
「…………………そろそろ約束の時間だけど……………あ。」
入口にある時計を確認していたリィンは自分に向かって走って来る私服姿のアリサに気付いて声を上げ
「ハア、ハア………ごめん。もしかして待たせすぎたかしら?」
リィンに走って近づいてきたアリサは息を切らせながら申し訳なさそうな表情で尋ねた。
「いや、10分前に来たからそんなに待っていないし、待つのはエリゼとのデートで慣れてるし。」
「ちょっと、リィン?デートする相手の前で他の女性とのデートの事を口にするのはどうかと思うわよ?」
リィンの答えを聞いたアリサはジト目でリィンを見つめた。
「う………ご、ごめん。」
「全くもう………これだから鈍感男は性質が悪いのよね…………………まあいいわ、それじゃあ早速入りましょう!」
「ああ。」
そして二人はテーマパークの中に入って行った。
「うふふ♪」
二人がテーマパークに入って行く姿をシャロンは微笑みながら見つめた後、テーマパークに入って行き
「…………二人はテーマパークに入ったわ。―――行くわよ。」
「う、うむ。」
「ハア………何でエヴリーヌまで……」
更にエリゼ、リフィア、エヴリーヌもテーマパークに入って行った。
「さてと………どこから周ろうか?」
テーマパークの敷地内に入ったリィンは周囲を見回した後アリサに尋ね
「そうね………まずはウォーミングアップ代わりに”鏡の城”はどうかしら?」
「わかった。それじゃあ行こうか。」
その後二人は”鏡の城”に向かった。
~鏡の城~
「何度見ても幻想的な城よね…………」
「ああ……………まあ、ロイド達の話だとあの城はクロイス家の手によってとんでもない仕掛けが施されていたらしいけどな。」
城を見つめて呟いたアリサの言葉に頷いたリィンは真剣な表情で答えた。
「クロイス家の?一体どんな仕掛けだったのかしら。」
「……何でも城の構造自体が完全に変わっていて中には錬金術によって創られた魔導兵器が徘徊していて、最上階にはキーア――――”零の至宝”をジオフロントにある仕掛けとつなげる装置があったらしい。」
「嘘!?………つくづくクロイス家ってとんでもない家だったようね……………」
リィンの説明を聞いたアリサは驚いた後疲れた表情で溜息を吐き
「ああ。まあ、IBCを吸収したクロスベル帝国が軍を派遣して早期に徘徊していた魔導兵器を全て駆除して、装置の方も完全に破壊したらしいから大丈夫だけどな。」
「へー………普通、娯楽施設の復興なんて後回しよね?確か私達が女神様達と一緒に休暇を過ごした日の時点で通常営業していたし………もしかして女神様達を招待する為だったのかしら?」
リィンの話を聞いたアリサは目を丸くした後首を傾げた。
「ロイド達から聞いた話だと、ヴァイスハイト皇帝とギュランドロス皇帝直々の指示によって多くの観客達が訪れるミシュラムの復興は最優先にしたらしい。」
「なるほど………確かにミシュラムは観光地として有名だから、多くの税の収入が見込めるものね………って、何を考えているのよ、私ったら!」
「ハハ……さすがは一流企業の経営者の娘だよな………―――行こうか。」
「ええ。」
その後二人は城の中に入り、最上階まで登り、鐘を鳴らした後鏡の前に立った。
「えっと……確か鐘を鳴らした後に鏡の前で祈ればいいのよね?」
「ああ。」
「「………………………」」
アリサに尋ねられたリィンは頷いた後、アリサと共に鏡を見つめた後目を伏せて黙り込んだ。
(アリサはまだ祈っているのか……………それにしてもこうして見て見ると可愛いよな………って、何を考えてんだよ!?)
祈りを終えたリィンは目を伏せて祈っている様子のアリサの顔をジッと見つめた後自分に突っ込んだ。
「………リィン?私の顔に何かついているのかしら?」
するとその時祈りを終えて目を開いたアリサは首を傾げてリィンを見つめて尋ね
「い、いや!何でもないよ。それよりアリサは何を願ったんだ?」
尋ねられたリィンは慌てた様子で答えを誤魔化すように逆に質問した。
「私?私は『ラインフォルトグループで働く人達の未来が明るい未来でありますように』……ね。」
「う………それは遠回しに俺に婚約してくれってプレッシャーをかけているのか……?」
アリサの答えを聞いたリィンは大量の冷や汗をかきながら表情を引き攣らせて尋ね
「フフ、どうかしらね?―――リィンは何をお願いしたのかしら?」
尋ねられたアリサはからかいの表情で答えた後尋ねた。
「俺か?俺は『大切な人達をこの手で守れますように』………かな。」
「クスクス、貴方らしいわね。」
リィンの答えを聞いたアリサは微笑み
「そ、そうか?」
「ええ。実際に貴方は私を2度も庇ってくれたじゃない。」
「あれは勝手に身体が動いただけなんだけどな………それに仲間を庇うのは当然の事だし。」
「………………………なるほどね。確かに貴方だったらⅦ組のリーダー的な役割を果たせたかもしれないわね。」
リィンの答えを聞いたアリサは静かな笑みを浮かべて頷いた。
「へ?それってどういう意味だ?」
「さて、どういう意味でしょうね?―――それじゃあ次に行きましょうか。」
「あ、ああ。」
その後二人は”鏡の城”を出てアリサの希望により、”占いの館”に向かい、順番を待って”占い師”がいる部屋に入った。
~占いの館~
「ふふ、いらっしゃい。さあ、こちらの椅子にお座りなさい。」
「はい。」
「わかりました。」
部屋に入った二人は占い師の女性の指示に頷き、椅子に座って占い師と対面した。
(これで会うのは2回目だけど、どこか神秘的な雰囲気を持つ人だな………)
(そうね………顔は隠れているようだけど綺麗な人みたいね……)
占い師と対面した二人はそれぞれ小声で会話し
「ふふ、どうしたのかしら。人の顔をジロジロと見て。順番待ちの人もいるからすぐにとりかかりたいのだけど。」
占い師は口元に笑みを浮かべて二人を見つめて言った。
「っと、すみません。よろしくお願いします。」
そしてリィンとアリサは占い師に軽い質問をされ、何を占うのか尋ねられた。
「何を占うかはアリサに任せるよ。アリサの希望でここに来たんだし。」
「わかったわ。……………そ、それじゃあその……私とリィンの相性の占いをお願いします。」
「ええっ!?」
アリサの言葉を聞いたリィンは頬を赤らめて驚き
「ふふ、それでは…………………………………」
占い師は口元に笑みを浮かべて答えた後目の前にある水晶を光らせた。
(不思議………水晶が輝いている……)
(魔術の類いではないみたいだけど………)
水晶が光っている様子をアリサはジッと見つめ、リィンは考え込みながら見つめていた。
「――――見えたわ。己に眠る”力”を恐れ”道”に迷っていた青年と全てを一人で抱え込もうとする少女…………以前、世界の存亡をかけた戦いに関わったことで二人には確かな信頼が芽生えている………この想いを育めば、より深い関係になれる可能性は充分にあるでしょう。ただし………その為には少女自身が自分の想いを青年にぶつける必要がある………私に見えたのはこんな所かしら。」
「…………………(エリゼと一緒に占ってもらった時も思ったけど、凄い正確な占いだな……………俺の身体に眠っている”力”を言い当てるなんて…………)」
占い師の言葉を聞いたリィンは真剣な表情で黙って占い師を見つめ続け
「え、えっとその………ありがとうございます。お蔭で希望が見えてきました。」
アリサは頬を赤らめて嬉しそうな表情でお礼を言い
「ふふ、私は水晶玉に見えた暗示を伝えただけよ。」
お礼を言われた占い師は口元に笑みを浮かべて答えた。そして二人は部屋から退出した。
「………そろそろ出てきたらどうかしら?――――いるのはわかっているわよ、”死線”。」
二人が退出すると占い師は静かな口調で呟いた。するとその時占い師の背後にあるカーテンからシャロンが姿を現し
「うふふ………お嬢様に希望の光の道筋を教えて下さってありがとうございます。―――――”幻惑”様。」
姿を現したシャロンは微笑みながら上品な仕草で会釈をした。
「全く………若い子達のデートの覗きなんて、趣味が悪いのではなくて?」
占い師はシャロンに背を向けたまま呆れた様子で溜息を吐いた後答えた。
「私はアリサお嬢様の恋の行方を見守っているだけですわ。覗きだなんて、人聞きが悪いですわ。」
占い師の言葉を聞いたシャロンは心外そうな表情で答え
「………見守るのもほどほどにしておきなさい。でないとその内本当に嫌われるわよ?」
「まあ………!”幻惑”様が仰ると本当にそうなりそうで恐ろしいですわ。お嬢様に嫌われるなんて……ああ!考えただけでも恐ろしいですわ………!」
占い師の言葉を聞いたシャロンは目を見開いて不安そうな表情になった後悲しそうな表情になった。
「………五月蠅くて占いに集中できないからさっさとどこかに行ってくれないかしら?あんまり騒いでいたら営業妨害と不法侵入で保安部に突き出すわよ。」
シャロンの様子に占い師は呆れた様子で呟いた。
「かしこまりました。――――それでは貴女の新しい人生が実りある人生である事を祈っております。”幻惑のルシオラ”様。」
「そちらもね。――――”死線のクルーガー”。」
そしてシャロンはその場から音もなく去って行った。
「もう昼過ぎか………そろそろランチにしないか?」
一方”占い師の館”を出ていくつからのアトラクションを楽しんだ後中央広場まで戻ってきたリィンは敷地内にある時計の時間を見た後アリサに提案し
「そ、そうね。それじゃあ休憩所に行きましょう。」
リィンの提案に頷いたアリサは頬を赤らめて自分のバッグに一瞬視線を向けた後頷き、リィンと共にその場から去って行った。
「………?あの二人は……………どうしてリィンさんとアリサさんが二人で……………―――――あ。…………………」
二人が一緒に歩いてどこかに向かっている様子を遠目で見たティオは首を傾げた後ある事に気付いてジト目になって黙り込んだ。
「ティオー、どうしたのー?」
するとその時ティオの傍にいるキーアが話しかけた。
「……いえ、改めて歴史がちゃんと守られている事を実感しただけです。それよりキーア、キーアにも手伝ってもらいたい事ができたのですが……お願いできますか?」
「んー?」
ティオの話を聞いたキーアは可愛らしい動作で首を傾げ
「いいですか?今からわたしは”Ⅶ組”の人達に連絡を取るのでキーアはロイドさん達に――――」
ティオは静かな笑みを浮かべてキーアに何かの指示をし始めようとした。するとその時
「うふふ、それでしたらサラ様達の方は私の方で連絡を取っておきますわ。」
シャロンが微笑みながら二人に話しかけてきた。
「あ!メイドさんだー。」
「………?貴女は一体………」
シャロンを見たキーアは興味深そうな表情をし、ティオは不思議そうな表情で尋ね
「―――ラインフォルト家に仕えるシャロン・クルーガーと申します。ティオ・プラトー様とキーア様ですね?”ゼムリアの敵クロイス家の騒乱”時はアリサお嬢様がお世話になりました。それで折り入ってティオ様達にご相談したい事があるのですが――――」
尋ねられたシャロンはスカートを摘み上げて挨拶をした後ティオ達と何かの会話を始めた……………
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