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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第八十四話 西瓜割りその一

                       第八十四話  西瓜割り
 留美さんは両手で大事そうに西瓜を抱えてきた、お腹に持っている感じだったので胸が結構目立った。
 西瓜は黄色いクリーム西瓜だという、けれど見た目はだった。
「別にな」
「ああ、外は変わらないよな」
「黒と緑の縦ラインでな」
「赤と変わらないよな」
「そうだよな」
 バスケ部の皆も剣道部の皆もこう言った。
「別にな」
「何も変わらないんだよな、西瓜って」
「言われないとわからない」
「そうしたものだよな」
「だからな」
 剣道部の二年生の一人半田君がこんなことを言った。
「お店で赤の方にな」
「ああ、黄色入れるんだな」
「それでどっちかわからない様にする」
「そうするんだな」
「そうした悪戯ってあるよな」
 笑いながらこんなことをだ、僕達に話した。
「結構な」
「それお店にしたら腹立つよな」
「最悪の悪戯じゃね?」
「買った人が西瓜が違うってクレームつけてくるぜ」
「それで問題になるぜ」
「そうなんだよな」
 こう言うのだった、半田君も。
「やっぱりやったらいけないよな」
「ああ、外見はわからなくてもな」
「中身が問題だからな」
「それは混ぜたら駄目だろ」
「最悪の行いだろ」
 それこそというのだ。
「やっぱりな」
「だよな、そこは」
「そうだよな」
「それこそ」
「やったらいけないよな」
「お店の人も怒るしな」
 子供のしそうな悪戯だけれどだ、子供がしても子供がしたでは済まされない様な話だというのだ。昔はいざ知らず。
「外見じゃわからないからな」
「中身が赤でも黄色でも外は緑と黒」
「それは変わらないからな」
「そうした悪戯は駄目だな」
「やったらいけないことだな」
「うん、それこそね」 
 僕もここで言った。
「禁物だね」
「だよな、本当に」
「西瓜は中身はわからないんだよね」
「外から見たらな」
「うん、どうしてもね」
 こう半田君に話した。
「それを逆手に取るってことだから」
「本当にな」
「その通りだ、そうしたことはしないことだ」
 西瓜を持って来た留美さんも言って来た、ここでだ。
 西瓜を砂浜に置いた、その上にはビニールを敷いている。それで準備は出来た。
「間違ってもな」
「そうだよな」
「お店の人が困るからな」
「そうそう、ひよっちもそう思うよな」
「全くだ」
「ひよっち?」
 僕は半田君が今言った言葉にふと言った。
「それって何?」
「いや、日笠だろ」 
 半田君はすぐに僕に顔を向けて話してくれた。
「だからな」
「ああ、『ひがさ』さんだからね」
「それでひよっちなんだよ」
「剣道部での仇名なんだ」
「いや、普通にクラスでもそう呼ばれてるぜ」
 二年E組、日笠さんのクラスのバスケ部の子も言って来た。 
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