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機動戦士ガンダムSEED 終わらない戦争

作者:伊10
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第四話 出港

アプリリウス・ワンの宇宙港管制室。そのドアが僅かに開き、隙間から円筒形の何かが投げ込まれる。

床に落ちる音に最初に反応するのは身体に密着するコンバットスーツに身を包み、カービンライフルを保持する男―――襲撃犯である。

反射的にそちらに視線を向け、それが何か理解した時には既に遅かった。

閃光手榴弾がおよそ100万カンデラもの閃光を振り撒き、同時にドアから侵入する人影。襲撃犯の男が全てを理解したのはその鳩尾に拳が埋められた後だった。

「………一人だけか?」

男を無力化した侵入者―――カムイは拍子抜けしたようにそう呟いた。





―――――――――――――――――――――――





「こちらクロセ。管制室を制圧した。幸いにも職員は無事だ。」

ラヴクラフトに通信を入れる。程なくしてオペレーターのユリから返事があった。

『それは……随分と早かったですね。』

「多分大半がそっちに向かったんだろ。かなり手薄だった。」

まあ確かに管制室を押さえるのには二・三人いれば十分だろう。あるいは襲われる事を想定していなかったのか。

「直ぐにでもゲートを開けられるが……そっちは?」

『問題ありません。襲撃してきた部隊は撃退しました。対象の収容も既に。』

「よし、ゲートを開放する。俺達の足も残しといてくれ。」

『はい。大尉のジャッジメント。を用意しておきます。』

通信を切る。振り返るとエディが拳銃を男に向け、警戒していた。どうやら目覚めた様だ。

「頑丈だな。半日は起きてこないと思っていたが。」

返事はない。迂闊な事を言わないためだろう。やはり訓練されているようだ。

「さて、お前はどこのどいつだ?何が狙いだった?」

男は答えない。ただ黙ってこちらを見据えている。尋問してもいいが生憎時間がない。

「………まあ、いい。詳しくはザフトに任せるか。エディ、縛り上げとけ。」

「………ええ~~~。」

「…………エディ。」

「分かってますよー。」

そういうとエディはぶつくさ文句を言いながらも、馴れた手つきで男を拘束する。

「よし………アンタ、三番ポートのゲートを開けてくれ。」

完全に拘束したのを確認して、職員に声をかける。

「あ、ああ。分かった。アンタらは………。」

「仲間がMSを一機置いていってくれるから心配ない。……ザフトへの説明も頼む。」

それだけ言って、管制室を後にした。





―――――――――――――――――――――――





「さてと………俺達も行くか。」

目の前にあるのは灰色の巨人、MSだ。ZGMF―X30J ジャッジメントガンダム。ザフトの試作機をD.I.V.A.セキュリティ社が払い下げた機体だ。セイバーの系譜にあり、外見が酷似している他、可変機構も備えている。

「エディ。さっさと行くぞ。」

「りょーかーい。」

エディを促すと、軽ーい返事と共にコックピットに乗り込む。当然二人ともパイロットスーツだ。

『パイロットの搭乗を確認……脳波測定完了。ZGMF―X30J、起動。』

俺が座席に座ると合成音声が響き、自動で機体が起動する。この機体にはとある企業が開発した高性能AIが搭載されている。よって簡単な動作なら人が操作しなくても可能だ。

「レイス、宜しく頼む。」

『了解、ブッ飛ばしますか?』

「……いや、普通に頼む。」

このAI、レイスと名付けたのだがここ最近、妙に人間臭くなってきている。冗談を言ったり拗ねたり怒ったりと感情があるかの様にふるまっている。

ともあれ、自動で変形すると、先発したラヴクラフトに向けてオートで飛翔する。

「さてさて………これで終われば良いんだがな。」

「……たいちょー?」

『大尉?何かありますか?』

「……いや、多分大丈夫だろ。」

そうはいってみたものの、やはり嫌な予感は消えなかった。 
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