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とある3人のデート・ア・ライブ

作者:火雪
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第十章 仮想世界
  第6話 仮想世界の日常

 
前書き
(…………これ全部で何話になるんだろ) 

 
〜1st day〜


朝。

外からは小鳥のさえずりが聞こえる。

昨日の事は夢だったのでは?と思ってしまうほどいつも通りに起きてしまった。



そうだ。夢なんだ。



そりゃそうだ。仮想世界に入る?出られなくなる?愛を教えて欲しい?

何とも変な夢を見たもんだ。

そんなことを思いながら朝ごはんを作るために士道は一階へと降りていった。



ーーーー
ーーー
ーー



一階のリビングには既にいつもの面々が揃っていた。

義理の妹の琴里。

最近一緒に住み始めた上条、佐天、一方通行。

けどどこかいつもと違う。雰囲気というか、皆の表情というか……








琴里の横に立つ白髪の少女とか。









士道「……………え?」

琴里「…………」

或守「…………」

士道「…………えっと、或守?」

或守「はい」

夢じゃなかったか……

士道「あれ?でも何で朝なんだ?俺昨日の記憶昼までしかないんだけど」

士道が聞くと変わらない様子で答えた。

或守「あの時点で世界のリスタートを行いました。現在が朝なのは初期設定のスタート時間によるものです」

琴里「つまり、あの時に新しくゲームスタートってわけね。今日がその一日目。でも何であんたがここにいるわけ?」

或守「五河士道をなるべく近くで観察するためです」

表情を一切変えずに質問に答えた或守に琴里はため息をついた。

琴里「士道を見張るってわけね。ま、或守の目論見に付き合うって決めたわけだし、仕方ないか」

そう言って改めてリビングの方を向いた。

一方通行はコーヒーを飲みながらテレビを見ていて、佐天は皆の朝ごはんの準備、上条は………困った顔をしながら机の下や食器棚の下に顔を覗かせていた。

どうせ何かを落としたかなんかだろう。

上条の不幸は仮想世界まで届いていたのか……。







暫くして。

佐天「朝ごはん出来ましたよー!」

と、佐天が皿をテーブルの上に並べながら大きな声で言った。

上条も無くしたもの(?)を探すのをやめてテーブルへ向かった。

『いただきます』

トースト、目玉焼き、サラダというごく一般的な食事だったが佐天独特の味付けは士道達の舌を絶妙に震わせる。

要は美味しいのだ。

本当、彼女はいいお嫁さんになるよ。







にしてもここが本当に仮想世界なのか疑問に思ってきた。

この目玉焼きもサラダもトーストも、本物と全く変わらないのだ。

見た目は勿論、味でさえも。











皆が朝ごはんにありつく中、或守だけは手をつけていなかった。

士道「どうした?食べないのか?」

佐天「もしかして美味しくありませんでした……?」

佐天が焦ったように聞くと或守は静かに首を振った。

或守「いえ……こういうのは、始めてですから……」

士道「そ、そうなのか……えっと、まずトーストは手を使って食べて……」

或守「……トースト?」

士道「あ、その四角いやつな」

と、士道が目線だけでトーストを指すと或守は静かに手にとって口にした。







或守「…………美味しい」


ーーーー
ーーー
ーー


朝ごはんを食べた後、一方通行以外は学校へ向かった。

士道と上条と……そして或守はいつもの高校へと足を踏み入れていた。

上条「そういや或守も一緒に来るんだな」

或守「はい。五河士道を観察するのが目的ですから」

ちなみに、上条はついで感覚で観察されることに嬉しいような悲しいような微妙な気持ちになっていた。

まあ士道がメインで動いているから仕方がない……のかもな。

と。

「よぉー!五河!上条!元気にしてたかー?」

二人の肩をバンと叩いて、前にしゃしゃり出てくる男がいた。

上条「なんだ殿町か」

士道「いきなりなんだ。朝から変なものでも食べたのか?」

と聞くと殿町はニッコリと……そう、ニッコリと笑って答えた。

殿町「いいや、俺はいつも通りだ。毎日十香ちゃんや鳶一といちゃいちゃしているお前らが憎いだけの……健全な男子高校生だ!」

士道「イチャイチャなんてしてねーよ」

上条「あと十香と折紙が惚れてるのは士道だけ。俺は関係ない」

士道「はぁ?何言ってんだお前。そんなわけないだろ」

上条「…………この鈍感が」

殿町「いや、お前も十分鈍感だろ」

なんかいつものくだらない会話にここが仮想世界ということを忘れそうになる。

士道「そういや殿町、この子が見えないのか?」

殿町「この子……?あぁ或守さんか」

上条「或守を知っているのか?」

殿町「そりゃまあな。おっと、そろそろ予鈴が鳴るか。行こうぜ」

士道「あ、あぁ。先に行っててくれ」

と言うと殿町は「遅刻すんなよー」と馬鹿でかい声で叫びながら教室へと向かった。

うるさいやつだ。

でも、今はそんなことはどうでもいい。

士道「………殿町は、或守を認識できてた」

上条「どういうことだ?イレギュラーな存在なんだろ?」

と聞くと、或守は目を閉じながら静かに答えた。

或守「NPCは私を認識しても違和感を覚えません。そして、存在を意識することもありません。そのように設定されています」

そういや殿町はNPCだっけ。

上条「じゃああの冷めた態度もわかるな」

或守「………殿町宏人がわたしに反応しないのはおかしいですか?」

士道「そりゃあ或守みたいな美少女に反応しないのはおかしいさ」

或守「美少女……ですか?」

士道「それも分からないのか……えっと可愛らしいとか美しいとか……」

或守「可愛らしい……子犬や子猫などに言う言葉……私はそれだけひ弱に見えるのですか?」

士道「いや、そうじゃなくてだな……」

と、そのタイミングでチャイムが鳴った。

上条「じゃ行こうぜ、或守……と、女たらし」

或守「はい。分かりました」

士道「誰が女たらしだ!!!」


と、士道は叫びながら上条と或守の後を追った。










 
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