FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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何あれ?
前書き
ジュ・・・ジュビアがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
シリル「落ち着いて!!」
レオン「近所迷惑だから」
なんかあのシーンはRAVE思い出したね、何となくだけど。だがジュビアがいなくなるとグレイの魔の手がシリルに伸びるのでは・・・
シリル「え?」
「チームの登録済ませてきたぞ」
駆け足気味でいまだにソフィアから写真を奪おうとしている俺たちの元に、チームの参加とメンバーの登録をして来たレオンが戻ってくる。
「あ!!おかえり、レオン」
「チーム名何にしたの?」
いや、写真を奪おうとしているのは俺だけか。だってシェリアたちはみんなに見られた格好を写真に納められただけだもんな。だけど俺は違う。よりによってジュビアさんの格好を・・・しかもスカートがめくれあがった時の写真なんか意地でも渡せない。できることならこの手で破棄しなければ・・・!!
「小さき魔術師にしたよ。ちょうどそんな感じのチームだし」
チームは彼のセンスに一任することにした。俺たちじゃいい名前が思い付かなかったし、気にするメンバーもいないだろうから、出たがってたレオンに任せちゃおってなった次第だ。
「あら、なかなかいいんじゃない?」
「レオンってそういうの得意なの~?」
「みたいだね」
まともなチーム名を作ってくれた彼に拍手を送る猫耳っ子たち。ちょっと不安を感じていたのが大変申し訳なく思えてきたよ。
「で、そろそろ予選に入る時間だから、メンバーを連れてきてって言われたよ」
自分がやって来た方向を指さすレオン。そんなに早くにスタートするのか、まぁ昼のメインがこれなら早めに始めないとダメなのかな?
「頑張りなさいよ」
「応援席で見てるからね~」
「みんなファイト!!」
今回は出場しないシャルルたちに見送られ、その場を後にする。ゲーム大会かぁ・・・一体どんなことするのかな?トランプゲームとかだったら逆に面白いかもね、盛り上がるかは微妙だけど。
『皆さんお待たせ致しました!!ただいまより!!毎年恒例マーガレット祭トーナメント大会を行います!!』
会場に響き渡る男性の声。それを聞いたと同時に、街の人々から歓声が沸き上がる。どうやらこの時ばかりはほとんどの出店もちょっとしたお休み中らしい。この大会が街の全体を使ってやるものだから、気を使ってるのかもしれないけど。
『今年はなんと!!過去最多の83チームが参加してくれることになりました!!皆さんの熱い戦いで是非ともお祭りを盛り上げていただきたいです!!』
一つの街でやる大会のわりに、かなりの数の人が参加するのだと驚きを隠せない。この中から八チームに絞るなんて、通過の門狭すぎじゃね?
『さぁ!!では早速予選を始めていきましょう!!予選の競技はこちら!!』
簡単な挨拶が終え、街にある教会のすぐ脇に設置された巨大なボードに予選の競技が表示される。
【ドローイングクイズ】
「・・・何それ?」
思わずそんな言葉が漏れてしまった。だが、このような反応をしているのは俺だけではない。他のチームの人たちもみんなどのような競技なのか予想ができないようで、ざわついている。
「これはあれだね、ドローイングだから絵を見てお題を答えるんでしょ」
すると、ソフィアがボードに書かれた文字を見ながら冷静にそう告げる。ドローイングって絵描きって意味なんだ、初めて知ったよ。
『予選で行います【ドローイングクイズ】は、こちらの魔水晶ビジョンに映し出される絵を見て、それが何の絵なのかを当ててもらいます!!』
ズバリソフィアの予想的中!!まだ予選が始まってすらいないのに、いきなり助っ人としての力を発揮する彼女に拍手を送ったりしている。
『解答権は各チーム一回!!間違えたらその瞬間即失格となります!!
早押しで上位八チームが決勝トーナメントに進出となります!!そして決勝トーナメントの対戦表はこうなっております!!』
一位vs.八位
四位vs.五位
二位vs.七位
三位vs.六位
「予選の通過順に対戦相手が決まるのか」
早く抜ければ抜けるほど、予選順位の低いチームと当たることができる。低いチームが弱いとは限らないけど、それしか基準がないんだし、早めに抜けるに越したことはないだろう。
『どのチームが抜けたかは決勝トーナメントになってからのお楽しみ!!皆さん予選からベストを尽くして頑張ってください!!』
どこが予選を通過したのかわからない・・・つまり、見た感じあそこは弱そうだからこの順位を狙おうというのを防ぐルールかな?色々と考えてるんだね、運営側も。
『絵を描いてくれるのは、マーガレット町長にお願いしております!!町長、お願いします』
『うむ』
司会の人からペンを受け取るお髭の人。だが、彼の姿を見た瞬間会場が静まり返った。
「町長が描くのかよ・・・」
「泥仕合になりそうだね・・・」
「「「??」」」
険しい表情の彼ら。何がそんなに不安なんだろうか?さっぱりわからん。
『それでは、予選競技【ドローイングクイズ】を開始いたします!!』
その声と同時に、競技名が書かれていた魔水晶ビジョンに白いボードが映し出される。そして、それに少しずつ絵が描かれていくのだが・・・
「はっ!?」
「何あれ!?」
「ひ・・・人・・・?」
描かれていくそれを見て、俺たちは思わず目を見開く。だってあまりにもその絵が下手で、何を描いているのかよくわからないのだから。
「町長絵画を買うのが趣味なんだけどさ・・・」
「描くのはからっきしなんだよね・・・」
初めから町長さんが目を描くのが下手なのを知っていたレオンたちは苦笑いしながらそう言う。泥試合ってそう言うことだったのか・・・でもこれヤバイよな?さっぱりわかんない・・・
「誰かの横顔?」
「街の偉人とかそんな感じ?」
とりあえずわかるのは、彼が描いているのは人であるということ。だけど、それが描いているのは白いボードの中の左側三分の一だったため、まだ何かが追加されるのは簡単に予想ができたため、まだ答えることはできない。
「あれ?口に何か食わえてる?」
「笛・・・かな?」
人の横顔に開いている口元に何かが描かれている。ソフィアとシェリアの推測通り、笛だと思うけど・・・
ピンポーン
俺たちが不可解な絵に頭を悩ませていると、どこかのチームがボタンを押した音が響き渡る。
『早くも正解を見出だしたチームが現れたようです!!』
「えぇ!?」
「早ッ!!」
「こんなのでわかるの!?」
なぜこんなに下手な絵で・・・しかも完成には程遠いのに一回しかない解答権を使えるのか、理解できない。間違えていたらそこで終わっちゃうのに・・・
『正解!!一位抜けチームが決定しました!!』
「「「「「何!?」」」」」
なんと本当に正解がわかっていたようで、早々に一位抜けチームが決まってしまう。なんでこんなのでわかるわけ!?どんな頭してる集団だよ!!
「ねぇ!!予選ギリギリで抜けちゃうと今のチームと戦わなきゃいけなくなるよ!!」
「ヤバくない!?勝てる気しないんだけど!!」
「早めに抜けないと本当にまずいよね!?」
圧倒的すぎる予選一位チームに動揺が走る。周りも騒がしいけど、何より同じチームの女の子軍団がうるさいため、一度落ち着けないと
「くぁwせdrftgyふじこ」
「落ち着いてシリル!!」
「何言ってるかわからないから!!」
「戻ってきて!!現実世界に!!」
今気付いた。一番動揺していたのは俺だったらしい。少女たちに宥められ、数回大きく深呼吸を繰り返す。
「よし!!落ち着いた」
冷静さを取り戻したところで魔水晶ビジョンに視線を戻す。誰かが解答中には出題者は手を止めているようで、今は左側が描き終わり、中心部分に筆が走り始めていたところだった。
「んん?」
目を凝らして映像に食い付く。なんだろ・・・缶のような円柱に数本の線が引いてあって・・・
「わかる?シリル」
「全然わかんない」
ウェンディが真剣にボードを見つめている俺に期待の眼差しを向けるが、あいにくそれに答えることができない。だってこの絵・・・意味わからないとかいうレベルじゃないんだもん!!もっとちゃんとした絵を描ける人を連れてきてくれてもよかったんじゃないの!?
「・・・」
全くお題がわからず、意見を言い合うことしかできない。そんな中、この大会への出場を真っ先に決意した少年は一言も発することなく、ただ静かに画面を見つめている。
「レオンわかる?」
「こんなのわかるなんてどんな頭してるのかな?」
心配そうにレオンに声をかけるシェリアとすでに予選を通過しているチームをなんとかして判明させようとしているソフィアがそう言う。だが、レオンはそれには何も答えず、ただひたすらに絵から何かを読み取ろうとしている。
「これって・・・」
閃いた!!そんな表情を見せたレオンはボードに付けられているペンを右手に取ると、せっせと筆を走らせていく。
「え!?レオン!?」
「まさかわかったの!?」
「こんな絵で!?」
「すげぇなオイ!!」
黙々とペンを走らせる少年に感嘆の声をかける俺たち。彼は相当集中しているようで、その声に答えることもせず、ただ静かにボードに解答を記入している。
「よしできた!!」
そして、書き終えた少年はそのままペンを置くと・・・
ピンポーン
『おおっと!!続いて新たなチームが解答ボタンを押したぁ!!』
あろうことか、解答者ボタンを押してしまった。
「「「「オイィィィィ!!」」」」
これにはさすがに全員大激怒!!そりゃそうだ、だって誰にも相談することなく一人で記入して、勝手に解答ボタンを押してしまったのだから。
「レオンそれはないよぉ!!」
「せめて俺たちに相談しようよ!!」
「間違ってたらそこで終わりなんだよ!?」
「みんなで協力しようよ!!」
誰にも何と解答したのかわからないまま、それが運営側へと渡されてしまう。一番出たいと言っていたのは彼だけど、やるからには俺たちも勝ちたいわけだから・・・
「大丈夫だよ、絶対当たってるから」
「その自信はどこから来るの?」
四人から批難の声を浴びせられているレオンだったが、彼はよほど自信があるらしく、予選通過を確信している表情をしている。一位で解答したチームもそうだけど、なぜここまでひどい絵を見て正解を導き出すことができるのか、不思議で仕方ない。
『正解!!二位通過チーム決定です!!』
「「「「ウソ!?」」」」
そんな話をしていると、運営側が俺たちの予選通過を高らかに宣言する。これには俺たちもビックリ。だってなんて答えたのかもわからないまま予選を抜けちゃうなんて思ってもみなかったんだもん。
「なんて書いたの!?」
「見せてよレオン!!」
こうなると正解が何なの確認しなければならなくなる。俺たちは解答した少年に手を差し出すと、彼は答えが書いてあるボードを手渡してくる。
「え?」
「これって・・・」
そのボードに視線を落とした俺たちは、書いてある単語に驚いた直後、首を傾げた。
【ルール】
なぜなら、先の絵からなんでこんな言葉に辿り着けるのか不思議でしょうがなかったからだ。
「ルールって・・・」
「あのルール?」
「規律とかの?」
「これのどこが?」
俺たちの解答確認が終わったことで再び進み始めるお題を見るが、全然ルールには見えない。なぜレオンはこんなへなちょこな絵でルールに辿り着いたのか・・・
「審判が笛を吹くのは試合開始、もしくは終了、または違反行為があった時。んで、あの缶みたいのはたぶんルールブックを描きたかったんじゃないかな?」
自身の推理を述べるレオン。だけど、それを聞いても全然理解できない。こいつ、一か八かに賭けただけなんじゃないのかな?
「いやぁ、二位で抜けれてよかったぁ!!これで一位のチームとは別ブロックに入れたからな」
レオンはそう言うと両手を組んで大きく背伸びをする。彼の言う通り、二位に入れたのは大きい。だって一位のチームはこんなわけのわからない絵を、わずか数秒で答えてみせたのだから。そんな不気味なチームと戦うのなんか極力避けたい。
「トーナメントが始まるまで、向こうで休憩でもしてよっか」
「そうだね」
「なんか変に疲れちゃったしね」
「主に心がね」
とりあえず、予選を勝ち抜けすることができたのでよし!!と思った俺たちは予選テーブルから離れて観客席の方へと向かっていく。よく考えたら、この場から離れたらそれだけで予選通過者であることが周囲に知られるのではないのだろうか?だけど、いつまでも留まっていても仕方ないし・・・これでいい・・・のかなぁ?
後書き
いかがだったでしょうか?
ゲーム大会予選会無事終了です。
予選から二回戦までは簡単に行く予定ですので悪しからず。
このストーリーは決勝戦がメインですからね。うん、頑張ろ。
ちなみに町長の描いた絵はアクマゲームの織田くんの絵を思い描いていただくとわかりやすいです。
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