八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第八十二話 羊はどっちかその九
「戒められている」
「あってはならないことですね」
「八条学園ではな」
「そうなのですね」
「この学園では昔から校則に定められていたという」
全員で後片付け等をすることはだ、僕もこのことは聞いて知っている。
「八条家の人が代々理事長だが」
「義和さんのご一族の方ですね」
「そうした人が務めているが」
八条家が経営しているからだ、だからそうなっているのだ。今の理事長さんも僕がよく知っている一族の人だ。
「八条家は天理教だ」
「だからですか」
「そうだ、天理教の教えでひのきしんとあるが」
「確かそれは」
「簡単に言うとボランティアになる」
井上さんはこう説明した。
「勤労奉仕ともいうが」
「その教えがあって」
「これは誰もがする」
このひのきしんはだ。
「大きな会長さんも立場のある人もな」
「一緒になってですね」
「こうしたことをするからな」
「だからですね」
「この学園もだ」
八条学園もというのだ。
「そうなっている」
「だからこそ」
「学年も関係なく」
「先生もだ」
「一緒に後片付けですか」
「そうしているのだ」
「そうなのですね」
早百合さんもこれで納得した。
「わかりました、いいことですね」
「私もそう思う、体育会系はだ」
「上下関係が厳しいので」
「どうしてもだ」
「先輩が威張りますね」
「先生もだ」
コーチの人もこれに入っていた、井上さんの今の言葉では。
「特に教師が酷い場合がある」
「生徒に威張ってばかりで何もしない」
「そうした輩がな」
井上さんは忌々しげに言った。
「いるからな」
「そうした人が出ない様にですね」
「この学園ではこうした校則がありな」
「先生にも適用されているんですね」
「この学園の校則は生徒だけに適用されない」
井上さんは早百合さんにこのことも話した。
「学園の関係者全員に適用される」
「先生、コーチの人達にも」
「職員の人達にもだ」
このことは実際にだ、八条学園の校則は学園の関係者全員に適用されるものだ。生徒だけとは限らないのだ。
「適用されるからな」
「範囲が広いですね」
「何でも教師の横暴を防ぐ」
「その為の校則ですか」
「その意味もあるという」
「生徒だけでなく」
「教師もだ、私は一人嫌な教師を知っていてだ」
ここでだ、井上さんは早百合さんに苦い顔を見せていた。
「生徒を暴力で支配していてだ」
「それは酷いですね」
「恐怖で従えさせていた」
こうした先生が本当にいるから世の中は怖いと思う、何処の世紀末の世界なのかと真剣に思う位のことだ。
「何度も殴り蹴り罵りな」
「とんでもない人ですね」
「そして怯えきっている生徒が頭を下げて挨拶をしてもだ」
この話を聞いてその生徒がどんな目に遭っているか僕にもわかった。
「頭を下げずふんぞり返ってその横を通ってうっす、だ」
「それが返事ですか」
「そうだった」
「物凄く偉そうですね」
「完全に自分が上だと思っているのだ」
「暴力で支配して」
「だからそれが態度にも出ている」
僕も話を聞いてかなり傲慢な態度だと思った、後輩でも自分が受け持っている生徒にもそんな態度は人として問題外だと思った。
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