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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第八十二話 羊はどっちかその六

「だから親父さんと比べたらな」
「先生はでござるか」
「大きく劣るさ」
 こうマルヤムさんに話していた、そして。
 エルザさんも食べているがだ、こうジョーンさんに言った。
「焼きそばは」
「はい、これはですわね」
「オーストラリアにはない」
「ニュージーランドにもでしてよ」
「和食はあっても」
「それでもですわね」
 どっちの国にも日本人が来て伝えていてもというのだ。
「こうしたものは伝わっていない」
「そうですわね」
「けれどこの焼きそばは」
「美味しいですわ」
「この美味しさ忘れない」
「はい、絶対に」
「焼きそばならだ」
 井上さんも焼きそばを食べつつ言った。
「普通に何処にでもあるが」
「日本では」
「そういえばそうですわね」
「ここまで美味しいものは稀にしても」
 それでもとだ、井上さんは水着姿で焼きそばを食べるという実に絵になる姿のまま二人にその焼きそばの話をした。
「八条学園の食堂にもあるな」
「言われてみれば」
「そうですわね」
「食べたいのなら好きなだけだ」
「食べていい」
「そういうものですのね」
「それと」
 ダオさんも来た、ピンクの端がフリルになっているワンピースの水着を着ている。実に可愛らしい水着だった。
「これビーフンに似てるわね」
「ベトナムのだな」
「そう、焼きビーフンね」
「ベトナムはビーフンの本場だったな」
「だからよく食べるけれど」
「確かに焼きビーフンに似てるな」
 井上さんもこのことを素直に認めた。
「日本の焼きそばは」
「そうよね」
「何処かな」
「ただね」
「ただ?」
「モダン焼きはないから」
 ベトナムには、というのだ。
「それはね」
「それは当然だな」
「焼きそばをお好み焼きの中に入れるのは」
 それこそというのだ。
「日本だけよ」
「焼きビーフンはタイにもあるけれど」
 今度はタイ人のラブポーンさんが言って来た、長身の結構な褐色のスタイルに赤いビキニがよく似合っている。
「モダン焼きはないわ」
「ここでもありませんわよ」
 まさに地元の小夜子さんの言葉だ、かなりラインが際どい黒のワンピースの水着は意外だった。本当にグラビアアイドルが着るそれみたいにワンピースでもお腹の部分と胸の部分がかなり露出している。ビキニと同じだけ。
「モダン焼きは」
「そうなの」
「広島でも」
「広島ではお好み焼きの生地と生地の間に焼きそばを入れます」
 まさにというのだ。 
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