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Fate/GrandOrder~救世の復讐者と盾の少女~

作者:村雲恭夜
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始まり

 
前書き
と言うわけでネタバレ覚悟で最新作投稿ですおりゃー!
批判やらなにやらどんとこい! 

 
____生きろよ、佑人。俺が成し遂げられなかった「正義の味方」に、お前がなれ。

その言葉を最後に、サーヴァント·アヴェンジャー......数ある世界の中に居た有り得たかもしれない「俺」がその体を消滅させた。

確かに、今思い返せば裏側でも彼奴は何かに苦しんでいた。それが消滅に対する苦痛なのであれば、それはかなりの痛覚だろう。

しかし、彼奴は辛い顔を見せず、最後は笑って送ってくれた。過去に今を託して。


■■■


衛宮家·佑人の自室

何やら音がして、俺は目を覚ました。ベットの上に置いた眼鏡を取り、掛けると扉が開く。

「あ、先輩。おはようございます」

「おはよう、桜」

彼女の名前は桜。正確に言ってしまえば、この世界には本来存在しない、ムーンセルの上級AIの一人だ。
ムーンセルの聖杯戦争とは別に、月の裏側で起きたある事件のある意味主犯者である......のだが、被害者でもある。彼女はムーンセルの能力で肉体を持つことが出来るようになりこうして家で居候している。

「今日も調子が良さそうですね、安心です」

笑顔で話しかけてくる桜に、微笑みながら俺はベットから降りた。

「調子は良いけど......ちょっと夢であの時のことを思い出したよ」

空を見上げるがそこには月がない。
夜になると見やすいのだが、月にはムーンセルと呼ばれる俺が持つ黒聖杯も比じゃない力を持った聖杯がある。あそこで、俺はアヴェンジャーと共に聖杯戦争を勝ち抜き、そしてムーンセルを手に入れた。
とは言えど、ムーンセルの初期化と、俺の願いによって、今は人類にとってはあまり影響がない。

「BBやアルターエゴ達は元気にしてるかねぇ」

「あれでもしぶといですからね。自分ですけど......」

桜は苦笑して言う。
忘れていたが、BBは桜の感情のバックアップを持ち、それを黒幕によって暴走させられた分身体だ。
とは言えど、別個の肉体を持つため双子にしか見えないのだが。

「まぁ、リップやメルトが居るし、後はあの麻婆神父居るから平気......」

と、言い掛けて頭を押さえる。

「麻婆......激辛......あかいあくま......ぐっ、頭が」

「あれ、結局何度もリカバリーしてくるんですもんね、データ」

桜が戸惑いながら言う。
麻婆神父......基言峰神父は麻婆が好きすぎて、月の裏側で役割を変えられた時にもよく出していた。あれは麻婆とは言えない......もっと違うなにかだと思う。
ともかく、その話を聞いた母さんは呆れながらも「何処に居てもあいつはあいつなのよねぇ......」なんてほざいていた。前科持ちなんだろうか。

■■■

それはともかく、桜の用件を聞こう。

「桜、所で何しに来たの?」

すると、桜ははっ!と思い出したように部屋からでると、すぐに小包を持って来た。

「先輩を起こすついでに荷物が届いていたので持っていってとお母様から」

「荷物?教会か時計搭からか?」

桜から小包を受けとる。随分と軽いが、音もする。

「宛名は......ねぇな」

「誰からなんでしょうね?」

桜が訝しげに見るのを見て、俺は小包を開ける。
中身は一つの何かの欠片に、作成済みのウィザードリング。後はレポートが一つ。

「これは......」

『間違いない、これは時空間転移魔法のウィザードリングだな』

ポンッと音をたてながら、幻影のウィザードラゴンが現れる。

「時空間......?タイムって事か?」

「確かそれは、ゼルレッチ翁の魔術では無かったでしたっけ?」

桜がウィザードラゴンに話し掛ける。ウィザードラゴンは首を振ると言葉を発する。

『いや、あやつのは平行世界への移動を込みとした魔術だよ。我々の魔法ではその域には行けない。精々過去や未来に飛べるだけの代物だよ』

いや、時間移動だけでもかなり凄い魔法なんだけど。と言うかゼルレッチ翁も中々やんな。
さて、この欠片とレポートを見るか。

「って、このレポートなんだ......」

レポートを捲って見てみるが、とてもじゃないが読めたものではない。かなり古ぼけているし、所々読めない。

「うわ、これ何ですか......」

流石の桜でも読めないらしい。ウィザードラゴンはマジで例外として。

「ムーンセルに行ければ見れなくはないかもなぁ......」

ムーンセルのところにいけば、解読ができる。機材はかなり現代より進んでるし、割と早くできる。だが、ムーンセル自体に行くには電脳世界からのダイブが必要なので、今は考えるだけにとどめる。

「さて、もう一つの欠片だが」

と、欠片ち手にとって見る。

「何でしょうか......?」

「見た目は剣か何かの欠片っぽいな。投影しても良いが、危ないし洒落にならないからな」

欠片を机において、タイムウィザードリングを填める。

「さて、試運転と行こうかね」

《ドライバーオン!プリィズ......》

ウィザードライバーを起動させ、ハンドオーサーを操作して魔法の使用待機音が響く。

《ルパッチマッチ!タッチゴー!ルパッチマッチ!タッチゴー!》

俺がリングをドライバーに当てようとしたとき、ウィザードラゴンが叫ぶ。

『待てっ!その手を止めろ佑人!!』

「あ?」

しかし、時遅くウィザードリングは読み込まれた。


《タイム!プリィズ......》


起動した魔法陣は俺達の前に現れ、問答無用で引きずり込もうとした。

「桜っ!」

桜に手を伸ばすと、その手を桜がつかむ。

『くっ、我としたことが......っ!』

ウィザードラゴンが俺の肩に捕まって言う。

『あれは使ったものを問答無用で引きずり込む指定魔法の一つだ!何処の誰かは知らんが余程我らを時間に飛ばしたいらしい!』

「はぁあああ!?」

俺がウィザードラゴンを掴もうとしたその時、捕まっていた物から手を離したためにタイムの魔法陣に引きずり込まれた。

「きゃあああ!」

『むおおおお!?』

「ドラゴンの馬鹿やろぉおおおお!」

俺たち三人は引きずり込まれ、青い壁に包まれた魔法陣の中を浮遊する。

そして、まだ俺たちは知るよしもなかった。
これが、事件のほんの始まりにすぎないことに。 
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