不死者の滅竜魔導士
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第三話:滅竜魔導士:
その日の夜には、一同は既にマグノリアを出ていた。
現在いる町は、フローディスという町で、別名“戦いの町”。
あらゆる所に決闘場があり、旅人達はそこで腕試しをする。
ナツはうきうきしながら、そこへ足を踏み入れ
「馬鹿か貴様は!!」
ている筈もなかった。
「任務の合間に決闘をする馬鹿があるか!!宿で大人しくしていろ!!」
こっぴどくエルザに怒られて、次の日まで宿を出る事を禁止された。
何せ、今回の任務は依頼主が同行している。勝手な行動は慎まなければならない。
「・・・エレン、行っちゃ駄目?」
「別に構わないが、お前のせいで我々が目立つのであれば止めて欲しい」
そう言われては、ナツはもう何も出来なかった。
ナツのみならず、グレイやガジルは充分名が知れ渡っている。
決闘場で試合など論外だった。
「滅竜魔導士なら我慢しろ」
エレンの言葉に、ナツはもはやぐうの音も出ない。
ふてくされるナツを見かねたウエンディは、笑顔で話を切り替えた。
「そう言えば、エレンさんって魔法とか使えるんですか?」
その時、エレンの肩がピクッと動いた。
「・・・ウエンディ、知りたいか?」
「え?」
きょとんとしているウエンディの顔目掛けて、エレンの右手がぬっと伸びた。
———殺気。
「ウエンディ!!」
「“幻竜の沈黙”」
エルザの言葉が発せられたと同時に、エレンも言葉を発した。
すると、ウエンディはガクッと椅子から崩れ落ち、エレンが左手でそれを支えた。
「・・・・・!!?」
「驚いたか」
既に戦闘態勢を構えているエルザ達に視線を戻し、右手をもう一度ウエンディの顔へ伸ばす。
すると、今度はウエンディが目を開き、エレンの左手から離れた。
「・・・私、何があったんですか?」
「ほんの一瞬眠ってもらっただけだ。気にするな」
「・・・エレン、お前・・・」
エルフマンの問いに、エレンはスゥッと口を開いた。
「私は、ウエンディやガジル達と同じ、滅竜魔導士だ」
そう言うエレンの右手には、灰色のモヤが漂っていた。
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