魔女に乾杯!
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36部分:第三十五話
第三十五話
第三十五話 先生の秘密
華奈子達の魔法の先生は言うまでもなく今田先生である。おっとりとした優しい先生として知られている。
教え方も上手く華奈子達もみるみる成長していた。ただ、一つ気になるところがあった。
「ねえ、先生の使い魔って見たことある?」
塾の帰り道不意に華奈子がそう言ったのだ。
「先生の使い魔!?」
「うん、ちょっとないよね」
「そういえば」
他の四人はそれを聞いて頷いた。
「魔女って普通使い魔がいるものだけれど」
魔女だけでなく魔法を使う者の必須条件でもある。使い魔を傍に置くことは。
「先生にはどういうことかいないのよね」
「わたし達が知らないだけじゃないかしら」
春奈がそう言った。
「先生も魔女だし。きっといる筈よ」
「そうよねえ」
赤音がそれに同意した。
「うちのお姉ちゃんは使い魔がなくても女の子は魔法が使えるって言ってたけれど」
「赤音ちゃん、それ違う魔法よ」
梨花がそう突っ込みを入れる。
「けれど気になることは気になるわね」
「美樹ちゃんの言う通り」
華奈子は我が意を得たとばかりに微笑んだ。
「何かすっごく気になるわよね」
「まあ今回は華奈子ちゃんに賛成だけれどね」
「皆も?」
「そうねえ」
他の三人を代表して梨花が応えた。
「気にならないって言えば嘘になるわよね」
「それじゃあ調べてみる?」
「どうやって?」
春奈が問うた。
「先生のおうちまで行って調べるつもり?」
「それしかないんじゃない?」
華奈子はへこたれるかと思ったが平然とそう答えた。
「見てみるしか」
「けれどいるかなあ」
今度は赤音が首を傾げた。
「若しかすると本当にいないかも」
「そんな筈ないじゃない」
華奈子はそれを否定した。
「魔女には絶対にいるから。大丈夫だって」
「犬や猫だったらいいけれど」
今度は梨花が言った。
「虎とか狼だったらどうする?先生だったら有り得るよ」
「それは・・・・・・」
「まあそこは鬼が出るか、蛇が出るか」
美樹が遮るようにして言う。
「行って見てからのお楽しみよ」
「そう美樹ちゃんの言う通り」
援軍を得た華奈子はさらに活気付く。
「ここは勇気出して行こうよ!」
「行く?」
「仕方ないわね」
他の三人もそれに頷いた。こうして五人は先生の使い魔を確かめにこっそりと先生の家に行くことになったのであった。
第三十五話 完
2005・8・24
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