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戦姫絶唱シンフォギア~海神の槍~

作者:紡ぐ風
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EPISODE10.月の塔

「見せてやるよ、イチイバルの力を!」

「イチイバル、だと!?」

「-♪Killiter Ichaival tron-」
クリスは聖詠を口ずさみ、イチイバルのシンフォギアを纏う。
「私に歌を歌わせたな。私はなぁ、歌が一番嫌いなんだよ!」
「何ッ!?あいつも装者だったのか!通りで戦い慣れていたわけだ!みんな、来るぞ!」
「-♪疑問?…愚問!衝動インスパイア!六感フルで 感じてみな!-」
クリスはイチイバルをガトリングに変えてBILLION MAIDENを放ち、翼は千ノ落涙で、美冷は霧型・津々で撃ち落とす。
「イチイバルって弓だぞ!ボウガンならまだしも、ガトリングって滅茶苦茶だ!」
キョウヤも文句を言いながら響と共に回避する。
「-♪滅ッ!Understand!コンマ3秒も 背~を向けたらDie-」
クリスは構わず弾丸を放つ。
「-♪心情?炎上!強情マトリックス!沸点ピークで 砕~け散れ!motto!motto!motto!motto!motto! break!outsider-」
翼と美冷は弾丸を撃ち落としていくが、細かい攻撃の回避手段が無いキョウヤと響は逃げ惑う一方であった。
「-♪傷ごとえぐれば 忘れられるって事だろ?イイ子ちゃんな正義ぃなんて 剥がし~てやろうか~?-」
クリスはCUT IN CUT OUTを放ち隠れていたキョウヤ達をあぶり出す。
「-♪HAHA!さ~あ~It's show time火ぁ山のよう殺伐rain さ~あ~お前らの全部!全部!全部!全部!全部~ 否定してやる! そう否定してやる!-」
クリスはMEGA DEATH QUARTETを放つ。四発のうち三発はキョウヤ、美冷、翼が破壊するが、最後の一発がキョウヤ目掛けて迫る。そしてそれは爆発しキョウヤはその中に飲み込まれる。
「キョウヤぁぁぁッ!」
「キョウヤさん!」
「タカナリ!」
美冷達は叫ぶ。すると、
「……まったく、キョウヤも美冷も、ボクがいないと本当にまだまだなんだから。」
盾を構え、白とグレーのシンフォギアを纏った女性がキョウヤの前に立ち攻撃を防いでいた。
「─フォルテさん!」
「来てくれたのか!」
美冷とキョウヤは喜ぶ。
「……さて、雪音クリスさんって言ったね?今すぐシンフォギアを解除して、フィーネの事について話してもらおうか。」
フォルテはそう言うが、
「はぁ?てめぇもあいつと同じ、異世界から来た野郎の装者か?」
クリスはそう返す。すると、
「……………あっ─」
「あ~あ、言っちゃった。こりゃあクリスちゃんに勝ち目が消えたな。」
美冷とキョウヤはそそくさと隠れる準備をした。
「二人とも、どうしたのだ?」
翼はキョウヤに尋ねる。
「姉さんは普段はとっても寡黙で優しい人なんだ。でもな─」
「ある事を指摘されちゃうとスッゴく凶暴になっちゃうんだ。あれを見て。」
キョウヤと美冷は説明し、指を指す。その先には震えているフォルテがいた。
「誰が、、誰が男みてえな胸だって?ゴラァ!ボクだってよぉ、好きでこんなぺったんこになったワケじゃねえんだよ!そんだけぶるんぶるん振るわせているあんたには解らねえだろうよッ!」
フォルテは素早く動きクリスの腹にストレートパンチを決める。
「見て解っただろ。胸の話を本気で気にしているんだ。ああなると俺のレリックドライブでも対処出来ない。」
キョウヤが説明している最中もフォルテはクリスの事を盾で殴り続けていた。
「それじゃあ、クリスちゃんは!?」
「まあ、姉さんの怒りが治まるまでは我慢するしか無いなぁ。仕方ないよ、自業自得ってやつだ。」
止めようと考えている響にキョウヤは止めるように説明した。そんな中でもフォルテはクリスを殴り続け、クリスはイチイバルを解除こそしないものの、地面に倒れてしまう。
「……はぁ、はぁ、はぁ、はぁ。さて、フィーネの事についてどれだけ知っているか話してもらおうか。」
フィーネはクリスに近寄るが、
「別に、話すことなんて無いわよ。」
やや離れた所から声が聞こえ、一同が振り向くと金髪の淑女がいた。
「フィーネ!」
「お前が地球のフィーネか!」
クリスとキョウヤは叫ぶ。
「クリス、あなたにもう用は無いわ。あなたじゃあ争いを止める事なんて出来やしない。だって、あなた自身が戦渦の火種を蒔いているのだもの。」
「そんなッ!私は、あんたの言う通りにしていたのに!」
「愚かな娘ね。あんな言葉に騙されているなんて。」
フィーネはそう言い、ネフシュタンの鎧を回収、更にソロモンの杖から大量のノイズを呼び出しクリスにけしかける。
「無用になった道具は廃棄しないとね。」
「──そんなッ!」
ノイズ達はクリスに向かって行くが戦意喪失したクリスは動けずにいた。
「美冷!姉さん!ここは行くぞ!」
キョウヤ達は迫るノイズを全滅させる。しかし、ノイズに気をとられフィーネとクリスに逃げられていた。
「しまった!二人を逃がしてしまった!」
「……気にするな、キョウヤ。フィーネの事はこちらでも聞ける。それよりもクリスさんをどうするかだ。」
「そうだな。見たところ、ありゃあこっちのフィーネに騙されているだけみたいだな。とりあえず、一旦帰ってオッサンに報告だな。」
キョウヤがそう言った途端、
『その必要は無いぞ、キョウヤ君。』
キョウヤの通信機から弦十郎の声が聞こえ、キョウヤは弦十郎と連絡をとる。
「どうしたんだ、一体?」
『クリス君は実は、日本で行方不明になっていた少女なんだ。』
「なるほど、クリスちゃんは誘拐されてフィーネに洗脳教育をされた、ということか。」
『そう考えていいだろう。さて、一度戻って来て欲しい。フォルテ君の歓迎会をしたい。キョウヤ君や美冷君にもしたのにフォルテ君にしないのは平等性に欠けるからな。』
弦十郎の言葉にフォルテは震えている。
「勘違いしないで、姉さん。この場合の君はさんにあたいする単語だから。」
キョウヤ達はフォルテを引きずって二課に戻った。

「私が用済みってどういうことだよフィーネ!」
「解らないのかしら?あなたは邪魔なの。もうカ・ディンギルは完成した。あとは私が動けば終わりなの。」
フィーネはソロモンの杖からノイズを呼び出しクリスにけしかける。
「チッ!」
クリスは逃げて行く。
「さて、ガングニールとトライデント。2つの融合症例から聖遺物との融合に負担がないことは立証済み。それなら─」
フィーネがそう言った瞬間、アメリカからの軍人が押し寄せて来る。
「我々にとってお前はもう用済みだ。死んでもらうぞ、櫻井了子。」
軍人達は一斉にフィーネを発砲。フィーネはその場に倒れる。
「よし、退くぞ。」
軍人の一人がそう言うと、フィーネは立ち上がる。
「お前達は何時もそうだ。自分達にとって都合のいい時はデータを不必要に搾り取って、邪魔になったら即殺す。本当に愚かで野蛮な種族だ。」
フィーネはそう呟いた。

「さて、フォルテ君、ようこそ我らが二課へ!君の事は以前美冷君からも聞いていた。是非とも我々と協力してくれないか?」
「……ボクは元々そのつもりです。」
弦十郎とフォルテは握手し、軽く会釈した。
「あれ?了子さんは?」
「了子さんなら、今朝から見ていないわよ。」
響の質問に友里オペレーターは答える。
「やはりそうか。地球でノイズを大量に放っているフィーネと名乗る阿呆女の正体、俺達は櫻井了子と踏んでいる。その件オッサン達はどう思う?」
「了子さんが?そんなわけ無いでしょう。」
「立花の言う通りだ。何を考えている。」
キョウヤの言葉に響達は否定するが、
「キョウヤ君は、何を証拠に聞いているんだ?」
弦十郎はキョウヤに質問した。
「以前にも言ったと思うが、俺達の後ろには俺達の世界のフィーネが居る。そして、ここからが重要な話だが、シンフォギアの技術はフィーネしか作れないんだ。何故なら、シンフォギアの技術はフィーネが生存していた先史文明期の技術だ。まさか、ただの研究者が偶然見つけたと本気で思っていたなんて言わせないぞ。」
「なるほどな。俺自身、了子君の事は疑っていた。」
「風鳴司令ッ!」
「師匠!」
「考えてもみろ。どうやれば外部からキョウヤ君達の通信機に盗聴器を仕込め、他にも二課へ悪辣なハッキングが数万に渡って行える。それはここのスタッフ以外にいない。そして、その技術を持っているのが─」
「─そう、あのオバハンってわけだ。」
キョウヤが説明を終えるとエマージェンシーがかかる。
「東京スカイタワー付近でイチイバルとノイズの戦闘を確認!装者、直ちに急行して下さい!」
友里オペレーターの言葉でキョウヤ達は東京スカイタワーに向かう。

「-♪HAHA!さ~あ~お前らの全部!全部!全部!全部!全部~ 否定してやる! そう 否定してやる!-」
クリスはMEGA DEATH PARTYで目の前のノイズを駆除して行くが手が追いつかない。
「クソッ!このままじゃ!」
クリスが諦めかけたその時、
「大丈夫か、クリスちゃん!」
キョウヤ達が現れる。
「あんた等はッ!」
「さあ、クリスちゃんも疲れただろう。響ちゃん、風鳴さん、クリスちゃんを任せる。あのデカいの全部、俺達でなんとかするから。」
「キョウヤさん、無茶ですよ!」
「あれをたった三人でやるのか!?」
「ああ!美冷、姉さん、久し振りにあれ、やってやるか!」
「オッケー!」
「ボクも問題ない。」
「おい、あんた等!一体何をする気だ!」
「クリスちゃん、この状況を打開するには本元を叩く必要がある。なら!」
「ボク達の切り札の出番だ。」
「タカナリ、それは一体?」
「俺達にしか出来ない必殺技。絶唱ならぬ、合唱だ!」
「合、、唱?」
「ああ!さて、ひさびさにリズムを合わせるぞ。」
キョウヤ、美冷、フォルテは足でリズムを取り合い、
「「「-♪鈴の音色 高鳴る鼓動 今手を取り合った絆よ-」」」
キョウヤ達は歌い始める。
「「「-♪迷わないから 立ち向かえるよ-」」」
「-♪繋げ!-」
美冷は霧型・津々を放ち、
「-♪今この手が届くまで!-」
フォルテは白盾をブーメランのように投げて攻撃する、東奔西走を放つ。
「-♪人の 可能性は無限大!-」
キョウヤはシューティングハレーを放った。
「すげー。そうだ!フィーネはこの世界を終わらせる塔、カ・ディンギルを完成させたって言っていた。それが何か解らねえか!?」
「塔……まさか!このスカイタワーが!?」
「確かに!これだけノイズが守っていて目立つ塔はこれしか!」
クリスは響達にカ・ディンギルの事を知らないか聞き、響達はスカイタワーではないかと予測する。
「-♪この手は みんなの笑顔の為-」
「-♪人の~未来を取り戻す為-」
フォルテは白盾に太陽のエネルギーをチャージし美冷に投げ、美冷はそのエネルギーを纏って突進する穿孔型・疾風怒濤を放ちノイズを蹴散らし、美冷は青龍偃月刀をキョウヤに投げ渡す。
「-♪命を掛けたこの願い 人の 夢を 護りたいという夢~-」
キョウヤは青龍偃月刀とトライデントで交互にエネルギー波を放つ宇宙(そら)型・ラスタバン流星群を放ち邪魔な小型ノイズを一掃する。
「-♪戦わないという戦いの先に-」
「-♪鍛え上げて行くその心-」
フォルテの白盾をキョウヤは掴み、フォルテはキョウヤごと白盾をぶん投げ、キョウヤはミスティセクタムをプロペラのように使い空を飛び、爆撃機のようなノイズの上に立つ。
「-♪天の道をただ進んでく-」
「「「-♪勇気!絆!希望!その一つ一つが 正義となる~!-」」」
美冷とフォルテはキョウヤに迫る小型ノイズを蹴散らしキョウヤはトライデントにエネルギーを溜める。
「「「-♪絆 友情 一つに束ね 湧き上~がる無限のエ ネルギー! 諦ぁめずに立ち向かうから 届け!この思いのあるがまま!輝くこの鼓動はインフィニティ!-」」」
キョウヤは溜めたエネルギーを解放し爆撃機型のノイズを撃破して次のノイズに飛び移る。
「さぁて、あんた等も行きたいんだろ?」
そんなキョウヤを見てクリスはMEGA DEATH QUARTETの準備をしていた。
「クリスちゃん、何をする気!?」
「ほら、さっさと掴まれ!」
驚く響にクリスはミサイルに掴まるように言い響達が掴まったのを確認するとキョウヤが乗っているノイズ目掛けてミサイルを放つ。
「そんな滅茶苦茶な~!」
「今だ。飛び乗ろう。」
ミサイルに振り回される響にフォルテは冷静な判断を出して響達はノイズの上に飛び移った。
「よし、やるぞ!」
「-♪平和な時間を護る為-」
「-♪(こころ)の音色を奏でよう-」
召喚される小型ノイズをキョウヤと美冷は切り裂いて行く。
「-♪暗黒の世界を壊す為-」
フォルテも盾で突進する技、六天魔王を放ちノイズを蹴散らして行く。
「-♪風の 叫びに 今応えよう!-」
キョウヤは響、翼と協力してノイズを倒して行く。
「-♪正義だって時に欲望となるし-」
「-♪友情だって裂ける時もある-」
「-♪それ~でも希望は裏切らない-」
「「「-♪夢や!願い!笑顔!護る為に今 飛び立ってく~-」」」
そこでクリスもミサイルに乗ってやってくる。
「「「-♪鈴の音色 高鳴る鼓動 今 手を取り合った絆よ! 信じるから立ち上がれるよ!-」」」
「-♪今こそ!-」
「-♪正義の鉄槌を!-」
「-♪この奇 跡はそう-」
「「「-♪SYMPHOGEAR!!!-」」」
キョウヤ、美冷、フォルテの三人は息の合ったコンビネーションで斬撃を放ち爆撃機型のノイズを撃破し、六人は最後の一体に移る。
「クリスちゃん、キョウヤさん達、いい人でしょう!」
「あいつ等、なんであんなに命がけで戦っているんだ?ここはあいつ等の居場所じゃ無いのに。」
「決まっているだろう!確かにここは俺達の世界じゃ無い!でもな!」
「ここがノースガルドと同じ位好きだから!」
「護りたいものを護る。それの何が問題なんだ?」
クリスの質問に三人は答え、
「-♪知恵を与える果実は試練を出し-」
「-♪考えるのを止めて走らないといけない-」
「-♪だからこそ自分を信じたい!-」
トドメの準備に入る。
「「「-♪紡い!できた 日々が 歴史とな~って今 輝きだす~!-」」」
「ほら、響ちゃん達も一緒に!リズムに合わせて!」
キョウヤは手を伸ばし、響達も加勢する。
「「「「「「-♪絆!心!一つに束ね 一つになったハーモニー! 伝説は今 受け継がれてく-」」」」」」
「「-♪届け!-」」
フォルテとクリスがぶっ叩き、
「「-♪この手が届くまで!-」」
美冷と翼が切り裂いて、
「「「「「「-♪人の!可能性は無限大!-」」」」」」
六人での一斉攻撃でノイズを撃破する。
「よし!どうだクリスちゃん、歌は本当に嫌いか?歌うとムシャクシャしていた自分をさっぱり忘れさせてくれるだろ?」
「ッ!?あんた等、こんな事して、何が目的だ!」
「……少しはキョウヤの言うことを信じてくれないか?姉からのお願いだ。」
「そうか、あんた、こいつの姉さんだったのか。悪ぃな。それで、私に話って何だ?」
「素直に聴くけど、フィーネから捨てられただろう?」
「ああ。」
「やっぱりそうか。クリスちゃんがここに居てタワーの周りをノイズが陣取り、俺達がここに駆り出された。あまりにも出来すぎじゃないか?まるで何かをカモフラージュする為のような─」
キョウヤがそう言った瞬間、翼の通信機に緒川から通信が入る。
『やられました!リディアンが、フィーネに襲撃されました!』
その言葉に響と翼は驚く。
「───リディアンが。」



戦姫絶唱シンフォギア~海神の槍~
つづく 
 

 
後書き
漸く最後のオリキャラが出せました。それでは紹介します。

フォルテ・タカナリ
身長:172cm
体重:54kg
スリーサイズB:70/W:52/H:80
キョウヤの姉でチームの頭脳。基本的に冷静な判断でキョウヤと美冷の指揮を執り、危険な事態になった場合は盾となって防御する。普段は余計な事は話さず優しく接するが、身体の話をされると我を忘れてしまう。使用する聖遺物は白盾。現在22歳。
使用ギア:白盾
出自不明な盾。ノースガルドでの発見番号は2番。また、試作段階のギアである為過度な戦闘は行えず、専ら防御専門。冠名は咎盾(とがたて)
使用技一覧
東奔西走
白盾をブーメランのように投げて仕込んだ刃で攻撃する。
六天魔王
白盾を巨大化させて突進し、防御と同時にノイズを倒す。 
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