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レインボークラウン

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第三百四十七話

               第三百四十七話  好き嫌いなく
 先生は美樹にだ、さらに言った。
「絶対に無理なら仕方ないけれど」
「そうでないのならですか」
「食べるべきなの」
「牛乳もですね」
「そうよ、飲んでね」
「背が高くなっても」
「そもそも背が高くなっても」
 それでもというのだ。
「貴女の性格がどうかなるの?」
「性格が」
「背が高くなって悪くなったりしないわよね」
「それは」
「問題は高い低いじゃなくて」
 そうした問題でなく、というのだ。
「それを気にすることよ」
「そのことが問題ですか」
「先生はね」
 先生は自分のことも話した、ここで。
「実は胸が小さいの」
「そうなんですか」
「そう、高校の時もクラスで一番ね」
「胸が小さかったんですか」
「そうだったのよ、そのことを気にしていたの」 
 このことをだ、美樹にあえて話した。
「大きくないって、けれどね」
「それでもですか」
「ある日先輩に言われたの。胸が小さくてそれで死んだり何かに選ばれなかったりするかって」
「そう言われると」
「ないわね」
「はい、そうしたことは」
 美樹もそのことはわかって言う。
「ないですね」
「だからね」
「私もですか」
「背が高くなっても」
 それでもというのだ。
「気にしなくていいのよ」
「けれど可愛くないんじゃ」
「そのことも話すわ」
 先生は美樹にまたすぐに返した。
「とにかくね」
「背が高くてもいい」
「そうよ、それは貴女にとっていいことでもなければ」
 そしてというのだ。
「悪いことでもないから」
「気にしないで、ですね」
「やっていって、いいわね」
「わかりました」
 こう答えた美樹だった、そして。
 その美樹にだ、先生はあらためて話した。今度は可愛さというものについて話すのだった。引き続きそうしたのだ。


第三百四十七話   完


                   2016・6・5 
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