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とある科学の観測者

作者:kyua
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護衛

学園都市 第4位に襲われたり、
白井と買い物、食事をしたり、
自分の能力に目覚めたりした日から3日。

俺には同居人ができていた・・・

「ふぁ・・・、おはよう。」
俺は寝ぼけた声でとりあえず挨拶。

「早くわないわよ」
同居人・・・。もとい結標に冷たく返される。

なぜ結標と同居することになったのかと言うと、それは2日前のこと。
俺が命を奪われかけた次の日の朝のことだった。
学校から家に帰ると、俺の部屋に無断で上がり込んでいた結標。
話によると、あんなことがあったので上からの命令で俺を護衛することに
なったそうな。

そしてテレポート系の能力者であり、鍵がかかっていようが問答無用で
侵入できる彼女との同棲が始まった・・・

「結標は意外と朝早いんだな」
「『意外と』ってなによ?」
「勝手は妄想だけど、朝はゆっくり寝て、昼頃起きてスルメでも噛んでいるのかと」
「あなたに私はどう見えているのよ・・・」
「はやく朝ごはん食べてしまいなさい」
「はいよー」

結標は飯を作ってくれる。念願の女の子の料理・・・
家にいるのでせめてもの気遣いだそうだ。
護衛してもらっている俺のほうが迷惑をかけている。ということは置いておこう。

「なぁ、結標。今日午後空いてるか?」
「空いてるけど、なに?」
「いや、一緒にお出かけでもしないかな~・・・と」
「いいわよ」
「マジで!?じゃあショッピングモールでも行くか」
「なにか用事があるの?」
「学校で使う筆記用具やら、ついで服も買いたいからさ」
「わかったわ」

了解を得て俺はとても気分があがった。
そして、今までの話とは関係ないが、実はとても気になっていたことを質問する

「そういえば、いつも首につけてる輪っかはなんだ?」

結標は首に円状の機械をいつもつけている。
最初あったときには気が動転していて気づかなかったが、昨日の第四位との
追いかけっこの際に気づいた。

「これ?まぁ能力補助器みたいなものよ」
「ほー・・・」

そして昼頃まで俺は学校の宿題。結標は能力を使用していた。
おそらく能力使用時の座標計算の制度を上げる練習だろう。
そして時間は13時を回る。

「さて、じゃあ出かけるか」
「ええ」

俺たちは家を出ると、まっすぐ目的のショッピングモールに向かった。

「なぁ、結標。お前の服でも見に行かないか?」
「は?どうして?」
「いや、いつも制服着てるだけだしどうかな?」
「いらないわ。必要ないもの」
「そんなこと言わず。さぁ行こう行こう」
「ちょっ、いらないって言ってるでしょ!!」

俺は結標の言葉を聞き流しながら女性服の販売しているコーナーに
引っ張っていった。

「さて、どんなのがよい?」
「勝手に引っ張ってきて何言ってるのよ。それに、私がテレポートで
逃げられないように能力を使って封じていたでしょう・・・」
「まぁまぁ。選ばないなら俺が選らんじまうぞ!」
「はぁ、もう好きにすれば・・・」

俺はショートパンツに肩の出るTシャツを結標に見せる。

「これなんかどうだ?」
「・・・」
「試着してみてくれよ」
「・・・」

結標はしっかりスルー。しかしそこに店員さんが登場する

「お客様。どんなものをお探しですか?」
「あぁ、試着室したいんですけど」
「彼女さんの試着ですね?こちらへどうぞ」
「か、かの!?ちが――」
「はいはーい。今行きまーす」

俺はついに反応を見せた結標の背中を押し誘導する。
そして、そのままの流れで結標を試着室に押し込んだ。

「どうだ、結標ー?」
「・・・」
試着室の中から返答はない。
怒らせてしまったか。心配し始めた時、試着室のカーテンが開く。

「はい」
それだけ言って、俺の選んだ服を着て姿を現す。
そして、その姿は天使にも見えた・・・

「か、かわいい・・・」
「は?何言ってんの・・・」
結標は少し頬を赤らめる。

「いや、普段さらしにブレザー羽織ってるのしか見ないから」
「『馬子にも衣装』ってことかしら?」
「いや、普通にかわいいよ!ちょっと別の服持ってきてもよい?」
「まだやるの・・・?」
「じゃぁ次で最後にするから!」
「はぁ・・・、好きにしなさい」
「じゃあ行ってくる!!」

俺は呆れる結標を背に、急いで服を探しに行く。
そして5分ほどで試着室の前に戻った。

「これ着てくれ!」
俺は選んできたコーディネートを見せる。

「あんた、いま何月だと思ってるの・・・」
「秋ぐちだろ?知ってるよ。でも着てほしいんです!!」

俺の懇願の声があたりに響きわたる。

「わ、わかったから。静かにしなさい」
周りの視線に負けた結標は、試着室のカーテンを閉め、着替えを始める。

しばらくして――
カーテンが開き、恥ずかしげに俺に姿を見せる。

「ど、どうかしら・・・」
「・・・。かわいい・・・」

俺が着せたコーディネートは男のあこがれ・・・
『白いワンピース』に『大き目の麦わら帽子』。そして実はお願いしていた事。
結標は髪をいつも縛っているので、ほどいてもらった。
天使が完成した!

さらにコーディネート以外にも、普段強気な態度なのに恥ずかしがっているあたりがさらに・・・
結局最初の服だけ俺が購入し、結標にプレゼント。という形でまとまった。

服屋を出て『なに考えてるの』と結標に怒られたのは必然だった。

その後、俺達は学校で使用する筆記用具を購入しお昼等を済ませ帰宅した。
少し結標との距離を縮められたような1日だった。

正直、結標のいう『上』というのはすごく気になるし、俺が命を狙われていることも気になる。
でもとりあえず今考えても仕方ない事だし、追われていた日電話で話した人との話でいずれ
知ることができることだ。
今はとりあえず、ついこの間までの日常から少し変わった今を楽しむことにした・・・。

 
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