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剣(ブレイド)外伝-仮面ライダーギルティ-~失格者の罪と罰~

作者:蜥蜴石
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楽園に舞い降りた罪の怪物と罰の戦士

 
前書き
小説関連のことから離れて数年、久々に連載…という名の短編小説を書いてみました(最後まで書き切れないことが多いためこんな形になりました)。また、暁での投稿方法もすっかりド忘れしてたり、スマホに変えたため文章もなにもかも変かもしれませんし、何よりも二次創作故のオリジナル設定が殆んどのためそういったものが苦手な方は閲覧の際には御注意を…。 

 
この地球上ではかつて、五十三種の選ばれし不死生物(アンデッド)というありとあらゆる生物の始祖達が『バトルファイト』と呼ばれる種の生存と繁栄を賭けた戦いを行っていた…。

前回のバトルファイトでは人間の租たるヒューマンアンデッドの勝利により、地球の支配者は人間となった…しかし、それから数万年後、この世界にて再び始まる…。



これまでよりもより苛烈で、より凄惨な人類と世界を巻き込んだ史上最悪のバトルファイトが…。


300X年、世界は未だかつてないほどの危機に陥っていた。かつての栄華を誇った人間の文明は崩壊しており、荒廃したこの世界、それでも人類は逞しく生きていた。

ところ変わって此処はとある小さな島・楽園島(らくえんとう)、此処は都会から遠く離れてるほどのド田舎に過ぎないという不便ささえ除けば、豊かな自然と穏やかな海に囲まれ、常に暖かな気候で保たれ、何より昔からこの島で唯一存在する村で生まれ育ち、住んでる者達も少ないがそれ故の静寂さも相俟ってまさにその名の通りの楽園…さらに言えば既に崩壊した都市部よりも下手をしたら比較的恵まれてるのもこの島の良いところの一つでもある。

そしてこの楽園島の海辺付近に一つの小さな教会…通称『白波の教会』がひっそりと建てられている。教会の周囲は殆ど海と砂浜と一本のヤシの木が生えてるだけで何もないように見えるが、島民達からはこの島で最も美しい場所と呼ばれている…何故ならば。

教会・礼拝堂。

「今日もこの島が平和でありますように…」

暖かい気候にも関わらず忠実に教会の教え通りの黒を基調としたロングスカートのワンピース状の修道服姿、ウィンプルと呼ばれる白頭巾をかぶった20代前半の若いイギリス人女性…シスター・エレノアは目を閉じ、両手を合わせながら首にかけていた銀の十字架を握りしめ、本日の島の平穏への祈りを神の下に捧げていた。

「ふぅ~…さてと、今日も行きますか♪」

エレノアは祈りを済ますと同時に教会の外へと出て行き、近くの砂浜に向かって歩きながら履いていたブーツを脱ぎ、さらにはウィンプルを外して無造作に投げ捨てるとウェーブがかった海の様な綺麗な蒼いロングヘアーが露わになり、持ち前の赤く煌めく瞳が若干隠れるほどの長めの前髪がかかる。裸足で海の手前まで来ると…なんと、修道服までも大胆に脱ぎ捨て、そこからは地味な格好の裏で隠れていた白磁の美しい素肌と神からの恵みを受けたかの如く豊満なバストとそれに対して自己主張控えめのヒップを黒基調のビキニに包んだ肢体が現れる。

「本日の朝食は何がいいかしら♪ふふっ♪」

エレノアはにこやかにそう言いながら髪をポニーテールにまとめ、銀の十字架をネックレスチェーンから取り外してチョーカータイプのアクセサリーに移し変えて装着し、ゴーグルを頭にかけ、銛を片手に海へと飛び込んだ…これは朝の祈りを済ました後の彼女のもう一つの日課である。それは朝食代わりの魚や貝を取りに海に潜ることであった。

「~♪~♪」

海中にて、先程の清楚で神聖な雰囲気はどこへやら、無邪気に遊ぶ子供のように楽しそうに慣れた手つきで銛を突き、一匹、二匹、三匹と次々に獲物である魚を仕留めていくその様子からやはりエレノアもこの崩壊した世界で逞しく生きる人間の一人であったようだ。

「~!~♪」

「~!!」

ここでエレノアは海中で自分の前で同じく漁をしていた一人の人間の存在に気づいて手を振ると相手もそれに応えるかのように手を振る。ここで一旦、お互いに呼吸を整えるため同時に海面へと顔を出す。

「ぷはぁっ!おはようございます♪鱗君♪」

「ぶふぁっ!!おはよう、エレ姉ぇ!」

エレノアは自分が会った黒い髪をした頬に絆創膏を貼った小学生くらいの年齢の活発そうな小柄の少年・栖貝鱗(すがい・リン)と挨拶を交わした。鱗は教会から離れた場所にある島村に住む少年であるが島民の中でも特に彼女と仲が良く、こうして一緒に漁などをして遊んだり、教会で何気ない会話をしたりして過ごすのが彼の一日の大半だ。エレノアは彼を年の離れた良き友人、あるいは自分の弟の如く可愛がり、鱗もまた、彼女のことを姉の様に慕っていた。

「見なよ!こんなにでかいのを取ったんだ!」

「わぁ~♪おっきいタコさんですねぇ~♪私も沢山取りましたよ~♪」

「げっ!?マジかよ、すげぇなエレ姉…前までは小魚すら取れなかったのに…」

「ふふ♪これも鱗君のおかげです♪」

お互いの獲物を自慢し合うエレノアと鱗…今でこそ彼女は沢山の獲物を仕留められるようになったが、一昔前、島村の漁師の子である鱗が彼女に漁のし方を教えたのが切っ掛けで始めたのだが最初辺りの時は魚一匹も取れずに泣く泣く砂浜で貝だけ拾って帰るのが常であった。そんな少し悲しい過去を糧にしたエレノアの腕前は地元漁師顔負けのものへと昇華された。

「私はこれだけじゃ足りないんでもう少し潜りますが、鱗君はどうします?」

「相変わらずよく食うなー。俺はまだ来たばかりだからしばらくここにいるよ。」

「はーい♪でも、いつも言ってますけど、あまり遠くには行かないでくださいね~?」

「わぁーってるよ!エレ姉ぇこそ波とかに流されんなよ!!」

二人は素潜り漁を再開、海中で別れた後に獲物をまた探しだす…。

(ん~?…えっ!?)

エレノアはふと、海中にある岩場の近くで何かを発見、最初はゴミかなにかが沈んでるのかと思ったが、そうではなかった。そこにあったものはなんと、海草に絡まりながら既に意識を無くしている様子で漂うこの島では見かけたことがない一人の男の姿であった。

(神よ、どうかこの方に救いの手を…)

エレノアは真剣な眼差しで男の姿を確認した後に彼に近付き、しっかりとお互いの体を重ねる形で抱き抱えながら海面へと浮上を始めた…。



その後…。

(…ん、んん?ここ、は…痛ッ!!?)

ボロボロのスーツ姿をし、腰には何故か日本刀を提げている天然パーマが入った毛先が黒い紫髪の男は気づけば自分が今、どういうわけか見知らぬ浜辺で寝転がっていた。全身は傷だらけの状態であり、意識が戻った途端に身体中をまるで針で串刺しにでもされたかのような鋭い痛みに苦しむ。

「ゲホッ…ゴホッ…おげぇええ…!!私は何故、この様な所、に…?」

知らない間に口に溜まった海水を吐き出すと、なにやら自分の口元に海水ではないなにか別なもので湿ったような感触が…。






「ん~~~!!」

「うげぇえええ!?な、なにをしている!?」





…見知らぬ少年が自分の唇を奪わんばかりに口を近づけてきたという大変ショッキングな光景がそこにあった…。

「おげげぇええぇえええええー!!」
「あ、目ェ覚ました」

「ふざっ…ふざっ…!!フザケンナ!!なぁあああぁんの真似だ!?小僧ォオオオオーッ!?私に少年愛好の趣味はないぞ!!」

「気色悪いこと言うなぁあああぁッ!!?!俺だってしたかァなかったけど緊急事態だったんだよオオオオッ!!」

海水のみならず嘔吐物まで吐き出した男は相手の少年…否、鱗にこれでもかと怒りを爆発させる。鱗もまた、何故こんな見知らぬヤロウなんぞに自分が接吻…ではなく、人工呼吸による人命救助をせねばならんのか不服なようであり、逆ギレしてしまった。

尚、鱗が何故彼に人工呼吸をしたかというと、最初はエレノアがすると言い出したのだ…しかし、鱗としては大好きな彼女が瀕死の相手とはいえ、見知らぬ男に唇を重ねる姿を想像して苛立ってしまい、そんなことをさせるくらいならばいっそ自分を犠牲にした方がまだマシだというセルフ罰ゲームじみた行動に移し、現在に至る…。

「貴様ァァァ…この私を誰だと思っ…!!」

「まぁ~♪良かったぁ~♪元気なようで何よりです♪」

「…って………………なん、だと……………?」

「はい?」

理由はどうあれ、それでも納得いかない男は自分の唇を奪った事を口実に鱗に掴みかかろうとした途中、自分の無事を喜んでるエレノアの存在に気づく、黒いビキニ姿の彼女の神の与えたもうた素晴らしい肉体に思わず凝視してしまい、気づけば男は赤面し、絶句していたが肝心の彼女は男の妙な様子に思わず首を傾げた。

「エレ姉ぇをエロい目で見んじゃねぇ!!」

「ふぐおっ!?」

「鱗君ーーーー!?」

男のエレノアへ向けた視線に真っ先に気づいた鱗は衝動的に男の下半身にある黄金の魂に子供ながらも強烈な蹴りを叩き込み、悶絶させたため、エレノアは慌てて止めに入ったのは言うまでもなかった…。

数分後。

「…そうか、私はどうやら君達に命を救われたようだな、すまない、どこの誰かも解らぬ私なんかのために…礼を言う…」

「いいえ♪これも神の御導きです♪」

「ありがとう、お嬢さん。ただし小僧、貴様はダメだ。」

「なんでだよ!!いや、感謝されるのもそれはそれで嫌だけど!!」

男は深々と二人に対して礼を言うのだが、やはり鱗の人工呼吸は根にもっていたらしく、またもや大人気ない対応をしてしまう。

「名乗るのが遅れたな、私は雷峰詠鶴、君達は?」

「私はエレノア、この島の教会でシスターをしてます♪」

(シスター!?み、水着姿のシスターってどういうことだ!?まるで意味がわからんぞ!!うっ…鼻血が…!?)

「俺は栖貝鱗…って、またなにか考えてやがる…」

ここで三人は軽く自己紹介をした。尚、二人の手によって救われた男…雷峰詠鶴(らいほう・エイカク)はビキニ姿のエレノアのいでたちでシスターだと名乗られ思わず混乱してしまったと同時に無意識の内にまたもやエレノアの体を見てしまい、鼻血を垂らしてしまう…このことで彼は鱗からは軽蔑しきった冷たい眼差しで見られ、完全に助平男として認識されてしまった。

「ところで、詠鶴さん…でしたっけ?何故海の中で漂ってたんですか~?お船の水難事故でしょうか?この辺りでは多いので~」

「…まあ、な…そんなところ、だ…」

(…こいつ、なにか隠してる…?)

エレノアの言うようにこの島の近辺では最近、都市部からの避難民を乗せた移動用の客船や漁師の漁船が転覆したり、波に飲まれたりして水没してしまう事故が多発している。鱗の父親もこの被害に遭っており、既にこの世を去っている…詠鶴もそんな不幸な事故の被害者だというらしいが、どうも歯切れの悪い曖昧な返答に鱗はなにか不審なものを感じた。

「…っと、いかんな、私にはやることがあるので。悪いがここから立ち去らせてもらっ…!?ぐぎっ…痛ッ…!!」

詠鶴は島から出ていこうとしたが自分の怪我のことを完全に忘れていたらしく、あまりの激痛にうずくまる…その瞬間…。

「…何をしているんですかッ!!」

「「!?」」

基本的に誰に対しても優しげでおっとりとした口調で対応するエレノアは詠鶴の取った愚行に声を荒げてしまい、初対面の詠鶴のみならず長年の付き合いの鱗までもが彼女の発した普段聞き慣れない怒声にビクリとした。

「そんな身体で何処へ行くつもりですか!!」

「いや、だから…私には大事な使命が…」

「自分のことも省みれない人に何を為せると言うのですか!!例え神が許しても私は許しません!!」

「え…えぇっ…?」

「完治するまで絶対安静です!!いいですね!返事はハイか解りましたかイエスしか受け付けません!!」

「ちょっ…待って…待って、その…近過ぎ…胸が揺れ…!!」

「今日から教会で泊まり込みです!!」

「あぁあああああァァーーーー!!」

…どうやら普段は優しいが怒ると怖いタイプだったらしく、エレノアは詠鶴の異論を一切聞かず、未だ水着姿のままだということも忘れ、赤面しまくる彼にズンズン迫り、怪我が完治するまで面倒を見ると言い放ち、教会へと強制連行してしまった…。

「ええ、えぇ…?」

突然のこともあり、一人その場に残された鱗は反応に困り果てていた…。 
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