Blue Rose
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第十六話 神戸を後にしてその十四
「やっぱり」
「だからね」
「それじゃあ」
「そう、皆で食べましょう」
「そしてだね」
「行ってらっしゃい」
優子は優しく笑ってだ、弟に言った。
「楽しんで満足してからね」
「そうしてくるね」
「それで長崎で変わってくるのよ」
「女の子にだね」
「そうしてきてね」
こう言うのだった、やはり優しく。
そしてだ、姉と弟の会話の後でだった。
龍馬は優花と共に家の中に入ってだ、今度は彼が微笑んで優花に言った。今は家のリビングに向かい合って座っている。
「いい雰囲気だよな」
「うん、この通りね」
「じゃあ刺身食うか」
「天麩羅とかもね」
「そういえば御前和食好きだな」
「特に魚介類がね」
「だからなんだな」
優しい微笑みになってだ、龍馬は頷いて言った。
「優子さんも揃えてくれたんだな」
「そうだよね」
「海の幸はいいよな」
「明石で獲れたのが特にね」
「だよな、ただ」
「ただ?」
「長崎も海だからな」
それでというのだった、ここで。
「海の幸はあるよな」
「そうだよね、あそこもね」
「だよな、ムツゴロウとかな」
「ああ、ムツゴロウもね」
「食べられるよな」
「あそこはね、ただあそこは」
ムツゴロウのいる長崎の海のことをだ、優花は龍馬に話した。
「ちょっと違う海なんだよね」
「ああ、泥海か」
「そうそう、瀬戸内海みたいに青く澄んでいないんだよね」
「そういえばそうだったな」
「うん、かなり独特な海だよ」
「泳げないし普通の魚はちょっとか」
「ムツゴロウみたいなお魚はいてもね」
他の海と違いというのだ。
「そうなっているんだ」
「そうなんだな」
「あそこはまた別だよ」
また言った優花だった。
「ムツゴロウは食べられてもね」
「そうなんだな」
「ただね、それは湾の話で」
「外の海は違うよな」
「そう、普通の海だよ」
「じゃあ普通の魚介類も食えるな」
「それも美味しいのがね」
にこりと笑ってだ、優花は龍馬に話した。
「そうなるよ」
「そうだな、ただ身体が本格的に変わる間はな」
「お酒は飲めないよ」
「そうだよな」
「身体のことを考えてね」
それでというのだ。
「多分そうなるよ」
「やっぱりそうだよな」
「そうしたことも気をつけないとね」
「さもないと影響が出るからな」
「身体にね」
「だからだな」
「うん、お酒は飲めないよ」
施設に入り密かに身体が変わる中ではというのだ。
「それで身体を慎んでね」
「女の子になっていくんだな」
「そうなると思うよ」
「静かにか」
「そうなるね」
「わかった、じゃあ酒もだな」
「今は飲めるけれどね」
それでもというのだ。
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