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オズのボタン=ブライト

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第七幕その五

「十二人で行くと」
「いや、それでもよいじゃろ」
 王様は王子にすぐに言葉を返しました。
「別にな」
「十二人でもですか」
「うむ、よいじゃろ」
「迷うよりは」
「皆で一度に行く方がよい」
「分かれるとですね」
「はぐれるしテーブル掛けは一つではないか」
 王様はオズマを見つつ王子に言うのでした。
「二つ三つに分かれるとおやつや御飯に困るぞ」
「それぞれお菓子を持って行っていても」
「そうじゃ、腹が減っては迷路は進めぬ」
 王様は言い切りました。
「実際にな」
「それでは」
「わしからの提案じゃ」
 皆に言うのでした。
「十二人でまとまって進もうぞ」
「確かに。言われてみますと」
 カルロスも王様の言葉を聞いて頷きました。
「その方がいいですね」
「別に競争をしている訳でもないじゃろ」
 それぞれのメンバーの間で、です。
「ただ迷路を進むだけじゃからな」
「だからですね」
「ここは一つでまとまってな」
「そのうえで、ですね」
「先に進むべきじゃ」
「それじゃあ」
「皆で一つじゃ」
 王様は明るく言い切りました。
「十二人全員で行くぞ」
「出発だね」
 ボタンは王様のその言葉に応えました。
「これから」
「そうじゃ、楽しい迷路じゃ」
「何か色々あるね」
 出発しました、ボタンは背負っているリュックの紐に手をやりつつ王様に言うのでした。
「王様の国って」
「遊ぶもの、遊ぶ場所がじゃな」
「宮殿も自然公園もそうだしね」
「やはりわしが遊び好きだからな」
「それでなんだね」
「そうじゃ、あらゆる遊びが好きだからな」
 それ故にというのです、
「色々な遊びを用意してあるのじゃよ」
「それでなんだ」
「うむ、迷路もあるのじゃ」
「置いたんだね」
「そうじゃ、しかもああした場所があるとな」 
 笑いながら言う王様でした。
「皆が楽しめるじゃろ」
「王様だけじゃなくて」
「わしだけ楽しんでもじゃ」
 それこそという返事でした。
「何がよい」
「独り占めはよくないんだね」
「そんなことは遠慮と同じだけ嫌いじゃ」
「皆で遊んで皆で楽しむだけ」
「それがよいのじゃよ」
 ボタンに笑って言うのでした、そしてでした。
 皆で迷路のところに来ました、すると。
 迷路の入口のところにです、王国の人達が何人かいました。カルロスはその人達を見て王様に尋ねました。 
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